◆行く
フィレンツェを朝出てアレッツォ観光後14:12の列車に乗り、ペルージャに15:17到着。
駅前から市内バスに乗るのだが、No.9や7のバスを逃してしまい少し待ってNo.6のバスに乗る。こちらのバスはドアが広くてスーツケースを持つ者にとっても乗りやすい。
ペルージャの町は山のてっぺんというわけではないが駅よりは相当上の方にある。8分でイタリア広場に到着。
◆初日はホテル探しから
ホテルを予約していなかったのでとりあえずホテルのありそうなこの広場で降りる。ここには5つ星のホテルがあるのは知っていたが流石にそれはパス。
広場のすぐ近くにラ・ロゼッタというホテルを見つけフロントで部屋があるか訊ねる。広場に面した部屋と中庭に面した部屋があるというので2つの部屋を見せてもらうことにした。中庭に面した方が静かそうだが広場に面した部屋の天井には一面天使の絵が。天井画のある部屋などめったに泊まることができないので迷うことなくこの部屋に決めた。料金は1泊21万5千リラ。
チェックインして直ちに出かける。
◆チェントロ町歩き
ヴァンヌッチ通りを11月4日広場まで行く。広いゆるやかな上りだ。左手にはプリオーリの館、すぐ先には11月4日広場にはピサーノ親子が装飾したファンターナ・マッジョーレ、大噴水がある。
そのフォンターナ・マッジョーレのすぐ上にカテドラーレがある。教会は通常、東が祭壇で西が入口となるがここは広場が南であるためいわばどてっぱらの南から入る格好となる(パレルモのカテドラーレも同じ)。建物そのものは他のドゥオモやカテドラーレなどと違って装飾性はないし、また石の色もそれほどでなく素朴な石の建物という感じだ。
カテドラーレを見た後、さらに上の方へ進んでみる。曲がりくねった道、石の建物に囲まれた回廊、ところどころに聖母子像の絵が見られる。
ぐるっと廻ってカテドラーレの東側に出ると陶器の絵皿、水差しなどの露店が出ていた。ヴァンヌッチ通りの1本東の通り(バリョーニ通り)を散策してまた広場に戻りカフェで一休み。
冷たいビールが美味い。ついさっきまで暑かったのに湿度が低いこともあって涼しくさえ感じる。
帰り道、プリオーリ宮に寄ってみる。プリオーリ宮《公証人の間》Sala dei Natori に入る。フレスコ画が描かれた天井が12のアーチで支えられていてその装飾性が素晴らしい。
◆電話で予約してチェーナ
ホテルに戻る前にテレカを使ってお目当てのリストランテ(オステリア・デル・バルトロ)へ電話し20:30で予約。この店はFIGAROの1998.7.5号(永久保存版 ミラノ・フィレンツェ全マップ)に載っていた店だ。場所はカテドラーレの上の方、戻ってきたばかりのところだが何せ距離的には近いので問題なし。
石の回廊の奥まったところによくこんなところにあるなぁという感じで入口がある。店の中もそれほど大きくなくむしろこじんまりしている。
席につきメニューを渡されたが料理の名前がまったくわからない。そんなところへ若い日本人スタッフが助けに現れる!? 彼は修業中で普段は厨房で働いているがメニューの読めない日本人が困っているのでは、ということで我々のために急遽臨時のカメリエーレになったようだ。
おかげで料理を選ぶのに苦労はしなかったが、イタリアの古都、田舎町にいるという気もしなくなり、緊張も少しとけてしまった。近くの席にはこの日の昼、アレッツオのリストランテで見かけたご夫婦(イタリア人か、どこの国の人かわからない)がいる。これにはびっくり。
ホテルへの途中、バールに寄りホテルの部屋で飲むため地ワインを買う。
ところがホテルに戻りベッドで一休みしていると急に気分が悪くなりワインを飲むどころではなくなった。どうもアリタリアのミラノ・フィレンツェ便ドタキャンによる寝不足やその後の旅の疲れのようだ。こういうときは一人旅ではなく相棒のいる旅で良かったと思う。旅行を楽しむには体力、健康、無理をしないのが大事であることを痛感した。
◆体調を戻しつつ、観光開始
午前中はプリオーリの館の中の《両替商会館》Collegio del Cambio、国立ウンブリア美術館へ行く。夕べの体調の悪さが残りふらふら感じながら美術館をさまよった気がする。とりあえず1時間足らずで切り上げホテルで休む。
少し落ち着いてきたので再び出かける。11月4日広場を過ぎカテドラーレの東をさらに進み右に回りこむ道を通ってサン・セヴェーロ教会を訪れる(入場料1人6,000リラ、ポッツオ・エトルスコと共通)。小さな教会だ。ここの小礼拝堂にはラファエロが描いたフレスコ画があった。ペルージャに残るラファエロの唯一の作品だそうだ。
ここを出てすぐ近くのポッツオ・エトルスコに入る。エトルリア人が掘った井戸だ。オルヴィエートの井戸のように真下の垂直方向ではなく、鉱山の坑道のようなゆるやかな下りだったような気がするが記憶はあまり定かではない。
ペルージャにはイタリア語習得のための外国人大学があり、そっちの方に行くとエトルリア門がある。エトルリア門まで行ってみると門を出てすぐ下のフォルテブラッチオ広場に面した大学の建物が見えた。
(まさか、この10年後にここに語学留学するとは想像もしていなかった)
夕方にはこの広場からさらに奥のガリバルディ通りを北に進み円形のサン・タンジェロ教会へ行ってみた。この教会は古い時代の教会で、周囲に何もないこと、外観は円形、内部はドームで石を積んだだけの質素さが特徴だ。
少し遅くなったが昼食をとることにし、オープンエアのカフェを探すがそう沢山あるわけでもなくヴァンヌッチ通りを広場に向かって右折したところの店のテーブルに座ったもののサンドィッチしかできないといわれ「ペルージャでサンドィッチというのもなぁ」と相棒の兄と意見が一致し席を立つ。
結局オープンエアのカフェとはまったく正反対の穴倉のような庶民的なリストランテに入り、ペンネ、ピッツァ、ビール、ワインの昼食となった。少し落ち着いてきたが(ビール、ワインを飲んで落ち着いてきた、もないもんだが)一旦ホテルに戻り1時間半ほどまどろむ。
◆高低差をものともせず
疲れを充分とったところで町の中心より下の方にあるサン・ドメニコ教会、さらにはるか下に見えるサン・ピエトロ教会に行くことにした。サン・ドメニコ教会がはどっしりと大きいのに対し、サン・ピエトロ教会は尖塔が特徴的だ。
そのサン・ピエトロ教会の内部は荘重な感じで、身廊と側廊を分ける左右各9本の柱は濃い灰色だ。側廊天井はアーチ形、天井は彫金の装飾、壁にはキリストの一生を描いた大きな絵で覆われ全面絵の美術館といった趣きだ。この教会を出てから前に書いたサン・タンジェロ教会まで行ったのだからかなり高低さがあり大変な山登りをしたことになる。それほど体力も回復していたということだろう。
◆2時間半もかかった夕食、大満足
夕食は昨日とは対照的に気軽なオステリア。コース料理(1人39,000リラ)を頼んだがゆうに2時間半もかかったほど手を変え品を変えという感じだった。
まず食前酒としてスプマンテ。これにお通し(花びらのような形のクッキーみたいなものにオイルサーディンとサワークリームのディップがちょんと乗っている)。
前菜はバルサミコ味のゼリー状のものにエビとナッツ。
プリモは2人なので2種、フレッシュトマトとチーズが添えられた餃子のような形のパスタ(アニョロッティ?)、もう1品はムール貝とクリームソース味の四角いパスタ。
セコンドは白身の魚を焼いたもので、表面にハーブがのっている。付け合せは、きゅうりをおろしたものに、オイルサーディン?をミンチして固めたもの、きゅうりのスライス3つ、人参。ここまでくるとこの付け合せは食べきれなかった。
ドルチェはジェラート。桃の味のソースがかかっているカップ型の白いジェラートで、桃のスライス、グスベリー一房と共に大きな皿に盛り付けられ粉砂糖が振りかけられていて見た目も豪華そのもの。
この店の料理は普通のイタリアンではなく創作料理といった趣きで(メニューを見ても前菜にも「生ハムとメロン」など定番の単純なものはない)、それでこの値段は信じられない。しかもこの日はサービス料はいただきませんとメニューに書かれていた。
気軽なオステリアといったのは、カジュアルなインテリアとサービスするカメリエーレ、カメエリエーラは全くの普段着だったからだ。特にカメリエーレは頭ボウボウ、無精ひげでジーンズとしけたシャツ姿だった。だからといってぞんざいなサービスではなくむしろ丁寧なサービスだった。
料理も、ワインもおいしく大満足だったので、この日はチップ不要となっていたが”ポッソ?(Posso?)”と声を掛けお皿を片付ける担当の若い女の子に10,000リラのチップを渡そうとすると”私に?(Per me?)”と遠慮がちにそして嬉しそうに微笑んで受け取ってくれた。
ちなみにこの店もFIGAROの1998.7.5号の載っていた店だが、それによるとシェフはウンブリアの食材を使って自分のファンタジーを表現したいという23歳の女性だという。おすすめの店だ。
23時すぎに店を出てホテルに帰ったが、ホテル近くのヴァンヌッチ通りのやや広いところにステージが作られ夏祭りといった感じのイベントが行われていて、夜遅くまでその音が心地よく聞こえてきた。
◆泊まる
■La Rosseta ★★★★ Twin 215,000リラ (1泊)
朝食をとる玄関前のオープンエアのテーブルが夜はディナーの席に変わる。夜帰ってくる時そこを通るがいい雰囲気。もう1泊するならここで食事をしてみたかった。(味はそれほどでもない、という話を後日経験者から聞いたが・・・・・)
◆食べる
■Osteria del Bartolo(via Bartolo, 30 06100 Perugia)
勘定をする際、エグゼクティブ・シェフ”Simone Ciccotti”の名刺を渡された。
◎前菜2品(40,000リラ)
◎プリモ(エビのぼろきれのパスタ38,000リラ)
◎セコンド(46,000リラ)
◎コーヒー(7,500リラx2)
◎コペルト(10,000リラx2)
◎水(7,000リラ)
計2人で232,000リラ(サービス料10%)
■Ristrante-Pizzeria La Botte(via Volte della Pace, 33 06100 Perugia)
庶民的な店
◎ペンネ
◎ピッツァ
◎ビール
◎デキャンタのハウスワイン
計2人で47,000リラ
■Osteria del Gambero(via Baldeschi,17 06100 Perugia)
◎スプマンテ
◎バルサミコ味のゼリー状のものにエビとナッツ
◎フレッシュトマトとチーズが添えられた餃子のような形のパスタ
◎ムール貝とクリームソース味の四角いパスタ
◎白身の魚を焼いたもの
◎ジェラート
◎ワイン
計2人121,000リラ
◆遊ぶ
■11月4日広場
■プリオーリの館
■国立ウンブリア美術館
■サン・セヴェーロ教会
■ポッツオ・エトルスコ
■サン・ピエトロ教会
◆買う
■Giuliano(via Danzzeta 1,06100 Perugia)
乾燥ポルチーニ(100g? かなりの量があった) 17,000リラ
FIGAROの1998.7.5号掲載の食材屋さん。他にももっと買いたいものが沢山あった。