Barolo (バローロ) 2006/9/12~13


Barolo (バローロ) 2006/9/12~13

◆ワインの王様《バローロ》のふるさとへ

バルバレスコに近いアグリツーリズモ、Casina Barac で朝食の後、前日頼んだタクシーを待つ。

今日の予定としては、バローロ村のワイナリーの一つ、マルケージ・ディ・バローロを訪問し、ワイナリーの見学、当主パオロさんとの昼食、バローロ村のエノテカ・レジョナーレに立ち寄り、宿泊のこれまた《バローロ》の名門、フォンタナ・フレッダのホテルまでという行程だ。

だから一回一回タクシーを手配する訳にもいかない。 9時半きっかりにタクシーがやってきた。Casina Baracのオーナー、アルビーノさんに『半日ハイヤーにすると幾ら位かかるだろう?』と訊ねているところに、運悪く?ドライバーがやってきて、話に加わり1時間15ユーロとのこと。

◆マルケージ・ディ・バローロ訪問

今回のピエモンテの旅にワイナリー探訪という目的はあったものの、フォンタナ・フレッダ内のヴィラに泊り、ワイナリー見学を予約していただけだったのが、出発2週間ほど前になって、急にマルケージ・ディ・バローロ訪問の話が持ち上がった。

というのは、同行の弟がよく行く某イタリアン・リストランテで懇意のイタリア人シェフにピエモンテ行きを洩らしたところ、『友達がやっているワイナリーを紹介する』といってくれたからだ。 その話を聞いて「それは有難い」とお願いし、こちらの日程を変えることなくアレンジしてもらった。

初めは、アルバの駅で迎えてくれるというような話もあったが、いずれにしてもタクシーを使うため、また心苦しいこともあってアルバから秘書の方へ電話をし、11時にお邪魔することにしていた。

◆グリンツァーネ・カヴール城の大展望

バローロまで30分くらいしかからないようだったので、まずフォンタナ・フレッダのヴィラに荷物を預けてから行くことにした。9時半すぎに出て10時にはフォンタナ・フレッダに到着。ここは位置的にはバローロ村の東。広々としたワイナリーで、さすがイタリア統一初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の狩猟区だったところだけある。 Barolo フォンタナ・フレッダ 案内板 Barolo フォンタナ・フレッダ 建物

まだバローロに行くには早すぎるということでどこに寄るかはブルーノさんに任せた。

車は一旦アルバ方向へ戻り、小さな町(Diano d’Alba)の中を抜けて丘を登り始める。登りきったところが丘のてっぺん。眺望のいいカステッロだ。

このカステッロがグリンツァーネ・カヴール城であることをあとで知る。 360度の大パノラマ、見渡す限りのぶどう畑。晴れていることもあって素晴らしい景色だ。 Barolo グリンツァーネ・カヴール城からの眺望② Barolo グリンツァーネ・カヴール城からの眺望③

『あの山の上の町がLa Morra、足元のあそこがさっきのフォンタナ・フレッダ、その先がバローロ村』、ぐるっと向きを変えて『あの方向がアルバ』といろいろ教えてくれる。

このグリンツァーネ・カヴール城は今ワイン展示館になっていてブルーノさんが先に立って中に案内してくれる。ワインを造るために昔使われていた道具が展示されている。 Barolo グリンツァーネ・カヴール城②  Barolo グリンツァーネ・カヴール城 ワイン展示館④   Barolo グリンツァーネ・カヴール城 ワイン展示館⑤

コルク打栓機やら何やらいろいろなものがある。ぶどうを絞るものなのかかなり大きな器具もある。展示館というよりは博物館といった方が正しいかもしれない。

奥の方にはエノテカやみやげ物の売店が併設されている。ここでトリノの名物チョコレート、ジャンドゥイオッティを見つけ、買おうか迷ったが荷物になるので予定通りトリノで買うことにして展示館をあとにする。 Barolo グリンツァーネ・カヴール城 ワイン展示館⑦

Barolo グリンツァーネ・カヴール城 ワイン展示館⑥

◆ Marchesi di Barolo

うまく時間調整を兼ねた観光をしたおかげでちょうど11時にMarchesi di Baroloへ到着。

『2時に迎えにきて欲しい』というと、『食事をするならば、そのあと村の観光を含めて3時だ、イタリアでは食事に時間をかけるのだから』と返された(結局食事だけで3時になってしまったからブルーノさんの見通しに脱帽!)。

フォンタナ・フレッダとは対照的で道路に面した入口、幅もそれほど広くない。すぐ左に売店があり、弟が中に入って秘書の方を尋ねると若い女性が出てきて「彼女は今いないけど自分が対応することになっています」、「コーヒー飲みますか?」(全部流暢な英語)。「はい」と答えると正面2階のテラス席に案内され、エスプレッソをご馳走になる。

そうこうしているうちに若い男性(日本人?)があらわれ、日本語で『すみません。遅れてしまって。案内をするCです。在日の韓国人です』と挨拶された。最初は本当に我が同胞かと思ったが、この挨拶を聞いて納得。

彼がワイナリー工場を案内してくれることになった。彼は、東京育ちで三重県でぶどう作りを手伝い、その後自分でワインを造りたいという希望をもってイタリアに勉強にきているとのこと。アルバに住んでいてアルバの専門学校に学んで4年目だという。勉強しながらこのワイナリーでも修業をしているようだ。

◆醸造場とセラーを見る

まず、階段を下りて広場のぶどうをトラックから降ろしてから地下へ降ろす機械を見せてもらう(帰るころには丁度この作業を実際にやっていた)。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ ぶどう積み下ろし

● ぶどうを実・たねと枝に分ける。

● 35度まで発酵させる(それ以上温度が上がると糖がアルコールに変わらなくなる)。

● 大きなステンレスタンクで1次発酵

● コンクリートタンクで熟成

Barolo マルケージ・ディ・バローロ タンク③

Barolo マルケージ・ディ・バローロ タンク④  ● 150年前から使われているクロアチア、スラボニア産の大樽で熟成させる(全部で2万本分の18,500リットル)。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ 大樽① Barolo マルケージ・ディ・バローロ 大樽に紋章

● バリック樽 真ん中の栓を開け、減っていれば足す。 このバリック樽は使い捨てで1個600ユーロもするという。小さな樽なのでカーヴをつけるために焼くが、それが香りの元だということを知った。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ バリック樽②

● ボトル詰めを800m離れた場所で行うのでそこまでパイプで流す。

Baroloは木樽で2年以上熟成しなければならず、BaroloRiservaは5年だそうだ。だから一番新しくても5年前のヴィンテージということになる。 このようなことを醸造場の中を行ったりきたりで説明してもらう。何せ、日本語でしかも3人に対しての説明だから本当にありがたい。

さらに奥に進むとワイン・セラーがある。ここにはヴィンテージ順にボトルが寝かされている。温度は醸造場よりも低くコントロールされているのが実感された。 1番古いのは1859年もの。ほかの年代ものと一緒に小さな格子扉のケースに立てて保管されている。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ セラー 年代もの

Barolo マルケージ・ディ・バローロ セラー 1859年もの

それ以外は棚に年度ごとに置かれている。我々3人はそれぞれ生まれた年のボトルを手にして写真をとりあう。めったにできない経験だ。

バローロの歴史の中で素晴らしい年は10年あるという。1922年、1931年、1947年、1964年、1971年、1978年、1989年、1997年、1999年、2000年。張り出されているポスターに年度順に評価が書かれていてこれらの年は”OUTSTANDING VINTAGE” だ。 Barolo マルケージ・ディ・バローロ ヴィンテージ表②

その中で年代ものの1つを手にして『これは売っているんですか?』と訊ねると、『パオロに頼めば買えるかもしれませんよ』とのこと。買えるとしても相当するのではないだろうか?恥をかくのでお願いはしなかった。

◆当主とのランチで楽しいひととき

ひととおりの見学を終え、売店に戻る。ランチには当主のパオロさんがお見えになるということで売店奥の大きなテーブルに案内された。ちょうどその場所からガラス越しに地下の樽が見える。

まもなくパオロさんがお見えになり英語で挨拶、スプマンテが出てくる。てっきりそのテーブルで食事かと思ったら『リストランテへ』と2階に案内される。

奥のテーブルにゆったりと4名が座る。パオロさんの右隣には弟、左隣には兄、正面には自分という位置関係。ガイド役のCさんは、今度はカメリエーレ役だ。

我々にとっては観光だが、招待を受けたということでお互いビジネスランチのようなもので話題のキャッチボールをしなければならないがここはアレンジ役で英語に強い弟に任せることにした。あとはたまに合いの手を入れるくらい。それにしてもワインで世界を股にかけるビジネスマンのパオロさんは英語が流暢でつまるようなことはほとんどないし、イタリア語なまりも全くない。ということで片言のイタリア語を使わないですんだ。

さて、肝心のワインと料理。あまりに美味しかったのと話が弾んでいたこともあってあまり詳しく覚えていないが次のようなものだった。

前菜はいわば郷土料理、子牛の生肉を少しあぶったカルパッチョ(3切)、ツナのソース添え。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ 前菜① 次も前菜、テリーヌのようなものだが材料不明。固くなくフワッとしている。これもソ ース添え。Barolo マルケージ・ディ・バローロ 前菜テリーヌ② プリモはラヴィオリ、サルビアとバターのソース掛け。

Barolo マルケージ・ディ・バローロ ラヴィオリ チーズ3種、真ん中にこの地方のCogna(チーズにつけるジャム、ワインから作られている)。 デザートはパンナコッタとカカオのケーキ。

ワインは料理にあわせ、またグラスが空になるとカメリエーレ役のCさんがどんどんサーヴしてくれる。

Dolcetto d’Alba (MADONA di COMO) 2005 Barolo(CANNOBI) 2001 (CANNOBIというのはぶどう畑の名前でバローロの中でも最高級) Moscato d’Asti (デザートワインとしてBarolo マルケージ・ディ・バローロ 前菜に Dolcetto d'Alba 2005

Barolo マルケージ・ディ・バローロ CANNOBI 2001 意外だったのは食後のカフェをパオロさんは飲まなかったことだ。

楽しい食事を終えたところでパオロさんからお土産をいただく。私と兄にはバローロのグラッパ、弟は紹介者の友達ということでバローロ、しかも例のCANNOBIのマグナム・ボトル。山形の焼酎を差し上げただけのが申し訳ないくらいだ。

パオロさんは「予定があるから」といって14時40分席を立つ。我々は下の売店に行き、店内を見ている間に食事中パオロさんにお願いした1999年のバローロが2本づつ箱詰めされて用意された(これは購入)。

◆バローロ城へ、そしてラ・モッラへ

15時ちょうどに駐車場でブルーノさんと落ち合いバローロ城へ。このお城もエノテカ・レジョナーレとなっている。本来、車は入れないようだがブルーノさんが一言言って入口近くまで連れていってくれた。展示室やらテイスティングの場所もあったがエノテカを見るだけにとどめる。

あとは本日の宿、朝立ち寄ったフォンタナ・フレッダへ行くだけだがブルーノさんが気をきかし、午前中のグリンツァーネ・カヴール城から見えたLa Morraに連れて行ってくれた。

今度はここから、バローロ、フォンタナ・フレッダ、アルバを見渡す。天気がいいこととブルーノさんに感謝、感謝。ここにもエノテカ・レジョナーレがあるが休み。すぐそばにサン・マルティーノ教会がある。

Barolo ラ・モッラからの眺望②

Barolo ラ・モッラからの眺望④

Barolo ラ・モッラ サン・マルティノ教会①

Barolo ラ・モッラ鐘楼 ◆ヴィラ・コンテッサ・ローザ

ここからはフォンタナ・フレッダまですぐだ。16時にヴィラ・コンテッサ・ローザ前に到着。ブルーノさんはメモと鉛筆を取り出し、朝からの動きを書き出して一つづつ足していくと95ユーロ。1時間15ユーロとの関係は?と思うが言い値で払う。

続いて『明日は何時にどこへ?』と訊かれ、『ブラへ直行する』と答え、交渉して40ユーロに決めた。これだって簡単ではない。『タクシーはアルバからくる、アルバに戻り列車に乗れば一人10ユーロはかかる。だから・・・・』と攻めてくるのを『アルバからブラまでの運賃はそんなにかからない云々』と対抗、上記に落ち着いたものだ。

このヴィラはホテルというより、ゲストハウスと称するだけあって、建物の端に入口があるものの小さな机があるだけでフロントもなく朝と同じくひと気もない。部屋へどうやって入ったらいいかわからずうろうろしていたら、すでにチェックインしていたらしいカップルが『部屋のドアに鍵が差し込んである』と教えてくれた。入口わきの2部屋だった。

しばらくベッドに横になりまどろむ。19時前に相棒と二人であたりを散歩。

Barolo フォンタナ・フレッダ 夕暮れのぶどう畑

ついでに予約していた翌日のテイスティング・ツアーの終了時刻を確認しに行く。タクシーが迎えにくる時間には十分間に合う。

さて、夕食。これはヴィラ内のリストランテをメールで予約していた。時間は20時、場所は隣の建物だ。ランチでお腹一杯だったので一向に満腹感がおさまらない。

Barolo フォンタナ・フレッダ リストランテ入口②

時間になったので隣の棟に移動、階段を上がったゆったりとした部屋に我々だけのテーブルがセッティングされている。天井からはシャンデリア。昔日の愛妾の部屋か?と、ふと思ったのはこのヴィラがヴィットリオ・エマヌエーレ2世が側室とした女性のためのものだったのでは・・・

Barolo フォンタナ・フレッダ リストランテ

Barolo フォンタナ・フレッダ リストランテ シャンデリア②

料理はメールのやり取りでトップワイン5種類つきのお任せにしていたが、郷土料理ということなのか、Marchesi di Baroloでご馳走になったお昼とほとんど同じだ。

しかも、まだまだお腹がすいていない状態で、食欲もなく折角のワインもなかなか進まない。完食できたお皿は一つもなくセコンドなどはサーヴされる前に断ってしまうほど。お店の人には申し訳ないことをした。

◆朝の散歩

朝食後、園内を散歩する。バルバレスコのPIAZZOとは比べ物にならないとんでもない規模の大きなぶどう畑のようだ。すでに小型トラックに積まれたぶどうが売店手前の集荷場に何台もやってくる。

道路をはさんだ反対側、すなわちヴィラの並びにはピンク色の小さな教会があり、その手前、門に近い方には季節労働者のためのものなのか宿泊棟が何棟か建っている。

Barolo フォンタナ・フレッダ 教会

Barolo フォンタナ・フレッダ ぶどう畑

ぶどう畑もすぐ側まできている。 フォンタナ・フレッダの語源となった池は逆にちょっと奥の方だ。くるみの木が多い。もう泉は出ていないようだが名残の祠がある。

Barolo フォンタナ・フレッダ 祠

Barolo フォンタナ・フレッダ くるみの木

 

◆ワイナリー・ツアー

昨日、Marchesi di Baroloでじっくりと見学、説明を受けていたので本来ここでは必要ないはずだけれど、Marchesi di Barolo訪問が決まる前に予約していたため予定通り参加(3種類のワイン・テイスティング込みで一人8ユーロ)。

ツアーは10時からだが、9時45分集合なのでその前にチェックアウトをしておこう。フロントには相変わらず誰もいない。2階の食事を準備していた場所で訊くと、外の事務所だという。9時半に事務所に行くとワイン・ショップだという。とりあえず荷物を預かってもらい、ワイン・ショップへ。

ワイン・ショップで待っていると昨日部屋の鍵のありかを教えてくれたカップルが一緒。昨晩、食事の際に何かと説明してくれた若い男性がツアー・ガイドだ。彼はフォンタナ・フレッダの由来から、とうとうとしゃべる。もちろん、Marchesi di Baroloとは違って英語だ。中々ワイナリーの中に入れない。

年間生産量は6万本、そのうち4万本がスパークリング、残り2万本がワイン、その80%が赤、20%が白。大きな木の樽の産地はMarchesi di Baroloと同じくスラボニア産、小さなバリック樽はフランス産のオーク、これは3年使うという。毎年新しい樽を使うよりはコストがセーブされるということなのだろう。

Barolo フォンタナ・フレッダ 熟成中の樽

Barolo フォンタナ・フレッダ バリック樽②

これ以外にも、というよりこれをはるかに超える説明を受け、見学を終え、細い地下道をくぐり抜けるとワイン・ショップの下に出る。そのまま上がり、ワイン・ショップのバールで試飲。セラーの中で樽から取り出したワインを味見するようなことをイメージしていたのでちょっとがっかり。テイスティングは3種類だ。

● シャルドネ

● Diano d’Alaba, LA LEPRE

● Barbaresco, COSTE RUBIN

赤は 、あとのほうがどっしりとしていてまろやかで美味しいように感じた。 Barolo フォンタナ・フレッダ テイスティング① Barolo フォンタナ・フレッダ テイスティング② Barolo フォンタナ・フレッダ テイスティング③Barolo フォンタナ・フレッダ テイスティングのあと テイスティングは10時50分終了、事務所で荷物を受け取るとまもなくブルーノさんのタクシーが約束の11時きっかりに現われ、一路スローフード運動の町、Braへ向かう。

◆泊まる&食べる ホテル Villa Contessa Rosa, Via Alba15, Serralunga d’Alba, http://www.villacontessarosa.com/ Fontana Freddahttp://www.fontanafredda.it/内のゲスト・ハウス

Barolo フォンタナ・フレッダ ヴィラ・コンテッサ・ローザ Twin 100ユーロ、Single 80ユーロ、ネット上の旅行記で知りHPからメールで問い合わせて予約。

ホテル内リストランテ お任せコース、料理5品とそれに合わせた5種類のワイン。一人50ユーロ。メールで予約していた。

パルミジャーノとサラミ盛合せ

アンティパスト 牛肉のカルパッチョ、ツナ・ソース添え さらに フワッしたテリーヌ

Barolo フォンタナ・フレッダ テリーヌ

プリモ ラヴィオリ

セコンド 兎の煮込み

Barolo フォンタナ・フレッダ 兎の煮込み デザート ティラミス、桃スライス添え

Barolo フォンタナ・フレッダ ティラミス

カフェ

ワインは、食前酒、白、赤(Nobbiolo、Barolo)、デザートワインの5種類

◆買う Barolo, Marchesi di Barolo, 1999  2本、28ユーロ×2