Cremona (クレモナ) 2009/9/18~19


Cremona (クレモナ)  2009/9/18~19

◆行く

2009年イタリア一人旅、最初の計画ではクレモナに泊る予定はなかった。

最後の宿泊地はブレーシアに決めていて、前泊のレッジョ・エミリアから移動してピアチェンツァに泊る予定だった。

ところが、適当なホテルがみつからずピアチェンツァ宿泊をあきらめヴァイオリンの町クレモナに泊ることにした。時間があればクレモナから日帰りでピアチェンツァ観光をしてもいいと思った。

これが大げさにいえば《運命の出会い》につながることになった。

◆フィデンツァでの乗換え

レッジョ・エミリアを10分遅れで発車した列車は、遅れを取り戻せずに乗換えのフィデンツァに到着。クレモナに向かう列車は入れ替わるように出て行ってしまう。

次の列車は17時38分発、小一時間待つ。バールにでも行きたいところだがスーツケースが重いので動きたくない。結局ホームで時間をつぶす。

17時10分頃入線してきた列車が折り返すようだ。外で待っていても暑いので車内へ。

『早く動き出して!』。定刻通り発車、18時13分到着。

 

ローマ広場(とは知らなかったが)までは合っていたがその先でわからなくなり、少し戻ってホテルへの小径(vicolo)発見、結局20分かかってホテルに着いた。

 

◆夕暮れのカテドラーレ

19時すぎホテルすぐ近くのカテドラーレに行く。

コムーネ広場につながる小径に入ると正面に見えるトラッツォ(鐘楼)が素晴らしい。

 

Cremona 夕暮れのトラッツァ①

 

そう思ってさらに前に進むと、その右にあるカテドラーレが視界に入ってきてその美しさに思わず息を飲む。

Cremona カテドラーレとトラッツォ

イタリアは何てすごいんだろう。

 

正面のカフェでビールを飲みながらカテドラーレの姿を見つめる。

夕方に着いて薄暮から暗くなりライトアップされているところがいい。

 

ファサードはいわば7階建ての感じだ。全体的にピンク、クリーム色っぽい大理石。1階はポルティコのようにも見える。3、4階部分は左右各9本の列柱で正面扉の上(壁龕)には3本の列柱、真ん中には聖母子像、左右は聖人像か。その上には大きなバラ窓、さらにその上の7階部分にも5本の列柱の間に聖人像が4体。

Cremona カテドラーレのファサード

 

すごい! ロマネスク・ロンバルディア様式の傑作だそうだ。

左にはトラッツォ(鐘楼)、右には洗礼堂だ。

 

ビール小は4ユーロ、つまみはついてこなかったが席料だと思えば安いものだ。

コムーネ広場に面したこのカフェの建物もものすごく古くてフレスコ画もある。この建物が歴史あるコムーネ宮だということを翌日知った。

Cremona コムーネ広場のカフェのフレスコ画

 

 

◆《運命の出会い》のトラットリア

さて、夕食。ホテルのご主人に教えてもらった店はちょっと遠かったが行ってみた。

地元の人が通う店のようで混んでいて断られる。

『しようがない、あとは勘で探すしかないなぁ。』と来た道を戻り、途中ローマ広場近くの角に《トラットリア》の看板が出ていたので左折し暗い道を歩いてその店に行った。

Cremona Trattoria Il Bissone 看板

 

 

落ち着いた感じの店だ。入ってすぐ左にはカウンターがありうしろにはずらっと飲み物の瓶がならんでいる。部屋の中央にはドルチェなどの置かれたテーブルがあり、その周りを取り囲むように客席がありほとんど空いていたが、奥の部屋に案内された。

 

こちらもゆったりとしたテーブルの配置だ。一番奥には暖炉がある。Trattoriaと名乗っているがRistoranteの雰囲気だ。

 

メニューを見てすぐわかったが、この店はグラスで頼めるワインの種類が多い。ハウスワインもその中で1.5ユーロのものと同じだということがわかる。一人で飲みながら食事をするには、あるいはいろいろなワインの味を楽しむには絶好の店だ。

Cremona Trattoria Il Bissone メニュー

 

この部屋もすいている。3組の客しかいない。

たまたま、通路をはさんだ向かい側のテーブルにいて目があったのが日本人の若い女性二人組。

最初にちょっと挨拶。『久しぶりに日本の方にお会いしました』。一人旅だったのでミラノに着いてから7日目にして初めて日本語をしゃべった。

『OLの先輩、後輩の旅かなぁ?』と想像していたが、二人はペルージャで勉強中の留学生だった。真向かいの女性はヴァイオリニスト、もう一人はペルージャ外国人大学で語学留学中とのこと。

ペルージャには9年前に2泊したことがあり外国人大学の場所も知っていたので話がはずむ。

イタリア語も話題になり、『私のような年代の人も留学していますか?』と訊いたところ『日本の方はわからないけど欧米の方は見かけますよ』といわれた。

明日はヴァイオリン職人さんに会いにPiadinaに寄ってからMantovaへ行くという。

彼女たちの帰り際、日本での再会を約束し別れた。

 

食後のカフェを飲み終え、遅れてトラットリアをあとにする。

ホテルに近づくと大きな音楽が聞こえてきた。行ってみるとコムーネ広場、カテドラーレ前のステージだ。2曲ほど聴いてホテルに戻った。

Cremona コムーネ広場での演奏

 

 

◆翌朝ホテルで

朝食後コムーネ広場へ。夕暮れ時の静寂な広場は、花卉類が中心の市(メルカート)の準備中だった。

ホテルに戻りレセプション前の椅子に座って新聞の天気予報を見ていたら、昨夜の二人とばったり。

『ホテルも同じだったんですね』とお互いびっくりした。半日ほど早くクレモナ入りしている二人はもう出かけるところ。少し話をして送り出した。

 

《運命の出会い》というのは、ここで二人と知り合ったことで2010年夏にペルージャへ留学することになったからだ。

帰国後再会し、ペルージャ語学留学を勧められ、準備段階でもいろいろ教えてもらう。また、ペルージャ滞在の2ヵ月間も現地で何かとお世話になった。

 

◆カテドラーレと洗礼堂

9時半、クレモナ観光スタート。まず、カテドラーレへ。

どっしりとした太い濃いグレーの柱が印象的だ。縦に金色の線がある。

身廊柱の上はキリストやマリアの一連のフレスコ画、後陣も同様だ。主祭壇は上から、《受胎告知》、《天上のキリスト》、《聖母被昇天》。入口の上は《十字架のキリスト》、右下は《降架》。側廊にもいろいろな絵や彫刻がある。

ファサードも美しいが中も素晴らしい。

 

カテドラーレ右の聖ヨハネ洗礼堂、まわりも裏も市の店だらけだ。こちらは食べ物中心で、中には魚などのフリットの店もある。フリットは100g1.9ユーロ、買って昼食にでも食べたいくらいだ。

 

さて、中に入ると外の喧騒さがうそのように静かだ。天井がものすごく高い。真ん中にはヴァルポリチェッラ産だという赤い大理石の洗礼盤、正面祭壇にはは《キリスト磔刑》の木彫、左には《嘆きのマリア》、右には毛梳き道具を手にした《サン・ビアッジョ》がまつられている。

Cremona 洗礼堂 毛梳き道具を手にしたサン・ビアッジョ

 

《サン・ビアッジョ》は梳毛職人達にとっての守護聖人でこの祭壇は16世紀に梳毛職人の信者会によって寄進されたものだそうだ。

 

◆トラッツォに上る

カテドラーレの左側に優美な姿を見せるトラッツォは、高さ111mの鐘楼で町のシンボルだそうだ。

今まで訪れた町で高いところがあれば必ず上っているがこのトラッツォにも挑戦(入場料5ユーロ)。

 

最初は直線の階段、そのうち左回りのらせん階段を上る。

Cremona トラッツォ 階段

 

そこを上り切ったところで終わりかと思い屋上に出て一周しながら写真を撮る。そのあとで中に戻ると、まっすぐ上がるだけの宙に浮いた感じの階段があることに気がついた。結構こわい。高所恐怖症の人は絶対にダメだろう。

Cremona トラッツォ らせん階段

Cremona トラッツォの鐘

一番上に出るとさっきとは眼下の景色が違う。上から見るとクレモナには教会の多いことがよくわかった。あとで、地図を見ると市内には少なくとも22の教会がある。

Cremona トラッツォの上から見たカテドラーレ  Cremona トラッツォの上から②

 

◆昨夜のトラットリアへ再び

ちょっと迷ったがランチは昨夜のトラットリアでとることにした。短い日程の旅行では『いい』と思った店には経験上再訪するのもありだ。

行ってみると閉まっている。少し時間が早いかもしれないので近くをブラブラしてまた行ってみる。3度目にちょうどカメリエーレのお兄さんが自転車で出勤したところに出くわすと、『どうぞ、どうぞ』と入れてくれた。

本日の前菜、ポルチーニのニョッキ、桃のタルト(まるまる1個)、ワイン、カフェで計25.8ユーロ。

 

Cremona Torattoria Il Bissone 桃のタルト

2日連続のためか、その日のせいか理由はよくわからないが、マダムがおみやげとしてトローネをテーブルまで持ってきてくれた。

 

◆市立博物館とストラディヴァリアーノ博物館

ランチのあとおよそ15時半までの観光。市立博物館ストラディヴァリアーノ博物館に向かう。入口に「土曜は14時まで」の表示があった。ちょうど14時なので訊ねると博物館の入口はもっと中だとのこと。

切符売り場でどんな種類の入場券があるか確かめてみるとコムーネ宮を含む共通券を説明してくれたが、残り時間では厳しそうなのでとりあえずここだけにした(入場料7ユーロ)。

 

入ってすぐのところにヴァイオリンが6本展示されている。10年ほど前に教育TVのイタリア語講座のストーリーで出てきたところによく似ている。

Cremona 市立博物館 展示①

『このヴァイオリンはきっと素晴らしくまた高価なものなのだろうなぁ』と思う。

 

その奥には1400年代の絵画やキリスト教関係のもの、ずっと後の方には1800年代、1900年代のもの、九谷、伊万里など日本の陶磁器が展示されている。

市立博物館とあって町の歴史が写真代わりの当時の絵も含め展示されている。

 

一番奥がストラディヴァリアーノ博物館だ。右側にヴァイオリンを作る工程の展示があり、入ってすぐのところでは実際の作業をビデオの映像で見ることができる。

Cremona ストラディヴァリアーノ博物館 制作工程左の部屋にはヴァイオリンはじめ弦楽器が展示されている。

 

出口まではもと来た順路を戻って外に出た。中庭にはストラディヴァリの胸像があった。

Cremona ストラディヴァリ胸像

 

 

◆ブレーシャへ

これを最後にコムーネ広場に戻り市の終わった昼間のカテドラーレを見に行ってから、ホテルでスーツケースを受け取り駅に向かう。

 

16時23分発の列車は20分ほど前に入線、蒸し風呂のような車内に乗り込む。1時間後の列車でも良かったが早めにブレーシャに着き一休みするためにこの列車にした。

定刻に発車、最終目的地のブレーシャに向かう。

 

 

◆泊る

ホテル Astoria Hotel(★★★), Via Bordigallo,19 angolo Via Solferino, Cremona

www.astoriahotel-cremona.it

Single 60ユーロ、Booking.comで予約。

昨日までの4つ星とは比べるべくもない。エレベーターは手動でドア開閉、ちょっと怖い。348号室だったが窓枠がはずれそう、ただバスルームだけはバス付で広い。

コムーネ広場に近く、ロケーションで選んだ価値はあった。

 

 

◆食べる

  • リストランテ

お店の名前 Trattoria il Bissone, Via Pecorari, 3, Cremona

www.bissone.it

食べたもの 前菜はパルマ産のクラッチャ(culaccia di Parma 11ユーロ)、

Cremona Trattoria Il Bissone パルマ産クラッチャ

プリモは生のフンギ・ポルチーニの生タリアテッレ(Tagliatelle Fresco ai funghi porcini 9ユーロ)、

Cremona Trattoria Il Bassone フンギ・ポルチーニのタリアテッレ

 

セコンドは子牛の薄切り肉ツナソースかけ(vitello tonnato 9.5ユーロ)。

Cremona Trattoria Il Bissone 子牛の薄切り肉ツナーソース

ワイン

Prosecco Valdobbiadente Jeio Colmai Extra Dry(3.5ユーロ)

Barbera d.o.c. Lorenzo Zanetta, Piemonte (250ml, 2.5ユーロ)

Nobbiolo Colline Novaresi d.o.c.Pratogrande,Pratogrande 05, Lorenzo Zanetta, Piemonte (2.5ユーロ)

コペルト、水、カフェで合計42ユーロ

 

食べたもの(ランチ) 前菜は本日の前菜、ズッキーニ、バジリコ、チーズのタルトでふわふわした食感(4ユーロ)。プリモはポルチーニのニョッキ(10ユーロ、ニョッキはかぼちゃで作られ長さ5cm x幅1.5cm)。ドルチェは桃の上にチョコレートやクッキーの乗ったタルト(5ユーロ、桃まるまる1個)、桃の自然の甘さで無茶苦茶甘く大きさも半端でないが完食する。

ワイン   Ortugo colti piacentini d.o.c., Vitivincola Luenti, Emiglia(250ml, 2.5ユーロ)、エミリア・ロマーニャ州の発泡性(Frizzante)白ワイン。

 

 

◆買う

お店の名前 Negozio Sperlari, Via Solferino,25 Cremona

買ったもの ボローニャのチョコレート Majani、家族や職場のお土産用として結構沢山買う。