Brescia(ブレーシャ) 2009/9/19/~21
◆行く
2009年イタリア一人旅、最後の宿泊地はブレーシャ。
この町はいつも通りすぎるばかりだった。最初はイタリア旅行初めてのとき、ベルガモからヴェローナに行くときに乗り換えた。あとはミラノ~ヴェネツィアなどヴェネト地方移動の際は何回も通りすぎている。
前泊地クレモナから乗った16時23分発の列車は単線なのか途中の駅でかなり停車していたが約1時間でブレーシャに到着。
意外に大きな町のようだ。駅からは、チェントロに入ってから歩道が土曜夕方のため混んでいてホテルまで20分かかってしまった。
◆夕暮れの町歩き
ホテルの部屋で一休み。時計塔に続くすぐ下の通りに面しているがすごく賑わっている。
19時すぎ例によって町歩きに出かける。出がけにレセプションでおすすめのリストランテを訊いてみたが、『今日は土曜だから今からだと予約はとれない。このあたりには沢山あるので自分の目で見て入って。』といわれる。
まず、さっきスーツケースを引っ張って通ったドゥオモ前の広場(パウルス6世広場)へ。
昨日のクレモナ、おとといのレッジョ・エミリアのようにいきなり目に飛び込んでくる方が良かったのだが。
ドゥオモの前は珍しく芝生だ。
目の前のカフェで一杯と思ったものの混んでいて座れそうもないので西の方へ通りを渡って行ってみた。今日も音楽が聞こえてくる。
行ってみるとちょっと面白い形をしたロッジアの前にステージがある。アコーディオン、打楽器、マンドリンの演奏だ。1曲聴いて戻りながら歩くとそこがホテル前の通りだった。
カフェに席があったのでプロセッコでアペリティーヴォ、小さなサンドイッチがついてくる。
ドゥオモの正面、右に旧ドゥオモのロトンダ、左にはブロレットという構成。見ているだけで美しく絵になる。夕暮れの風が気持ちいい。
◆自力で探したリストランテ
リストランテは自分で探すことになったが、旅行前にネットでチェック、HPで見ていた店がホテルの2,3軒先だというのがわかったのでそこに決めた。
20時半近くに行ってみるともうほとんど一杯だったが、外に面した向かって左の席に案内される。
前菜で注文したロンバルディアのサラミ・ミストは真ん中のペペローネが生肉に見えたが全部で4種類、我が家なら皆で食べる量だ。しかもいずれも目茶苦茶うまい!プリモのカプレーゼはブファーラ(モッツァレラ)がものすごい大きさだ。セコンドの牛肉のタリアーテは完食できなかった。
21時すぎから21時45分頃まではどんどんお客が入ってきて中にはあきらめて帰る人もいた。この界隈にはリストランテが沢山あるのにこんな状況なのは相当な人気店なのだろう。
◆日曜朝は新旧ドゥオモ
9時半頃、まずドゥオモへ。このドゥオモは17世紀のものだ。
3廊式で、太い四角い柱が力強い印象を与える。柱の上部は内部を取り巻くように彫刻がほどこされている。
外から想像できるようにクーポラが高い。側廊、翼廊の礼拝堂も立派だ。掲げられている絵画も大きい。
祭壇奥の後陣の絵は《聖母被昇天》だ。
10時近く、ミサが始まる頃なのか段々と人が増えてきたので外に出る。
広場に出てみるとゼッケンをつけた大勢のランナーがこの楕円形の広場を走っている。ブロレットの北から入り広場をぐるっと回ってドゥオモの北に出ていく。きっと市民大会なのだろう
それを見ながら南側にある円形のロトンダへ行く。このロマネスク様式のロトンダはドゥオモ・ヴェッキオとも呼ばれている。
中に入ると当然のことだが丸い。アーチのある壁でまた丸く仕切られていて真ん中を取り巻くように回廊になっている。天井やアーチ状の壁の装飾がきれいだ。内陣にはここブレーシャの画家モレットの《聖母被昇天》がある。地下はcrept(地下納骨所)になっている。ここの白い太い柱は力強い。
ロトンダを出てからロッジア広場を散策。この町は珍しく市がないようだ。日曜だからなのか、それとも他の広場でやっているのか?
◆ローマ遺跡とサン・ゼノ・アル・フォノ教会
今度は反対側、東にあるローマ遺跡、カピトリーノ神殿へ向かう。11時ごろだが日差しが強い。
この神殿は1世紀にヴァスパシアヌス帝が建立したものだ。柱は6本残っていて、白と茶色だけど実際には白い石の表面に茶色い石を張り付けていたのがはげ落ちたようだ。
奥には建物があり一部復元されているようだ。また出土品というか建物に付属していたと思われるものが展示されている。
神殿の東側にはローマ劇場がある。まさに、ローマ遺跡だ。
神殿の通りの向かい側にある教会から大勢のアフリカ系の一群が出てきた。おそらくミサを終えたところなのだろう。
中に入ると、小さいながらも外観からは想像もできないほど豪華な絵画が沢山あり驚くと同時に『さすがイタリアだなぁ!』と思う。
◆市立サンタ・ジュリア博物館
このあと、すぐ近くの市立サンタ・ジュリア博物館へ移動。
入口でもらったパヌフレットによると、博物館といいながら同じ建物の中にはサンタ・マリア・イン・ソラリオ礼拝堂やサン・サルヴァトーレ教会がその中にあり相当な広さで見どころも多い。3千年の歴史をカバーしているとのことだ。
サンタ・マリア・イン・ソラリオ礼拝堂では小さな空間の壁一面にフレスコ画が描かれている。
部屋の中央には”Croce di Desiderio”という名の十字架がガラスケースに収められ展示されていた。
ローマ時代の展示では1世紀のブロンズ像《翼を持った勝利の女神》が素晴らしい。2千年前のものとは思えない写実性と迫力が印象的だ。そのほか8世紀の《孔雀》のレリーフ、9世紀の風見鶏もいい。
ローマ時代の邸宅の遺跡部分もあって床などのモザイクがきれいだ。
見学順路の最後はサン・サルヴァトーレ教会だ。ここはさっきの礼拝堂よりは大きくまさに教会なのだが、ここも美しく素晴らしい《キリストの生涯》のフレスコ画で埋めつくされている。
『こんな町(失礼!)にもこんな素晴らしいものが』と驚いた。そのうち、パドヴァの《スクロヴェーニ礼拝堂》のように予約制になるかもしれないなぁ?
出るとき係の人に”Grazie! Arrivederci”と言ったら”Bella?”と訊かれた。”Si! Molto!”と答える。
システィーナ礼拝堂に匹敵すると言ったら言いすぎだがとにかく素晴らしい。
3千年を約1時間で垣間見たことになる。
◆夕方はカステッロへ
遅いランチのあといったんホテルへ戻り一休み。9月中旬とはいえ夏時間とあって15時はまだまだ暑い。暑い時間帯は歩き回らず身体を休ませた方がいい。
16時すぎに夕方の観光・町歩きに出かける。まず向かったのはピナコテーカ(市立絵画館)。
ピノコテーカを向いた絵描き姿のモレットの銅像があるところだというのはわかったが、レンガ色の建物入口は閉まっている。どうやら修復工事で閉館のようだ。
次に向かったのは駅の近くのバス・ターミナル。「明日もしガルーダ湖のシルミオーネに行くならば」ということでバスの時刻を調べに行く。
帰りはレップブリカ広場からリベルタ通りを通ってチェントロを通りすぎ、今度はカピトリーノ神殿の北にあるカステッロへ向かった。
カステッロへは階段を使い車の道を横切る形で上がって行く。
カステッロ前の広場にはバールがある。それを横目にそのままカステッロへ。
ところがどういうわけか上には行けずじまい。したかって眺望も今一つ。足が疲れた。バールで一休みしたいところだったがホテルに戻る。
レッジョ・エミリアからの一昨日、クレモナからの昨日そして今日と、イタリアの夏らしい朝夕涼しく昼は暑いといういい天気が続いて気持ちがいい。
◆9泊11日の旅の最後の夕食
19時半すぎ食事に出かける。「どこかで一杯」と思い早めに出たが、結局「食事のときに食前酒を飲めばいいや」と思い直し、さっきバス・ターミナルからの帰りに見つけたサン・フランチェスコ教会裏手のOsteria San Francescoへ行ってみる。
最終日前日とあって現金の持ち合わせが少なくなっていたのでお店入口で『クレジット・カードを使えますか?』と尋ねると『ふだんは使えるけど今日は機械の故障で使えない』との返事。
ちょっと明日の行動を考え残念ながらこのオステリアをあとにする。
結局ホテルすぐ近くのドゥオモ広場に面した店にした。これが大当たりだった。久々(といっても3日前のラ・スペツィア以来)の魚料理を堪能できた。
ドゥオモとブロレット前という絶好のロケーション、ドゥオモの前で食事をするのは8年前のタオルミナ以来だ。あのときは2階席からドゥオモをやや見下ろしていたのに対し、今日は外の席から見上げている。しかもドゥオモが大きい。一人の食事だが見ていると飽きることがない。
一人旅の食事の欠点といえば「どう時間をすごすか」に加えて、ワインがどうしてもボトルで頼めない以上ハウスワインのカラフェになってしまうことが多いが、この店はグラスワインの種類がいくつかありしかもボトルを見せてテイスティングまでさせてくれたのも良かった。
9泊11日の旅の最後の夜にふさわしい優雅な食事となった。
◆明け方の雷
夜中、1時半頃雷で目がさめる。今回の旅は雷によく出くわす。
その後断続的に鳴り4時くらいまで続いただろうか。近くに落ちたような音もする。6時に目覚めたが寝不足だったためかそのまま眠り7時半起床。
朝食後荷物をまとめ『12時までに戻るから』と行って9時すぎに出かける。雷雨のあとのせいか肌寒い。
こんな天気なのでシルミオーネに行くのはやめた。
ヴェネツィア門近くの食料品店に行ってみる。ホテルにあったパンフレットでは9時開店のはずが9月から定休日が月曜に変わっていたらしくあきらめる。昨日たどりつかなかったカステッロの上まで登ろうかとも考えて北の方に向かったが、早めにミラノに戻る(時間があればピアチェンツァへ行く)ことにし、ホテルに戻りチェックアウト。
◆さんざんだったミラノ行き
ミラノに早く行こうと駅に着いてみると切符売り場には大勢並んでいておまけに自販機は目につくところ1台のみ。
ようやく自分の番がきて操作すると次のミラノ行きは12時39分発の ES(エウロ・スター)だ。2時間近く待つことになるがやむなし。ところが操作ミスをしたのかクレジット・カードを入れても発券されない。
しかたがないので切符売り場に並びなおし購入。遅れていたESに乗れたかもしれない。
12時39分発のESはミラノ着13時25分の予定なのでミラノからピアチェンツァ往復は無理だ。
2時間待ったあげくこの列車も15分遅れで到着。
しかも待っていた場所が真ん中の車両くらいと思っていたら何と1号車だ。乗るべき車両は10号車、ホームを後ろに走るが何せスーツケースは重いし、他人にぶつかっては大変。なんとか7号車に乗り込み通路移動するが、スーツケースを引っ張れないのでしんどい。途中2カ所で持ち上げるなどしてようやく指定席に座りミラノへ向かう。
◆泊る
ホテル Albergo Orologio(★★★), Via Beccaria,17, Brescia
http://www.albergoorologio.it/
Single 78.5ユーロ、Hotel-Freak.comで予約。
ドゥオモ広場のすぐそば、ロッジア広場にも近い。
21号室だったが大きな窓で明るい、すぐ下は時計塔への通り。
◆食べる
- リストランテ
お店の名前 Locanda dei Guasconi, Via Beccaria, 11/G, Brescia
http://www.locandadeiguasconi.it/
食べたもの 前菜はロンバルディアのサラミ・ミスト(9.5ユーロ)。
プリモはカプレーゼ (冷たい大麦のミネストローネを頼みたかったがなかったので。8.5ユーロ)、ブファーラがものすごい大きさ。
セコンドは牛肉のタリアーテのスモークチーズ添え(14ユーロ)。
ワイン Teve di Franciacorta 2005 Cudula、Colline della Stella, Andre Arici (ハーフ、8ユーロ)
コペルト、水、グラッパ(3.5ユーロ)で合計40ユーロ
お店の名前 Pizzeria DonRodriguez, Via F.Cavalloti, 6, Brescia
食べたもの(ランチ) 前菜は生ハム・サラミの盛合せ(7.5ユーロ)、ピッツァはロマーナ(5.5ユーロ)、トマト、アンチョビ、オレガノ、ケッパーなど。大きくて食べるのに一苦労。
コペルト、水、ワインで合計20.5ユーロ
お店の名前 Ristorante I Macc de le Ure, Piazza paolo vi, 6, Brescia
http://www.imaccdeleure.it/
食べたもの 魚料理のコース(ワイン込み48ユーロ)があったのでそれを注文しようとしたら『海の幸リゾットを含むので2人前から』ということで断念。アラカルトで魚料理を選ぶ。
プリモにマグロのカルパッチョ(14ユーロ)があったのでそれを頼み前菜を飛ばす。マグロを1cm角にしたものにオレガノなどハーブを混ぜたものを丸い型に入れお皿に盛りつけたもの。オリーブオイルがたっぷりかかっている。つけ合わせにトマト。
セコンドは川カマスのグリーン・ソース(16ユーロ)。川カマスを煮たものにオリーブ、プティトマトなどがかかっていて黒いリゾットが添えられている。
ドルチェはティラミス(6ユーロ)
ワイン Prosecco Volto 10、
Cannonau di Sardgna Riserva 2005 Sella Mosca (いずれもグラス、各4ユーロ)
グラスにもかかわらずテイスティングできるし銘柄まで教えてくれた。
コペルト、水、カフェで合計50ユーロ