Gallipoli(ガッリーポリ)2005/9/12


◆行く
レッチェに2泊した真中の日、ずっとレッチェにいるのも飽きるかなぁと思って最初の予定ではアッピア街道の終点、ブリンデッシにでも行こうかと考えていた。

ところがローマからレッチェに向かう6時間半のES(ユーロ・スター)の車中、暇つぶしにガイドブックほか持参した本、雑誌の付録など読んでいるうちに、レッチェの近くに生ウニを食べられる町があることを知った。それがガッリーポリだ。
ただ、ガッリーポリを紹介していた本にはレッチェからの距離が40Kmとあったものの鉄道での所要時間が書かれていない。

この日の朝、まだイタリアに着いてから2泊目ということもあって早く起きたので、相棒はバス停留所へ、私は駅に時刻表を調べに行くことにする。
駅へ向かう途中、ホテルから数分のところにインフォメーション発見!まだ開いていないが表に時刻表が貼り出されていたので早速メモする。これで役割を果たしたのでホテルへ戻っても良かったが、駅までの道のり、所要時間を確かめるため駅へ向かう(前の日、駅からホテルまではタクシーに乗り、このタクシーが旧市街に入らず大きく迂回したから駅までの通り道がわからなかったのだ)。

地図で小さな路地を確認しながら左へ、右へ、曲がってそして右道なりに行くと駅からの大きな通りに出た。ホテルから駅まで15分少々。駅の中で到着・出発の表示板と掲示されている時刻表を照らし合わせ再度確認してホテルまで戻る。
駅よりも近いはずのバス停に行った相棒がなかなか戻ってこない。地図上のバス停がなかったことと、帰りに旧市街特有のくねくね道で迷ったようだ。

結局バス停は駅の近くらしい(確かに駅前にバス停はあったが、市内バスだとばかり思っていた)が列車の時刻もわかったので9時02分のガッリーポリ行きに乗ることにし、朝食後駅へ向かった。

切符売場でメモを見せるがFSE(私鉄、Sud-Est線)の売場は別のところだと言われる。地下道をくぐってFSEのホームへ行ってみたものの見当たらない。ちょうど停車していた列車に運転士がいたので乗り込み尋ねると、今度は駅の向こうを右に曲がったところだと言われる。そこも違う。もう一度最初の売場で訊くと1番ホームを右に曲がったところだと言われ、ホームをどんどん行くと一番先にFSEの緑の看板があった。
メモを出したらそこに「9:43 No.6」と書かれたので、「9:02」と書き直して見せると、時刻表が変わったとのこと、あとで夏休みのヴァカンスシーズンが終わり今日(9月12日、月曜日)から変わったことを知る。掲示されていた時刻表は運悪く前日までのものだった。こういうトラブル遭遇は個人旅行につきもの。
次の列車まで駅の近くをぶらぶらする。といっても何があるというわけでもなくそれほど時間をつぶせない。早めにホームに行って列車を待つが、単線のため遅れて入線し約20分遅れで発車。車内は大変な混雑だ。満員のため立っている人も沢山いる。途中の駅(ゾッリーノ)で大半の人が降りた。11時ガッリーポリ到着(列車は1両になっていた)。

駅を出て広場を突っ切りまっすぐ行くと大きな通りにぶつかったので右に曲がる。

 

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この町についてはガイドブックに出ていないので地図を持たない我々にとっては、田島麻美さんが書いた『南イタリアに行こう』]がガイドブック代わり。それによるとこの大きな通りがローマ通り。小さな町にしては道幅が広く、通りに面した建物も新しいものもあって開放感がある。
町の構造として駅からしばらくは新市街、橋(ポンテ・チッタ・ヴェッキア)を渡った向こうの島が旧市街ということらしいのでシチリアのシラクーザみたいなイメージを持っていたが新市街はそれほど大きくなくすぐ橋に着いてしまった。橋の向こうに昔のお城があうる。要塞としての役割を持っていたようだ。

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右手はもう海だ。この海はアドリア海ではなくイオニア海、ガッリーポリは、かかとでもちょっと土ふまず側に入ったところにあるということがわかる。

この橋を渡ると旧市街。入ってすぐローマ通りは突き当たってしまい左右の道路に分かれる。

旧市街に入るために左に曲がったが、その直前の食堂(としかいいようがない)の前で座っていた男性からランチのチラシを受け取ったがお昼には時間も早いし、田島さんの本に出ていた生ウニの食べられる店が頭の中にあったのでそのまま進む。
左に曲がってすぐ左手にメルカートの建物があったが中には土産物屋が数軒。そのすぐ先の狭い路地に入る。目当ての生ウニの店は魚市場の近くと思い込み魚市場を探す。

両側には間口の狭いお店が続いているが、魚市場を見つける前にVecchia Osteria発見。店の前にはテーブルが一つ、何かわびしそうでイメージしていた魚市場前のシー・フードの店とはかなり違う。通りから中を見ると、11時半前なのでいわば準備中みたい。
とりあえず路地をさらに進むとどうやら左の建物がドゥオモのようだ。左折すると正面ファサード前に出た。狭い路地からファサードを見上げると一面バロック様式の彫刻がものすごい。

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中は3廊式で左右各7本の柱で分かれている。周囲はフレスコ画で一杯だ。
途中の観光案内所でもらった地図では他にも見所はあるようだったがあまり考えずにドゥオモの前の通りから右折し、旧市街の本当に細い道を歩いているうちにどこにいるのか分からなくなってしまい、小さな広場で地図を広げ確かめる。1本路地を勘違いしていたようだ。

現在地を確認したので今度は海の方に出てみる。途中、民宿なのか地元の人の家なのか、海水パンツ、水着が干してあるのを見てここが庶民の海水浴場だということを知らされた。

海側に出てみると眼下に浜辺が見える。ちょうど小さな湾になっていてまるでプールのようなおだやかな海水浴場だ。月曜だというのに楽しんでいる人が多い。

050912_1147~01 この海はイオニア海だ。おだやかな水平線が見える。早朝のレッチェでは気温が低くひんやりとし、もやがかかっていたがここでは時間も時間だけあって暑く空には久しぶりの入道雲を見た。

 

 

 

 

 

 

時間も12時近くなったので件の店へ向かう。途中、通りに椅子を出して座っていたおじいちゃんに背後から英語で『ガッリーポリは好きかね?』と声をかけられたので『イエース』と答える。

そのすぐ先がチェック済みのVecchia Osteriaだ。店の中を覗くとまだ誰も客はいなかったがお店の人(若い男性)がいてもうオープンしているようなことを言うので中へ入ろうとしたら『外のテーブルで』とのこと。

入口の前にあったテーブルかと思ったら、店からほんのちょっと離れている向い側の角(メルカートの建物からこの通りに曲がったところ)に案内される。行きにそこにお店(テーブル)があるのには気がついていたがまさかそこが目指す店だとは思ってもいなかった。
まずメニューを見せてもらう。ウニは前菜の中で一番下にあったが値段が書かれていなかったのにすぐ上に書かれていた魚介類の盛合わせ(15ユーロ)と同じだろうと思い込み、また個数も知らずに注文する。他には、前菜盛合わせ(12ユーロ)、海の幸(Frutti di mare)のスパゲッティ(8ユーロ)、海の幸のオレッキエッテ (8ユーロ)、ハウスワイン(白、1リットル)。
前菜盛合わせは今回の旅ではどこでもそうだったが一皿に盛り合わせているのではなく何皿かのつまみが出てくる。前菜の金額にもよるが一番多かったのは10皿、ここでは4皿だった。いわしのマリネ、小ぶりなムール貝の焼き物にピッツァ風トマトソースのナスが添えられたもの、ムール貝のリゾット、タコの煮物。どれも美味しくて昼間にもかかわらずワインの進むこと。
これを平らげたところにお待ちかね、生ウニ登場。日本のウニより小さめ。

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上の部分1/3くらいをスパッと切り取った形のものが何と22個。中の余計なものはきれいに取ってくれたのだろうか、上からみると真中から★のように5本の筋のウニ、これをスプーンですくって食べる。甘くて本当に美味しい。わざわざ来た甲斐があったというものだ。

あとでお勘定してもらったらこの生ウニはわずか10ユーロ。これにはびっくりした。2皿頼んでも金額的にも量的にも良かったかもしれない。

普通パスタはソースで選ぶものだと思っていたらこの店では全部Frutta di mare だった。そこでパスタを選ぶことになったのだが定番のスパッゲティとプーリア地方独特のオレッキエッテにしたが同じ具でもパスタの食感の違いを楽しむことができ、また両方とも美味い。

裏の海を見ながらの食事で最高のランチとなった。お勘定を頼むと食後のコーヒーはどうかと聞かれたが、13時29分の列車に乗りたかったので遠慮する。

食べ終わったあとは行きに来た道をそのまま戻り13時29分の列車に乗る。車内の高校生が通学の帰りで騒ぎまくっている。うるさいと思う反面どこの国でもこの年代の少年たちは同じだなぁとほほえましくも思う。
途中で乗換えとなり予定より少し遅れ、14時45分レッチェ到着で「生ウニ・グルメの半日の旅」を終えた。

◆食べる
●リストランテ
お店の名前 Vecchia Osteria, Via Antonetta de Pace, 15
食べたもの 本文の通り、水、コペルト込みで50ユーロ(計52ユーロのところ端数をサービスしてくれた)、チップ4ユーロ。

[b]◆読む[/b]
本の名前 『南イタリアに行こう』田島麻美著(双葉社 1700円)』
イタリア在住の著者が南イタリア各地をドライブした時のエッセイ、訪問都市情報が満載されていて随分参考になった(一部間違いもあるようだけれど)。
たまたま今回の旅の直前にこの著者が『ミラノから行く北イタリアの街』という新刊書を出したのを書店店頭で手にし、南イタリア編が既刊であることを知って探し回り出発6日前に新宿のJUNKUDOで見つけ購入。