Arezzo (アレッツオ) 2010/8/14~15
◆行く
コルトーナを観光したあとCamucia駅から列車でArezzoに向かう。
Arezzoは10年前にフィレンツェからペル―ジャへ移動する途中に訪れたことがある。サン・フランチェスコ教会のフレスコ画《聖十字架伝説》を見るためだけだったのでわずか数時間の滞在だった。
Camuciaから20分たらずで15時43分Arezzo到着。これならコルトーナで乗らなかったバスよりもきっと早かったに違いない。
ホテルは駅のすぐ近く、駅に通じる大きな通りに出るところがわからずちょっと時間がかかったがそれでも16時前にチェックイン。
◆見る
一休みしてから、小雨の中デジカメだけ持って出かける。ホテルを出てすぐ東西南北に大きな道路の交差するところがロータリーになっていて、その真ん中にはグイド・モナコの像が立っている。
このロータリーを越え高い鐘楼目指して歩くと間もなくサン・フランチェスコ教会前の広場に出た。
ガイドブックも何も持っていないけどとりあえず教会の中に入り、両側の壁に残っているフレスコ画を見たり、後陣の《聖十字架伝説》のフレスコ画を遠くから見たりする(中に入るのは予約制になっていた)。
ゆるやかな坂道を上り、左の方へ行くとドゥオモだ。その手前に市庁舎があり《旗イベント》の展示があった。
旗とともに旗を持つ中世の騎士たちの衣裳もあってものすごくカラフルできれいだ。パレードの映像も流れていたが『実際に見ると素晴らしいだろうなあ』と思う。
◆夕食の予約
10年前にランチをしたのがサン・フランチェスコ教会すぐそばの《Buca di San Francesco》。
あのときのご主人が印象に残っていたので今回の1泊旅行ではそこで夕食をとるつもりだった。
ホテルに着いてすぐイタリアで買った携帯で電話したが誰も出ない。
雨の中、《Buca di San Francesco》を探すが最初は気づかず、2度目で見つけたものの閉まっている。『電話にも出なかったしきっとバカンスで休みなんだろう』とあきらめる。
それからも町歩き。もう一度サン・フランチェスコ教会近くに戻ったとき、入口に灯りがついているではないか。ドアをノックしてみたが返事がないのですぐそばから携帯で電話、何とか話が通じ、20時で予約。
安心してすぐ近くのカフェに座り、プロセッコでアペリテォーヴォする。この店はかなり繁盛していてほとんどのテーブルが埋まっていた。
◆歓待された10年ぶりのリストランテ
さて、20時。
行ってみると若主人が『電話で予約の方ですね』と迎えてくれ、テーブルに案内してくれる。
そのうちご主人が現れたので『10年前、ここで食事をしました』というと『当時とまったく同じですよ』と店内を指さしながら喜んでくれる。
カメリエーレと相談しながら選んだのは、
アンティパストは《トスカーナの伝統的なブルスケッタ》
プリモは、今日はパス。
セコンドは《豚肉のキャンティ煮》(Stracotto al “chianti” contorni,9.5ユーロ)
以前、ボローニャの店でブルスケッタに塗られたレヴァーのペーストが脂臭くて口に合わなかったこともあったが、ここのは口にあい本当にうまい!
さらにメインの赤ワイン煮。これはメチャクチャ美味しかった。付け合せのポレンタ、フンギにも赤ワインの味がしみてうまい、うまい。
ドルチェはご主人が『私にまかせて』と。
出てきたのはメニューの中から3種類、チョコレートのムース、スポンジケーキ、そしてトスカーナの伝統的なヴィンサントとビスコッティ。みんなうまいがやはりヴィンサントに浸すビスコッティがいい感じだ。
そのうちまた現れたご主人が『ヴィンサントのお代わりは如何?』と注いでくれ、カメリエーレがビスコッティの追加を出してくれる。
最初の一言が利いたのか大歓待を受けた。
イタリア人にとっては早いチェーナの時間だったので、この間、貸切状態のようなもので実に居心地のいい時間を過ごせた。
◆グランデ広場とヴァザーリの柱廊
Arezzoはロベルト・ベリーニの映画《La Vita e` Bella,邦題「ビューティフル・ライフ」》が撮影された町。歩いていると撮影された場所が書かれた案内板を何カ所かで目にする。
グランデ広場もその一つだ。前回この町を訪れた時は時間がなかったので行っていない。
2日目の朝、グランデ広場へ行ってみる。イタリア通りをまっすぐ上り、まずサンタ・マリア・デッラ・ピオーヴェ教会の正面を通ってから回り込んだ。
日曜なので市が出ているかと思ったが広場はガラーンとしていて、太い白線がレンガ色のやや緩やかな広場に映えその美しさを際立たせているようだ。
さっきのサンタ・マリア・デッラ・ピオーヴェ教会の後陣が広場の東側に面している。その場所が広場の一番低い所のようだ。
広場の南側は、かなり大きな建物ヴァザーリの柱廊(Logge Vasari)だ。柱にはヴァザーリの彫像があり、ポルティコに面した1階には、カフェなどの店があるが日曜の朝とあって静まっていた。
もう一度サンタ・マリア・デッラ・ピオーヴェ教会の正面へ行く。
この教会のファサードはArezzoで一番美しいと言われ素晴らしいのだが、この前の通りがせまくて写真を取るにはなかなか厳しい。
内部は一切装飾がなく石積みのままだ。柱は左右4本あるが、祭壇に近い柱は太くて力強い。
◆ドゥオモ奥には公園
そのまま散策して行くと公園に出た。ちょうどドゥオモの裏手にあたる。この町出身の詩人ペトラルカをたたえる大きなモニュメントがある。
ベンチで一休み、市街地の南東方向を眺めながら『歩き方』で《聖十字架伝説》の予習をする。
10年ぶりにドゥオモの中に入る。前回はTVのクルーが入り何か催しをやっていたので中はあまり見ていない。
主祭壇後ろのステンドグラスに日が差し込みとてもきれいだ。左側廊には、サン・フランチェスコ教会のフレスコ画《聖十字架伝説》の作者、ピエロ・デッラ・フランチェスカの《マグダラのマリア》がある。白、緑、赤の衣裳のコントラストがみずみずしくて600年以上も経っているようには見えない。
◆サン・ドメニコ教会
ドゥオモを出て市庁舎の横の通りに入りすぐ右折して進むとサン・ドメニコ教会だ。ファサードはシンプルだが、ポルタイユが前にせり出している形、タンパンには《聖母子と2聖人》のフレスコ画がある。
単廊式で高い窓が両側に6カ所あって中は明るい。窓の下の段には一面フレスコ画がある。かなり欠落しているが左側の真ん中は《受胎告知》であることがわかった。
◆ローマ劇場遺跡と中世・近世美術館
サン・フランチェスコ教会《聖十字架伝説》13時観覧の予約券を買った(予約料込6ユーロ)ので、まだ時間がある。
それまで町歩きをし、サン・ミケーレ教会、サン・タゴスティーノ教会を見てから、ローマ劇場遺跡へ行く。ローマ劇場の中には入ることができないが、柵の外からでも良く見える。規模は大きかったようだが座席部分はほとんどわからず芝生になっている。
さらに時間があるのでちょっと離れているが町の北西にある中世・近世美術館(Museo Statale d’Arte Medievale e Moderno)へ行く。
この美術館は15世紀に建てられたブルーニ・チョッキ宮の中にあるが外からは見た感じでは美術館には見えない(入場料4ユーロ)。
3階からなっていて2階には庭園もあり実にゆったりしていい。
2階入り口にはヴァザーリの大作があるがこの町出身だけあってヴァザーリの作品が多い。
◆サン・フランチェスコ教会《聖十字架伝説》
さて待望の《聖十字架伝説》、前回見た記憶ももちろんある。
後陣に描かれた《聖十字架伝説》は10の画面になっている。もらったパンフレットもあったが日本語の『歩き方』と見くらべながら一つ一つの絵を見る。
①アダムの死 ②シバの女王の聖木礼拝・ソロモン王との会見 ③聖木の運搬 ④コンスタンティヌス帝の夢 ⑤コンスタンティヌス帝のマクセンティウスへの勝利 ⑥ユダの拷問 ⑦聖十字架の証 ⑧ヘラクリウス帝とコスロエスの戦い ⑨聖十字架の称賛 ⑩受胎告知 (番号はパンフレットから)
一部欠落している部分もあるが600年以上も経っているのに場面が生きいきとしている。②、③、④、⑥、⑦、⑨、⑩はほとんど欠損がない。特にシバの女王の聖木礼拝・ソロモン王との会見の場面は色鮮やかだ。また、戦いの場面の表情、馬の動きはあたかも動き出しそうだ。
サン・フランチェスコ教会近く、カブール通りのリストランテで昼食をとってからペルージャへ戻る。
◆泊る
ホテル Hotel Continentale(★★★★),Piazza Guido Monaco 7,Arezzo
TwinのSingle Useで75ユーロ、ネットで予約。
◆食べる
- リストランテ
お店の名前 Buca di San Francesco, Via San Francesco 1,Arezzo
食べたもの 本文の通り。アンティパストの前にお米を使ったスターターが出た。水、ハウスワイン(500ml)を含め34ユーロ。
お店の名前 Ristorante&Pizzeria Il Boccon del Re, Via Cavour 42,Arezzo
食べたもの 海の幸サラダ(7ユーロ)、ピッツァ・マルゲリータ(4.5ユーロ)、ハウスワイン(500ml,4.5ユーロ)、コペルト込み17.2ユーロ。ここには日本人のカメリエーラがいた。