Mola di Bari(モーラ・ディ・バーリ)2005/9/17


◆行く
プーリアマテーラの旅、最終日の昼食をバーリ市内のミシュラン3本フォークの店にするか、それともモーラ・ディ・バーリの《南イタリア屈指の洗練レストラン》にするか迷ったままバーリのホテルをチェックアウトし、荷物を預けてホテルを出る。

バーリから列車に20分乗らなければならないがプーリア&マテーラの旅のフィナーレを飾ることにして行動派の我々としてはモーラ・ディ・バーリへ行くことにした。

11:57の電車があるが、ドイツ人の若い女性バックパッカーグループが駅の自販機を陣取っていたのでイライラしながら待つ。発車5分前にようやく番がきて「行き」の乗車券のみ買ってホームへ急ぐ(これがあとで問題をひきおこす)。

12:17着。モーラ・ディ・バーリの駅は小さい。窓口は閉まっている。外に出ても土曜の昼時のせいかひっそりとしている。
店の名前と住所はメモしてきたがそれがどっちの方向なのか誰にも訊くわけにもいかない。とりあえず駅からまっすぐのびた道を海の方向へ行くが市内地図の大きな看板があったので、それをじっと見ると大体の場所がわかった。店までの通りの名前と曲がる方向を持っていたバーリ市内地図の余白に書き込んだ。これで一安心、あとは店が開いているか、開いていてテーブルがあるか、だ。

◆親切に感謝
途中、通りの名前を確かめるためバーリ市内地図をひろげていると通りがかった熟年のご夫婦が声をかけてくれる。

『どこに行きたいのですか?』、『このリストランテです』とメモを見せると、奥さんがご主人に『あなた、案内してあげれば』(と多分言ったんでしょう)。ご主人は持っていたスーパーの買い物袋を奥さんに渡しウンベルト通りまで一緒に連れて行ってくれた。親切に感謝、感謝だ。

彼は国連職員としてニュー・ヨーク勤務だったので日本人初め数々の国際的な友人がいるという。ウンベルト通りに入ったところでその先の左折する目印を教えてくれ、こちらからは丁重にお礼を言い(といっても“Grazie, molto gentile”)別れる。

◆プーリア最後の食事
さて、お目当てのお店に着いたが、やっているのかどうか、何となく静かな雰囲気。不安になったその時、一人の女性が出てきたので訊いてみると『どうぞ』とのこと。
テーブル・セッティングやインテリアからみると優雅なリストランテではあるが、中はひっそりとしていて客は誰もいない。

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若いカメリエーレが注文を取りにくる。例によってプーリアのワインという希望を出しあとの具体的な選択は任せる。
コペルトとして出されたオリーブはさすがプーリアがイタリア一の産地だけあってか、きれいな緑色で粒も大きい。フォカッチャのようなものは表面のパルミジャーノがこんがりと焼けていて香ばしい。

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前菜は恒例の海の幸サラダと車エビのカルパッチョにした。初めてカルパッチョで車エビというのを食べたがこれは美味い。車エビの身をたたきにしたようなもので素材が新鮮で美味しいからできるのだろう。とろけるような味だ(ぜひとももう一度食べたい)。

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プリモは海の幸のリゾット、セコンドはスカンピ(手長エビ)のグリル。いずれも今回の旅では何回か食べていて、プーリアの最後を飾るにはふさわしい。

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最後にカフェでしめるが大満足。

この間、他のお客は1人のみ。

料理を注文する時に帰りの列車の時刻を伝えていたこともあって駅までカメリエーレのトゥーリオが車で送ってくれることになった。モーラ・ディ・バーリの人たちって何と親切なんだろう。

◆とんだトラブル
いい町、いい人、いいリストランテだという印象を得て駅に入ったのだが・・・・・。
駅は週末だからなのか依然として無人。乗車券の自販機は他の駅にあるようなカードも使えるタイプのものはない。初めて見るような行先を選びコインを入れる機械式のものだ。何回かやってもコインがそのまま戻ってきてしまう。
それを見ていた少年2人が『おれがやってやるよ』というのでやってもらったところ、同じようにコインが戻り、すぐに『おれのもんだ』と取ってコインを返さない。最初から取るつもりだったとしか思えない。「冗談じゃない!」と思って握った手の中から何とか取り上げる。

その後、きた人のやり方を真似て切符を買って地下道をくぐりホームで列車を待つ。

そうこうしているうちにさっきの悪ガキがホームへやってきてころがっていた棒切れを手にして襲い掛かってきた。日本語で怒鳴るが今度は屋根瓦のようなものを見つけ、棒を捨てその瓦を投げつけようとする。無事に終わるはずだったプーリアの旅がここで大怪我をしローマに戻れなくなり、ひいては日本に帰れなくなるのかなぁという思いが一瞬頭の中をよぎった。

そのうちホームにいた一人の男性が彼らに声をかけいろいろと説得をしてやめさせてくれて事なきを得た。最後が少年に謝るように言い、彼に言われたようにオウム返しの英語で謝ってきた。

彼は我々に『自分の側にいるように』と言ってくれ、少年たちも同じ列車に乗り込んだので列車の中でも一緒に座ってくれた。彼の名はクリスさん。オランダ系アメリカ人でフロリダからバイオの研究に来ているとのことだった。『日本に来る機会があれば連絡して下さい』と相棒が連絡先を渡す。
14:45、バーリ着。クリスさんと別れる。

いろいろと中身の濃い3時間だった。

◆食べる
●リストランテ
Niccolo Van Westerhaut, via de Amicis 3/5
FIGARO(2002年4月5日号)のとじこみ付録で「南イタリア屈指の洗練レストラン」と紹介されていた。
<食べたもの>
オリーブ、フォカッチャ、海の幸サラダ(7.5ユーロ)、車エビのカルパッチョ(carpaccio di gamberoni、6.5ユーロ)、海の幸のリゾット(10.5ユーロ)、スカンピのグリル(7尾、20ユーロ)、カフェ(2ユーロ×2)
2人で70ユーロ(チップ込み)
<ワイン>
SALICE SALENTINO 2001 Riserva, CA’NTELE (10ユーロ)

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時間とともに段々美味しくなる。