Padova(パドヴァ) 1999/09/21
◆一人旅の始まり
家族総勢6人のフィレンツェ・ヴェネツィアの旅もこの日の午前で終わり。
新婚の長男夫婦はナポリ、カプリの旅へ向かう。妻と次男、長女は皆予定があって、ヴェネツィアからパリ経由で帰国。2組をそれぞれ朝と昼、サンタ・ルチア駅近くのローマ広場のバス・ターミナルへ送りに行く。私はこれから、パドヴァ、ラヴェンナ、ミラノへの一人旅だ。
妻たちのバスを見送り、ヴァポレットでサンタ・ルチア駅へ行き窓口でパドヴァまでの切符を買う。近い割に高いなぁと思ったがお釣りが少ないことに気づいたものの後のまつり。10,000リラごまかされてしまった。前年の初めてのイタリア旅行でヴェローナの駅員氏にやられたのに次いで2回目だ(詳しくは「旅のトラブル」にて)。
13時10分発。動き始めてからすぐに検札があり、車掌から乗っている車両がパドヴァでは降りられないと教えられ、1つ前の車両に移る。座席は結構混んでいる。ドアのすぐ近くの4人掛け座席が1つ空いていたのでそこに座った(ドアの近くなので反対側は3人掛けになっていて、イタリアの列車は良く考えられているなと感心した)。パドヴァに行くという先入観からなのか、向かいの人は何となく大学の先生みたいな雰囲気。
パドヴァには13時44分に着く。
◆滞在時間は2時間
パドヴァにも1泊したいところだが、日程上厳しくまたラヴェンナではホテル探しもあるのでどうしても19時までには着きたい、ということで滞在時間はわずか2時間。それでも寄りたかったのは、目的はただ一つ、スクロヴェーニ礼拝堂のジオットのフレスコ画を見ることだ。
駅でスーツケースを預け、駅からまっすぐ南へのびる道を進む。陽射しが強く長袖のシャツは暑い。途中のバールでスクロヴェーニ礼拝堂の場所を尋ねる。駅で市内地図を手に入れたがこれが実にわかりにくい。そのうち左手に礼拝堂らしき建物を見つけるがフェンスで囲まれているので入口を探すとさらに先に市立博物館の入口があった。中に入ると記念品などを売っていて、そこで入場券(10,000リラ)を買いショルダーバッグを預けて念願の礼拝堂へ向かう。
中にはドイツ人とおぼしき年配の団体観光客が大勢いた。
ジオットのフレスコ画は礼拝堂壁面に絵巻物のようにいくつもの場面が描かれている(後で数えたら38もあった)。この場面の展開は祭壇に向かって右手の上の段の奥(祭壇の方)から入口の方へ、そして2段目、3段目へと続いて行くのではないだろうか。入口の上は《最後の審判》だ。
キリストを捕らえるための合図としてユダがキリストに接吻する場面の《キリストの逮捕》は右手下段中央にある。視線が集中している臨場感ある構図だ。右手奥には車座になった《最後の晩餐》。磔刑になったゴルゴダの丘へ十字架を背負って行くシーンは左手の入口近くの下段にある。その段の中央には《ピエタ》そして《復活》、《昇天》へと祭壇方向へと続く。なかなかの絵巻物だ。
無理して来た甲斐があった。
祭壇にあるピサーノの聖母像はまるで観音様のような表情をしている。
(現在は入場は予約制になっているようだ)
礼拝堂を出てから市立博物館に入る。1階は古代ローマ時代の遺物などの考古学館があるが時間がないので通り抜けて2階の絵画館へ行く。とにかく沢山の絵画があり、ヴェネツィア派が中心のようだが作者不詳というのも多いみたいだ。ゆっくり見ているとラヴェンナに行けなくなるので、本当に駆け足で見てしまった。
見終わってから駅へ戻る。お昼を食べていなかったので駅のバールでパニーニを買い、15時46分の列車に乗ってフェラーラ経由ラヴェンナへ向かう。