Torino (トリノ) 2006/9/13~16
◆ピエモンテ9日間の旅、いよいよ最終目的地へ
午前中、フォンタナ・フレッダのワイナリー・ツアー、そしてスロー・フード運動発祥の町ブラを訪れ、ランチを終え、トリノへ向かう。
ブラ駅では久しぶりに窓口で切符を買う。「50km以内」という乗車券。 列車は新しい。2階席に座るが、車内はがらがらだ。14時32分発の列車は定刻(15時15分)にトリノ・ポルタ・ヌォヴァ駅に到着。
ホテルは駅前の大きな通り(ヴィットリオ・エマヌエーレ2世通り)を渡ってすぐ、右。近いだけあって15時半には部屋に入る。17時まで休養。
◆サン・カルロ広場からカステッロ広場
ホテルを出て駅を背にして反対方向へ進み、サン・カルロ広場、王宮を目指す。これがトリノの歴史的中心部だ。 ローマ通りをまっすぐ進むと一旦建物(サン・カルロ教会の裏)に突き当たったので、右へ曲がってからまた左に曲がる。ポルティコの中に入る。ポルティコの内側はいろいろなお店だ。終わったはずのトリノオリンピックのポスターがまだ貼られていたりする。
そうこうしているうちに大きな広場に出た。トリノの応接間といわれるサン・カルロ広場だ。本当に広い。真ん中には騎馬像がある。サヴォイア公国を復活に導いた英雄の雄姿が広い空間でしかも青空の下、実に絵になる。
この広場をとりまく建物にはトリノ名物のカフェも建ち並ぶが滞在中に寄ることにして、とりあえずこのときはトリノの中心部を概観するにとどめる。 トリノのシンボルは雄牛、サン・カルロ広場の歩道地面に雄牛が描かれている。このあと、いろいろなところではりぼてのような雄牛像をみかけることになる。
サン・カルロ広場のさらに先に進むと王宮が端正な姿を現した。王宮の前はカステッロ広場。この広場の右側はレンガ造りの昔のカステッロ、マダマ宮殿だ。正面ファサードはあとで作られたものらしい。今は市立古美術博物館となっているようだが残念なことに「修復中」のため閉館していた。しかし、正面ファサードとそのてっぺんにとりまくように林立している聖人の人物像が豪華さを感じさせる。
王宮の左手にはサン・ジョヴァンニ礼拝堂、さらに左後方にはあの「聖骸布」が納められているドゥオモ、というまさにトリノ歴史的中心地だ。
◆幻の王宮見学
カステッロ広場を通り抜け、ゲートを通り17時半すぎ王宮に入ったが、入場券売場で「トリノ・カード」の存在に気が付きそれを買おうとしたところ「ここでは扱っていない。ちょっと離れたところの観光案内所で売っている。」とのこと。
一旦戻りカステッロ広場入口左側にある観光案内所でとりあえず訊いてみると、そこではなく少し歩いたところの公園のイベント会場内で扱っているとのこと。入場料やらトラムやバスもフリーパスになり、楽なのでわざわざそこまで行ってトリノ・カードを買った。
それから王宮へ戻って入ろうとしたら18時をちょっとすぎていて、「今日の入場は終わり」とのこと。トリノ・カードを買ったとき渡された利用ガイドブックを見ると開館時間なども書かれていたのでまだ間に合いそうな市立博物館(王宮の裏手にある)に行くことにした。
途中、ドゥオモの前を通ったのでちょっと入ってみる。このドゥオモが舞台になっている「聖骸布同盟」を半年ほど前に読んだばかりだったので興味があったが同行者の二人は『何のこっちゃ?』ということでとりあえずすぐに出てきた。 市立博物館に行ってみるとあまり興味を抱かせるような展示がなく、また照明が暗いので早々に出てきた。トリノ・カードというフリーパスを持っていなかったら絶対に見学しなかっただろう。
◆カフェで一休み
再びか、三たびかカステッロ広場へ戻り、夕食を予約した時間までホテルに戻るには時間が短いし、戻らないならば中途半端に時間があるということでポー通りに面した一角をぶらぶらする。
トリノ名物のチョコレート、ジャンドゥイオッティを売っているカフェ、バラッティ&ミラノを見つけた。買うと荷物になるので後回し。 歩き疲れ、のどがかわいていることもあってトラムが走る通りに面したカフェ・ムラッサーノで一休み。
生ビールを飲む。いわゆるアペリティーヴォで同時に出てきたつまみは豪華でちょっと感激だ(日本と違って《お通し代》など取らない)。マダマ宮殿の裏側、元のカステッロが良く見える。ビールを飲みながら三人でトリノの印象など語り合って暮れなずむ時間を過ごす。
20時に夕食を予約していたので10分前に席を立ち、ポー通りを歩く。途中1ヵ所間違えたこともあって20時10分、魚料理の店マーレ・ノストルムに着く。
シチリア料理でお腹一杯。歩いてホテルに帰ったのが23時。 何とも長い一日だった。
◆念願の王宮見学 トリノ2日目。
朝起きると雨。一瞬、バローロのぶどうが気になった。 9時ごろホテルを出て王宮へ向かうが昨日の夕方と違って肌寒い。今回の旅行ではセーターなど持ってきていなかったので震える感じだ。地元の人たちは昨日から一転、秋から冬の装いだ。
さて、王宮に着いてみるとガイドツアーは10時開始といわれ入場券売場前の椅子に座って待つこと40分。
50代?の女性ガイドが現われガイドツアー、ようやくスタート。王宮だけあって見所の連続だ。 階段を上がり最初に入ったのは①《スイスの間》、戦いの絵がある。
ついで②《Corazzierの間》 床は木だ。3方にキリスト教にかかわる絵、今にも動き出しそうだ。左と正面は十字軍の戦い、右はサロメ。
③《Sala degli Staffier》 奥に一部タペストリー。この部屋がまっすぐポルタ・ヌオーヴァ駅へ向かっている。右のタペストリーがくすんだ感じ。壁の上部の絵も暗い。
④《Sala dei Paggi》 正面と左がタペストリー
⑤《sala di Trono》 玉座
⑥《Sala di udienze》 木の床が幾何学模様。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の肖像画がある。
⑦《Sala di Consiglio》会議室。 ここから右に曲がる。
⑧《Gabinetto Chinese》四隅に春、夏、秋、冬の彫刻がある。 反対側へ進む。
⑨《Carlo Albertoの寝室》寝室だけあって落ち着いた感じの部屋だ。
⑩《Sala della colazione》朝食の食堂、明るい。
⑪《Galleria del Daniel》壁が鏡、そこが肖像画で埋めつくされている。
⑫《Sala di pranzo》昼食の食堂、20人分の食器がテーブルにセッティングされている。 壁の装飾も豪華絢爛。床は象嵌細工みたいだ。
⑬《Sala del café》修復中。
⑭《Sala dell’Alcova》
⑮《Sala de Madalioni》豪華なのだろうがキンキラキンだ。
⑯《Sala da ballo》ダンスホール。壁の上の方には、手をつないで踊っている絵がある。
ガイドのおばさんは英語で説明してくれたが、説明後の「わかった?」ン?と毎度いうのが耳障りだった。
◆王宮兵器博物館
王宮を出てから隣の王宮兵器博物館へ入る。
隣と言っても同じ建物で、王宮⑧《Gabinetto Chinese》の先にあったところだというのが入ってみてわかった。
ここでは鉄砲、槍、盾、弓などいろいろな兵器が展示されているが、甲冑がすごい。馬用のものもある。戦いの日に「生きて帰れるか?」など思いつつこれを着て出陣したのだろうか?
◆エジプト博物館
王宮兵器博物館を出てから前日夕方ビールを飲んだカフェの近く、バラッティ&ミラノBarrati & Milano でお土産用にジャンドゥイオッティなど買い込んだあとそれを持ったままエジプト博物館に入った。トリノに来るまでエジプト博物館などというものあるとも知らず入ったのだがその展示内容に驚いた。
たまに日本でもこの種の展示が行われるが規模が違うし、しかも常設だ。
棺やら副葬品に加えて地下の石像が圧巻だ。大きな石像がペアでしかもいくつもある。また、一部当時の壁が再現されている。棺に納められたミイラは本物なのか?作り物にしてはよくできているし、本物にしては無造作に手が届くような感じで置かれている。本物だとしたら当人が埋葬された時に何千年後かに異国の地で展示されると思っただろうか?
◆カフェでのランチ
チョコレートの袋が荷物になるので一旦ホテルへ戻り身軽になってサン・カルロ広場へ行く。トリノといえばカフェ、カフェに行かずしてトリノを語ることはできない、と思い広場に面したカフェの一つ、カフェ・サンカルロでランチをとることにした。 14時少し前なので満席状態だったが、タイミング良く右奥の丸テーブルが空いた。
天井高くきらびやかな感じの店内、真ん中にセルフ・サービスの料理が並べられている。カメリエーレは、白のツメ襟、黒のズボンに黒のエプロンでりりしくて格好良い。
13.5ユーロのランチはいわば定食で真ん中のテーブルへ料理を取りに行く必要はない。 その内容は、
○ トマトのオレキエッティか仔牛のステーキ
○ ドルチェ(ジェラートかケーキ4種にジェラート添え)
○ カフェ
というもの。雰囲気も考えるとなかなか値打ちのあるランチだった。
勘定をすませる時カメリエーレに夕食のリストランテ候補で具体的な場所、住所がわからなかったニュー・カヴァリョの場所を教えてもらう。広場をはさんでちょうど反対側だった。
◆モーレ・アントネッリアーナ
トリノを代表するヨーロッパで最も高い建物、モーレ・アントネッリアーナへ行く。少し遠そうなのでバスに乗る。バスはポー通りを行くが相棒が『曲がってから2つ目くらい』というので従ったら、これは全くの行き過ぎ、歩いて戻る。
モーレ・アントネッリアーナを前方に見て大きな通りに出る前にフンギづくしのメニューが出ている店の前を通る。残念なことに時期的にフンギのはしりなので金曜のみ(この日は木曜)の特別メニューのようだ。
大きな通りを渡ってようやくモーレ・アントネッリアーナへ。下から見上げると尖塔がかなり上にある。
まず、エレベーターで一番上まで。カゴの周りは何もないので結構恐い。尖塔の付け根のあたりが展望台、外へ出て一周するが折からの風と雨で半分は濡れてしまうし、アルプスなどは全く見えない。朝からのこの天気であればやむを得ない。
この建物は映画博物館になっているが降りて博物館の中へ。映画の原理をあらわすさまざまな展示。映画の歴史がイタリアとハリウッドに分けて展示されている。懐かしの映画がブースごとに映写されている。
順路にしたがって展示を見終えたあとのホールには左右二つのスクリーンがあり古い映画が上映されている。ここには一人一人寝そべるような椅子があり座って、というより寝てしばし休息をとる。 建物のドーム部分の内側がホールを見下ろす広い螺旋階段になっていて壁に映画の1シーンがスチール写真として展示されている。
この博物館は、映画と言っても一昔前の映画全盛時代のもの、という感じでやや時代遅れという印象を受けた。もう少し若い世代の人が見にきてもピンとこないのではないだろうか。だから『博物館』かもしれない。
◆夕食のリストランテ探し
サン・カルロ広場を通ってホテルへ戻る途中、教えてもらったニュー・カヴァッリョの前を通ったので店の前に出ていたメニューを見て頭に入れる。 ホテルに戻ってから三人で作戦会議。弟と二人で探しに出かけるが近場の店は今一つ。ポルタ・ヌオヴァ駅を通り過ぎる形で○○教会の近くにあるミシュランに載っていたIjBrandeに行ってみた。ここも外にメニューが出ていたのでざっと見てから呼鈴を押して予約。
◆三人そろう最後の晩餐
予約時間にあわせて訪れる。中は外から見るのとは大違いでドアを入って左側の部屋が客席。5つのテーブルがあるが奥からも話し声が聞こえてくるのでさらに部屋があるようだ。天井はヴォールト状、白い壁でお洒落なインテリアだ。
メニューをみると肉、魚、に分かれたコースがあったが、食べたいものを食べようということでアラカルトにする。ワインは弟がワイン・リストとにらめっこ。4日前にバルバレスコ村でそのワイナリーの入口があったGajaを選ぶ。
前菜の仔牛のカルパッチョは色はサーモン・ピンクでくどくなくとても美味しい。プリモのリゾットは注文の仕方が悪くシェアするつもりが3皿出てきたが美味しくてペロッとたいらげる。白身魚のグリルには赤いエビのソース的なものがかかっている。
ホテルからも近かったしわざわざ探しに来ただけの甲斐がある良い店で三人そろう最後の晩餐にふさわしかった。
◆サヴォイア家ゆかりの郊外へ
一夜明けたが今日も少し雨が降っていて肌寒い。一日早く帰る弟をホテル前で見送り残った我々二人は遠出してサヴォイア家ゆかりの郊外へ繰り出すことにした。振返ってみるとこの日は一日中バスやトラムを待っていた。
まず、スペルガの丘に向かうことにして、フロントでバス路線とバス停を教えてもらった。ホテルのすぐ側だと聞いていたのにみつからない。近くの花屋さんで訊いてみたが、今度はもっと先とのこと。しかし、そこにもない。
結局アカデミア・アルベルティナ通りのカルロ・エマヌエーレ2世広場の先に61番のバス停をみつけたが次々と来るバスは違う。かなり待つ。結局ホテルを出てから30分、ようやくバスに乗り込む。
バスはポー川を渡って左側に川を見ながらずんずん進む。ホテルのフロント氏には61番の終点と言われその気でいたが、途中地図を広げると終点の地名ではない。停留所と路線図を見比べながら運転手に伝えると降りるべきところ(サッシ・スペルガ)で教えてくれた。フロント氏はなんといういい加減な教え方だろうと思うがこれがイタリアだと思い直す。
◆スペルガの丘の聖堂
さて、今度は標高670メートルの丘に登るには登山電車に乗り換えなければならない。バスから降り、道路を横断してちょっと先、右手の小さな駅に行ってみると・・・・・。
駅員いわく『雨のため、動かない。振替えのバスは11時発』。 相当時間があるので近くのバールでカプチーノをすすり時間をつぶす。まぁ、相棒がいるからまだましだ。
10時50分、振替えのバス停に行ってみるとすでに停車していたので乗り込む。バスはつづら折りの道路を上って行く。このバスでも路線図とバス停をチェックし、近づいたころに運転手に伝える。他に乗っていた老夫婦も一緒に降り、帰りのバスのこと(12時20分にバスが来ていなければ電車開通だと)を教えてくれる。 降りてみるとかなりガスっていた。ガイドブックでは『スペルガの聖堂。青空の下、その姿が印象的』となっていたが全くの正反対だ。スペルガ聖堂の全容が見えない。
かの老夫婦のあとを追うように正面階段を上がって聖堂の中に入る。 聖堂の中はがらんとしてだだっ広い。外から霧の中、見たクーポラは物凄く大きかったが中から見上げる天蓋も本当に大きい。この聖堂を建立したヴィットリオ・アメーディオ2世の名前が天蓋の上部に書かれている。
この大きさに圧倒され聖堂をあとにしてバス停に戻ったが例の夫婦はいない。そのうち、聖堂の方から歩いてきた。その時、地下に王家の墓所があったのに見忘れたことに気づいたがあとの祭り、バスが出るのであきらめる。大失敗だ。
帰りのバスはつづら折りの道を下るがもう少しで終点という最後のカーブで上がってきた乗用車と接触。乗用車を運転していた男が降りてきてバスの運転手とやりあっていたがそのうち大したキズでなかったのか自車に戻りバスも動き出す。ほどなく登山電車の駅に着く。
◆63番のバスから41番に乗換え
帰りのバスを途中で降り、昨日訪れたモーレ・アントネッリアーナ近くでランチ。それから歩いてカステッロを目指す。今度は63番のバスでトリノ市内を反対方向へ向かう。途中、インペリアというバス停でストィピニージ宮殿へ行く41番に乗り換える。 トリノ観光に必要なトリノ・カードを持っていたのでバスやトラムに乗るのも楽だ。どこでどう乗ろうが関係ないし、料金を払う手間も一切ない。
◆ストィピニージ宮殿
ウニオーネ通りをまっすぐ進んで行くとバスの正面に大きな建物が見えてきたので降りる場所がまもなくだということがわかる。 バスを降り近づいてみると門からの距離が相当ある。壮大な宮殿だ。屋根の上にはそれこそ大きな牡鹿(レプリカ)が立っている。この宮殿はヴィットリオ・アメーディオ2世が狩のために建てたものだそうだ。
門をぬけ見学窓口に着いたのが14時20分。ところが次のガイド・ツアーは15時15分だといわれたが他に待っていたドイツ人?男性二人と『その前のガイド・ツアーが出ていない』と主張したら14時30分、4名でスタート。
イタリア語はわからないと言ったらガイドなし、案内板を指さすだけでまったくやる気がない。45分の予定がわずか20分で終わってしまう。
この建物は中央から両翼に伸びている。また中央奥には王の建物、王妃の建物がそれぞれつながっていてかなりの広さだ。 中央ホールには4本の柱。この柱の装飾がすごい。壁には落着いた色のタペストリーがかけられている。
寝室隣の部屋(英語ではDressingRoomとなっていた)のフレスコ画には登場人物の一人として中国人が描かれている。建物をつなぐ廊下はギャラリーとなっていて歴史をしのばせるものが展示されている。本物の牡鹿が左翼の部屋に置かれていた。
◆帰りのトラブルとコミュニケーション
さて、宮殿を見終わったあとはホテルに戻り荷物を受け取って次のホテルに移動だ。とにかく41番のバスに乗ればいい。というのは乗ってきたバスは宮殿前でUターンして行ったからだ。ということでかなり待ったが41番のバスに乗る。とこがちょっと行ったところで左折、きっとまたこのバス通りに戻るだろうと考えていたらトンデモない。
そのうち、運転手が『どこに行きたいんだ?』と訊いてきたので『チェントロ!』と答えると『降りて乗り換えた方がいい』と団地の中の小公園みたいところで降ろされた。そのとき青年が途中まで一緒に行ってくれることになった。
次のバスを待っている間、片言の英語、片言のイタリア語でいろいろ話をする。
『日本からミラノまで12時間』というと、びっくりして『とてもそんな長い時間は乗れない』と答えてくる。 次の何番かのバスに一緒に乗ったが彼が降りるとき、『降りよう』と合図され、トラムに乗り換えるよう教えてくれ、トラムの乗り場近くまで連れて行ってくれた。名前も訊かなかったがグラッツェ!
彼と別れてトラムを待つがなかなかこない。3台続けて回送車(FuoriServizio)、16時14分ようやく乗る。16時43分、ポルタ・ヌオヴァ駅到着。
今朝チェックアウトしたホテルでスーツケースを受け取りタクシーを呼んでもらって最後の1泊のリンゴット・ホテルへ。
◆スタイリシュなホテル、Le Meridien Lingotto
タクシーはニッツア通りを行くが段々と街から遠ざかって行く。
それもそのはず、目指すホテルは元フィアットの工場を改装したものだ。右手にらしき姿をあらわした細長い建物の一番先まで行ったところで右折、駐車場をぬけたところで降ろされる。
中に入ると左手奥にフロントがある。天井は高くロビーは広々としている。インテリアは超モダン。このホテルは場所柄便利は悪いが「このホテルに泊まること」こそ目的だったのだ。
部屋の内装も超モダンだ。中庭をはさんで向こう側はショッピング・センターで大勢の人が歩いているのが大きなガラス窓から良く見える。
一休みしてから一旦1階に降り、中庭の方から入り直し、ショッピング・センターのフロアに行ってみた。イタリアには珍しいショッピング・センターだが、日本のホテルのアーケード街というよりは本当に寄せ集めの店で構成されるショッピング・センターという感じでわれわれ外国人観光客には物足りなかった。
かつて車をこの建物内から出すためのコースなのか、そのまま残っていてゆるやかなスロープの通路になっている。
◆トリノ最後の日、午前はチェントロへ
ホテルのロケーションは不便ではあったが、それをものともせずバスでジェノヴァ通りから1番のバスでポルタ・ヌオヴァへ。そこから先は歩いてサバウダ美術館に行く。この美術館はエジプト博物館と同じ建物だ。すぐ近くには茶色ぽいレンガのどっしりとした建物のリソルジメント宮殿がある。トリノは見所の多い街だ。
美術館はサヴォイア家の収蔵絵画が展示されている。
ルネサンス期の宗教画、ルーベンスの作品(ろうそくの灯りが印象的)、肖像画など数多いが、あるはずのマンテニャ、ティントレットの絵を見つけることができなかった。
次は、王宮そばのサン・ロレンツォ礼拝堂へ。 入ると正面にマリアか何かの像。中は外観からは想像のつかない装飾の素晴らしさに圧倒される。全体に丸いが四隅にはキリスト磔刑、聖母被昇天などの絵がかけられている。
次いで二度目のドゥオモへ行く。 かの『聖骸布』コピーの前ではガイドなのか先生なのか学生らしい男たち5~6名に一生懸命説明中だ。
中で記念品を売っているおばさんに[礼拝堂の写真を撮ってもいいですか?』と訊くと『どうぞ』。なかなか説明が終わらず写真が撮れないので左手奥の礼拝堂で行く。
聖骸布はこの中の箱に納められているという。また教会のおばさんに『写真を撮っていいですか?』と訊ねると『Si! イタリア語をしゃべれるんですね』。『ちょっとだけです』と答えると、あとは『どこから来たの?』、『カトリック?』と次々と小声で質問される。こういうコミュニケーションもいいものだ。
再度さっきの場所に戻ると先生が気づいたのかよけてくれたので数枚写真を撮る。聖骸布は十字架から降ろされたキリストを包んだ布のことだが、コピーにも大柄な男が写っている。特に顔がくっきりと見える。
これで予定の市街観光は終わり。前の日にチョコレートを買った、バラッティ&ミラノへ行き、歴史のある店内でカプチーノを飲む。美味しいカプチーノだ。
ポルタ・ヌオヴァ駅まで歩き、リンゴット・ホテル近くへ行くバスの停留所を探すが見つからず多少あせったがちょうど1番のバスが見えたのでバス停まで走る。
◆自動車博物館
11時20分頃ホテルに戻り大急ぎで荷物を整理し、30分後にはチェックアウト。荷物を預けて最後の観光、自動車博物館に行く。市内からだとわざわざ、という場所になるがそこはフィアット工場だったホテルからは歩いていける。
1900年初めの馬車から車になったようなものとか古い車、F1などレーシングカー、最近といっても1950年代から現代のフィアットなどかなりの台数がゆったりと広い建物に展示されている。車好きにはたまらないところだと思う。
外を見ると雨。傘は1本だけ。そのうち雷が鳴り出す。しばらく待っていたが小降りになったのを見計らって13時すぎ博物館をあとにする。
◆ 最後のランチ
さぁ、あとは最後の昼食だがあまりお店がないのは昨晩で経験済み。1本の傘で濡れないように夕べの店に向かう途中リストランテ発見!
4人用のテーブルにゆったりと座り、ピエモンテ郷土料理を味わい今回の旅行最後の食事とした。夕食に訪れればなお良かったと思わせるリストランテだった。
◆いざ、帰国
ホテルに戻りタクシーを頼んでミラノ・マルペンサ行きのバス・ターミナルへ。ターミナルと思い込んだだけで実際は原っぱみたいな事務所兼切符売場兼待合室の建物がありその前の道路に乗場があるだけでタクシーに連れて来てもらわなければそれとはわからないだろう。
15時ちょうどのバスでマルペンサに向かう。途中右手にスペルガの丘がかすかに見えた。2時間で到着。あとは飛行機に乗るだけだ。
◆泊まる
ホテル Starhotels Majestic(★★★★), C.so Vittorio Emanuele Ⅱ, 54
1泊Twin 135ユーロ、Single(Twin) 130ユーロ、Venere.comで予約。 2泊した。
ロビー、レストランもゆったりしていて、部屋も広くてきれいで良いホテル。 ポルタ・ヌオヴァ駅から近い。
ホテル Le Meridien Lingotto(★★★★),Via Nizza, 262 (www.lingotto.lemeridien.com)
Twin 125ユーロ、Venere.comで予約
FIATTの工場跡がホテルとショッピング・センターに改築されたホテル、話のタネに泊まってみた。ロビー、部屋ともにモダン。部屋からは中庭をはさんでショッピング・センターが見える。エレベーターを降り、部屋に向かう廊下は、さすが工場の跡を彷彿とさせるイタリアのホテルでは珍しい長い廊下。
ロビー、廊下でもあまり人を見かけず無機質な印象。 朝食は天井の高い1階ロビーの反対側で細長いスペース。赤っぽいハム、オレンジジュース、果物が(ブルーベリーや木いちご)おいしかった。
確かに話のタネにはなるが、いかんせんロケーション、足の便が悪い。夕食をとる店を探すのに苦労した。
◆ 食べる
●リストランテ
お店の名前 Mare Nostrum, Via M.Pescatore,16
食べたもの 前菜 クロスティーニというか、パンにペーストをのせたもの、2つ×3皿。 細長い貝、魚などのから揚げ、まぐろのタルタル
プリモ トマト・ソースのリガト-ニ、小さな丸い形のパスタ
セコンド 牛肉の串焼き、小魚類のフリット、白身魚とポテトの包み揚げ
ワイン シチリアのワイン、白、赤各1本
20時予約で少し遅れたが、まだ早いのか客はあまりいなかったがそのうち満席となる。
オーナーがテーブルの横にしゃがみこみ、生パスタ5種類を見せながらプリモの説明をしてくれた。食材、ワインはシチリアのもののようだ。
メニューを見せられたわけでもなく「お任せ」のような感じ。 大衆的な店のようで安いのかと思ったが勘定書きをみてちょっとだけびっくり。前菜だけで一人20ユーロ、全部で180ユーロ、日本円換算で一人9,000円。
お店の名前 Café San Carlo, Piazza San Carlo, 156
ランチで訪問、本文のとおり
お店の名前 Ij Brande, Via Massena, 5
ミシュラン フォーク1本の店
食べたもの 前菜 仔牛のカルパッチョ(2皿)、何種類かの魚のカルパッチョ、計37ユーロ
プリモ ゴルゴンゾーラのリゾット(3皿)10ユーロ×3
セコンド 白身魚のグリル(2皿)、肉のグリル 計48ユーロ
ワイン GAJA 25ユーロ
BARBARESCO Serra Boella, vendmia 2001, Paitin di Pasquero-Elia, 35ユーロ
水、カフェ、グラッパなど 3人で190ユーロ
お店の名前 Cibovagando, Via San Ottivio, 34 (www.cibovagando.it)
カジュアルなリストランテ、テーブルや椅子、メニュー体裁からみて大衆的。
金曜はフンギということで行ってみたが、残念なことに夜のみでいくつかあるランチはセット・メニューからチョイス(9ユーロ×2)。セコンドとして取ったサラダの量がとてつもなく多い。
水、コーヒーを含め2人で21ユーロ。
お店の名前 Ristorante Pizzeria Entremetier, Via Nizza,216 (www.ristorantemina.it)
トリノ最後の夜、Le Meridien Lingottoの近くで夕食用の店を探したがほとんどなくやむなく入った店。
お店のサービスの人はベトナム人などアジア系の人がほとんど。お客は店の周りの地元の人たちがわいわい。狭い店内にはテレビが置かれ何か写っている、というツーリストにとっては場違いな店。
フンギのピッツァ(4ユーロ)、パルマのプロシュット(5.8ユーロ)、海の幸サラダ(8.2ユーロ)、魚介類のリゾット(7.5ユーロ)、スカンピのグリル(11ユーロ)、 その他チーズ、ワイン(Dolcetto 10ユーロ)、水、コーヒー、食後酒(2.1ユーロ×2)で2人で59ユーロ。
お店の名前 Ristorante Mina, Via Ellero, 36
トリノ最終日のランチ、自動車博物館の帰りに前日夜の店に行くしかないかとあきらめていた時に見つけた少しエレガントなリストランテ。感じの良いマダムのサービス。壁には若い頃の美人のマダムが描かれた絵がかけられていた。
ピエモンテ名物、いわば生肉のたたきCarne Crudo(6ユーロ)をシェア。メインはプリモから、ゴルゴンゾーラのタリアテッレ(8.5ユーロ)、フンギのリゾット(9ユーロ)を各一皿。水、ワイン、コーヒーなど2人で39.5ユーロ。
◆買う
トリノ・カード 72時間券 36ユーロ 各種施設入場、バス、トラム乗車がフリーパスなので、旅行者にとっては強い味方。
ジャンドゥイオッティ 1袋(多分20粒)10.5ユーロ×3袋、板チョコ 2.5ユーロ×2枚、 クレミーノ・クラシコ 1袋7ユーロ
いずれもバラッティ&ミラノにて。 ジャンドゥイオッティは味にうるさい次男から『今までのお土産でいっちばん良かった』と絶賛された一品。
お店 Baratti & Milano , Piazza Castello,127
パルミジャーノ・レッジャーノ 約1.8kg リンゴット・ホテル近くの公園での移動販売車で買う。1キロ12.9ユーロとめちゃ安。
◆読む
本の名前 『聖骸布血盟(上、下)』 フリア・ナバロ著、白川貴子訳 ランダムハウス講談社文庫 各760円 聖骸布が保管されているトリノのドゥオモが舞台。物語は奇跡をおこすキリストの時代から始まり、十字架から降ろされたキリストを包んだ亜麻布をめぐる二千年にわたる攻防の終幕は現代。『ダ・ヴィンチ・コード』ほどのややこしさはなくラストまで一気に読ませる面白い小説。これを読んでいたからこそ、ドゥオモでの聖骸布(コピー)を見たかった。