Montepulciano(モンテプルチアーノ) 2000/8/09


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トスカーナの旅、4日目、ワインで有名なモンテプルチアーノを訪れる。この日はペルージャを立ち、オルヴィエート観光の後、FSでキューズィ・キャンチアーノへ行き、駅前からバスでモンテプルチアーノへ向かう。

列車は15時29分発、30分でキューズイ到着(1人4,200リラ)。小さな駅だ。駅前のバス乗り場も小さくて数台分しかなく、ここから長距離バスがでるか不安になったが、30分後にバスのあることが分り、ホッとする。

16時30発車、乗客はそう多くない。途中16時55分にテルメ・デ・キャンチアーノという温泉の町を通る。車窓からみただけでも、大きなリゾート地という雰囲気がする。きっとシーズンには多くの人が温泉などを楽しみにくるに違いない。

そこから約30分で山道を上がりモンテプルチアーノの町の入口目前の広場に着く。そこが終点。この町はそう大きくなくホテルを選ぶ時にも、ガイドブックには2つしかなく結局前の晩ペルージャで決め電話で予約したのだが、バスを降りてプラート門に入ってすぐ左手に選ばなかった方のホテルがあった。

「なぁーんだ、あのホテルだったらこんなに近かったんだ」と言いながらさらに町の中を進んで行くと勾配が段々きつくなる。スーツケースを引っ張るが結構大変だ。うっかり手を離そうもなら、まるでスキー場でころんで板が落っこちていくようにガッーとスーツケースが落っこちていきそうだ。

両側にはさすがワインの店やらみやげ物屋などがある。その急な坂道を30分かけてドゥオモの前を通り過ぎさらに上にあるホテルを見つける。このホテルは町の一番高いところにあり、そういう面ではホテル選びを間違ったのだ。間違えた理由はただ一つ、この町は南北に長く、そして北から南へ上っているのが、地図では南が下にあるからだった。でも、入口近くのホテルだったら果たして上まで足を伸ばしただろうか。

着いた時間が時間だけにいわゆる観光をする余裕はない。モンテプルチアーノにはワインを試飲させてくれる店(カンティナ)が沢山あるらしいが、醸造元直営のところを知るためにグランデ広場の観光案内所に行くがよくわからない。あきらめて出てみるとすぐ近くにそれらしき店の看板があるがもうすでに19時をまわっていて閉まっていた。

グランデ広場を取り囲むように市庁舎、ドゥオモ、コントゥッチ宮などがある。市庁舎はフィレンツェのヴェッキオ宮を模したというだけあってよく似ている。違いは塔が若干低いことか。いずれにしてもすべて外観のみで中には入らなかった。翌朝見るつもりだったが、シエナへ行くバスの時間の関係で結局モンテプルチアーノ観光は省略。坂道の上り下りがこの町を知る観光といえば観光。

さて、今度は坂道を下り、途中翌朝のバスの時刻を調べながら両サイドの店を眺める。折角ワインの産地へきたのだから、ということで1軒のワインの店に入る。何本か同じものを買えば安くなると書いてある。やはりイタリア各地からあるいは地続きの国から車で来た人は沢山買い込むのだろう。我々は荷物もあることだし、残念ながら1本だけ(この日オルヴィエートで1本買っていた)地元の、といってもあのVino Nobile di Montepulcianoを買った。
イタリアの古き良き骨太なワイン!クロチアーニ・ヴィーノ・ノヴィーレ・・ディ・モンテプルチ...

今回の旅で買ったワインの中では一番高かった(65,000リラ)だけあって美味しかった。

次は例によって夕食のリストランテ探し。FIGAROの「TRAVEL BOOK イタリアレストラン」に出ていたイル・カントゥチョという店を探す。半分以上坂道を下った左手に見つけ中に入ったが満席と断られる。しようがないなぁ、と思って一旦出たが兄が『どこかいい店を教えてもらおう』と言うのでもう一度入り、2つの店を教えてもらう。

まず一つ目はさらにプラート門の方へ下り右手にあったが夏休み中。そこで2軒目を探す。坂道を上り、左の路地に入って右に曲がって右手、割と簡単に見つかったがガラス越しに中を見るとほとんど客がいないので「大丈夫かなぁ」と思いながら他にあてもないので意を決して『ボナセーラ』と入る。

入口を入ってすぐのところのテーブルに前菜が多数置かれている。そこを過ぎ奥にちょっとした大きなテーブルのある手前に座らされる。オーナー(だと思う)が注文を取りにきて、こっちが外国人観光客ということでイタリアなまりの英語で説明してくれる。ワインリストを頼んだところ分厚い本のようなものを出され一瞬戸惑ったがワインがABC順に書かれた辞書みたいなものだったので、当然Vino Nobile di Montepulcianoを選ぶことにしてVのページを開きアンティノーリのものを注文する。

料理は前菜盛り合わせ、というか入口附近にあった前菜の中から好きなものを取るビュッフェ方式。プリモは兎のミートソースのピチ(トスカーナ独特のパスタ、ぷりぷりのうどんのよう、ものすごく美味)とフレッシュトマトのニョッキ(これも美味い)。セコンドはフィレ・ステーキ、緑の胡椒味(大粒の胡椒が沢山添えられていた)。お昼が少々重かったのでセコンドは2人で1品にする。それにグリーンサラダ。デザート、カフェ、グラッパ、水。合計112,000リラ。

ここでの思い出は、初め少なかった客が段々と増えそのうち結構広かった店内が満席になり、また奥の大人数テーブルにはドイツ人のツーリストグループがやってきて賑やかだったこと。また、前菜を取りに立ったら、くだんのオーナーが『好きなものをどんどん取りなさい』というので2人の大好物の生ハム&メロンは2切れ、それ以外も玉ねぎ、ピーマン、乾燥トマト、茄子のグリル、豆、フレッシュトマトなどをよそう。13,000リラ(約700円)だったのでこれは2皿分請求されても当然だと思ったが1皿分だけだった。

食事を終えてまた坂道を上がってホテルへと戻る。グランデ広場のドゥオモ前では夏のイベントの演劇リハーサルをやっている。イタリアの夏は昔の日本のようにその町、その町で野外イベントが開かれているようだ。

◆食べる
■Borgo Buio(via di Borgo Buio, 10 53045)
◎兎のミートソースのピチ
◎フレッシュトマトのニョッキ
◎フィレ・ステーキ、緑の胡椒味
◎グリーンサラダ
◎グラッパ
◎水
◎デザート
◎カフェ
◎ワイン(Vino Nobile di Montepulciano)
計二人で112,000リラ也。

◆遊ぶ
■坂道の上り下り