Ancona (アンコーナ) 2007/9/10~11
◆いざ、アドリア海へ
モデナ発14時05分、ボローニャでESに乗り換える。プラットホームの番号がなかなか表示されないが14時56分発車。指定席は7号車、ほぼ満席だ。
次なる目的地はアンコーナ、アドリア海に面したマルケ州の州都で港町だ。
約1時間でリミニ到着。車窓からはヨット・ハーバーなどが見え、海岸近くを走っていることを実感する。リミニの空は秋の気配で高い雲があるが澄んだ青さだ。その中を飛行機が飛んでいくのが見える。
リミニ駅から10分くらいか、間近に海が見えた。アドリア海だ。リゾート地らしくそのあたりにはホテルがいくつもある。
それをすぎると山の方に進む。なだらかな丘陵地帯、短いトンネルに入る。葡萄畑とオリーブの木、とイタリアの地方らしい景色だ。進行方向右側の山の方にはいつの間にかムクムクと入道雲が出ていて今度は夏の空だ。
16時10分すぎ、ペーザロ通過、間もなく海岸のすぐそばを走る。
ヨット、ビーチにはパラソルといすが沢山見える。日本のビーチと違って、パラソルの並べ方が整然としていて色も場所ごとに統一されていてこんなことでもイタリアのデザイン力を感じる。特に動く車窓から見ると美しい。
2年前の南イタリア、ガッリポーリと同じ時期の月曜のため、ガッリポーリ同様ビーチにはあまり人はいないが全くいないというわけではない。
4~5分で海岸を離れ市街に入るがまたすぐに海岸へ、そしてまた市街に入る。APIの石油(ガス?)タンクが見え、続いてコンビナート的な工場。それをすぎるとまたビーチ、と思ったら間もなく16時41分アンコーナ到着。
予約していたホテルは駅から遠いのでタクシーに乗り込み市街地を眺めながらホテルまで連れていってもらう。市内はゴミが多くあまりきれいではないと感じた。
◆土地勘をつける
ホテルには17時すぎチェックイン。アンコーナは港町だけあって坂の町でホテルからもはるか下の海へガァーと下がっていき、行動にも制約がありそうだ。
一休みして、恒例の夕食のリストランテ探しを兼ね3人で探索に出かける。初めての町でこうやって出かける時が一番ワクワクする。
インターネットでチェックし、プリントアウトしておいたアンコーナのリストランテ地図を持って行ったが、そのうちの1軒はホテルのすぐ近く。簡単に見つかったがわざわざ遠くから来て訪れるほどの店構えではないので候補から外す。カヴール広場を抜け、マッツィーニ通りからガリバルディ通りを進み、結局、海の方まで降りてしまった。ガリバルディ通りは歩行者天国、さしずめアンコーナの銀座といったところか。
探していたリストランテのあるプレビシート広場がホテルでもらった地図(このCityMapはきわめて見にくい)には載っていない(あとで分かったがピアッツア・デル・パパに改称されていた)。
帰りはガリバルディ通りの一本隣のスタミラ通りで戻る。この通りは少し近代的で幅も広い。
土地勘も少しついたのでホテルに戻り地図をもう一度チェックして作戦会議。プレビシート広場がパパの広場だろうと見当をつけ、広場に面しているはずのリストランテLaMorettaに行くことに決めた。
◆ ボリュームたっぷりの郷土料理
ホテル横のサン・ドメニコ通りを下るとそのうちサン・ドメニコ教会の横に出た。この教会のファサード前の巨大な階段部分に大きなローマ教皇(パパ)の座像があった。多分、前教皇ヨハネ・パウロⅡ世の偉業をたたえたものだろう、それで広場の名前も変えたのではないかと想像する。
教会の前には、縦長の広場が広がっている。教会を背にして左側に大きなパラソルを張り出しているリストランテが2軒あり、手前の方が目指す店のようだ。
予約していないことを伝えると、パラソルの下のテラスで一番内側の席に案内される。
メニューを見ると、魚、肉、Terra、Brodettoの4種類のコースがあったが、ここは迷わず郷土料理のBrodettoのコース(28ユーロ)を注文する。プリモ、セコンドとデザートしか載っていなかったのでそれだけでは足りないかなと思いアラカルトの前菜からエビの一品を頼むとカメリエーレが何やら言ってくる。『前菜が何たらかんたら・・・』。まず、それが出てきた。なんとエビ一尾、その下に白いタコのカルパッチョ。『一尾だからシェアするのはムズかしいよ』ときっと教えてくれていたのだろうか。
コースの前菜は大きな丸い入れ物(中がいくつかに仕切られている)にツブ貝、ムール貝やら何種類もの魚介類。種類も多いが量もかなりのものだ。
プリモは手長エビのリングイネ。これまた見事なボリュームだ。ソースに手長エビのエキスが移り美味い。
メインは待望のBrodetto、分かりやすく言えばブイヤベースだ。てっきり、鍋で出てくると予想していたが、大きな横長のお皿にタップリ。エビ、魚が3種類、エキスが出て本当に美味い。
あまりにも食べるものが多く、3人で1本のワインを飲みきることができない。
海の幸の美味しさを堪能したアンコーナのチェーナだった。
◆グアスコの丘へ
ホテルのテラスで朝食、ホテル自体は大したことはないがここでの朝食は晴れていて気持ちがいい。
朝食後、観光へ飛び出す。昨日と同じく、マッツィーニ通りへ出た。通りの朝市は衣料品中心で興味をひかないが、間もなく右手に常設の市場があり、覗くとさすがに海の町だけあって魚が目立つ。舌平目、小さな魚、エビ、シャコなどが多い。その他、野菜、チーズ、肉、食料品などの店がある。
そのうち昨日の夕食の広場(プレビシ-ト広場)に出た。観光ポイントとしては北の丘(グアスコの丘)、はるか上に見えるサン・チリアコ聖堂を目指すことにした。もちろん《歩き》だ。プレビシ-ト広場を過ぎてから右へ曲がりピッツェコッリ通りを進む。この通りはそれほど広くない。ゆるやかに登っている。
間もなく右手にサン・フランチェスコ・デッレ・スカーレ教会が現われる。この教会はファサード前の階段がものすごく大きい(そのために“スカーレ”と呼ばれているのではないだろうか)。帰りに寄ることにしてそのまま進み国立マルケ博物館を過ぎたところの広場から石段を上がる。
ようやくサン・チリアコ聖堂の前の広場に出た。ここからは港や海岸線がよく見える。中に入ると左翼の主祭壇で葬儀か法事をやっていた。
ギリシャ十字のロマネスク様式である聖堂の外観は白っぽいピンクというかクリーム色の大理石だが中は対照的に灰色のレンガのようだ。天井は寄木細工の格子天井だ。
また広場に出て海を眺めるが風が強い。近くにローマ円形劇場の遺跡があるというので降りがてら行ってみたが途中で迷ってしまった。看板がなければわからない。
◆トラヤヌス皇帝の凱旋門
次にさきほどの広場の真下、港の北端にあるトラヤヌス皇帝の凱旋門に行くことにした。真下といっても降りられるわけではない。来た道をちょっと戻り、適当なところで階段を見つけ、一段下の通りに出る。これを何回か繰り返したら何とか凱旋門に通じる道路に出た。貨物の引込み線があったり、トラックがバンバン通る結構広い産業用道路に凱旋門がある。二千年近くも経っている割には良く残っていて感心した。もっと先にはクレメンス12世の凱旋門があるがこれはパス。
◆ヴェネツィアン・ゴシックを見る
港に下りてしまったものの行きに通り過ぎたサン・フランチェスコ・デッレ・スカーレ教会に戻る。さっき通り過ぎてから何と1時間10分しか経っていない。
この教会は大きくて広い階段の上にのっかっているように見える。ファサードは上三分の一が茶色ぽい石造りで質素に見えるが、下の方は白く、そしてあでやかな浮き彫りで豪華に飾られている。
中もファサードの下の部分にあわせたような白さと柱廊の力強さが印象的だ。
この教会のあとは同じ通りにある市立絵画館に行ってみた。中に入ると、切符売場にはおばさんが二人。そのおばさんが『パオロ!』と呼ぶと男が出てきて入場券を売ってくれた(一人4.5ユーロ)。彼が先導してくれ2階へ上がる。
この絵画館にはヴェネツィア派のティツアーノの《聖母と聖人達》が展示されていた。
さらに上の階には18世紀以降の近代絵画があるのでどうかと訊かれたが遠慮して絵画館をあとにする。
ピッツェコッリ通りを小さな路地で右折すると突き当たりにロッジア・ディ・メルカンティのファサードが正面に見える。この彫刻もさきほどのサン・フランチェスコ・デッレ・スカーレ教会と同じくヴェネツィアン・ゴシックで素晴らしい。ただ、このロッジアが面している通りは狭いので全景をカメラに収めるのは難しい。
◆サン・ドメニコ教会
いつものように一旦ホテルに戻り、チェック・アウト、スーツケースを預け最後の観光へと飛び出した。また同じ道をまっすぐ下りサン・ドメニコ教会へ。
中に入ると教会の番人とおぼしきおじいさんが現われ、《受胎告知》の絵(グエルチーノ作)のライトをつけてくれた。
それから主祭壇にあるティツアーノの《磔刑図》の説明をしてくれ、さらにいろいろと説明してくれた。曰く、『ナポレオンが持ち去った』、『ピエタは爆撃にあい、20世紀末に作り直した』などなど(正確に理解できたか疑問ではあるが)。
◆最後の観光
まだ昼食まで時間がありそうなので今度はポルタ・ピア(ピア門)の先にある五角形の要塞(モーレ・ヴァンヴィテッリ)に行ってみる。この要塞は港の一番手前に位置しているという感じで、そこまでは大きな道路を進む。ポルタ・ピアを通り抜け、要塞に近づいてみたが残念ながら何か工事中で中には入れなかった。
要塞の手前のポルタ・ピアは意外にどっしりとしていた。
アンコーナの観光はこれにて終了。マッツィーニ通りの一番下にあるCreameriaRosaのカフェテラスで昼食、晴れていてさわやかで気持ちがいい。
◆ペーザロ経由ウルビーノへ
ホテルに戻りスーツケースを受け取り、タクシーでさきほど歩いた要塞そばを通り過ぎてアンコーナ駅へ。
13時43分発の電車が遅れていたので間に合いそうだったが自販機で切符を買うのに手間取り、ホームに出たとき電車は行ってしまう。結局予定していた次の14時21分発の電車に乗り、ペーザロへ向かう。
◆泊まる
ホテル Hotel City, via Matteotti, 112 ★★★
1泊Twin 96ユーロ、Single 60ユーロ
ミシュランに載っていたのでメールで予約。正直言ってあまりいいホテルではない。
◆食べる
●リストランテ
お店の名前 LA MORETTA, Piazza del Prescibito (del Papa) 52
食べたもの 本文記載の通り。
ワインは赤というと何も訊かずさすがに地元のRosso Coneroが出てくる。
カフェ、水、コペルト込みで3人で130ユーロ。
お店の名前 CreameriaRosa, (住所不明)
食べたもの 手長エビのリゾット(8.5ユーロ)、ラザーニャ(6.5ユーロ)、海の幸サラダ(8.5ユーロ)
ハウスワイン1リットル(6.5ユーロ)、水、コペルト込み3人で35ユーロ。