Alberobello(アルベロベッロ) 2005/9/13〜14


◆まるでお伽の国
あのとんがり帽子の、そしてきのこのような、まるでお伽の国のようなトゥルッリ。プーリアの旅を計画したときからこの世界遺産の町を訪れることを決めて日程を決めた。
レッチェからアルベロベッロに向かう。途中マルティーナ・フランカで下車、遊ぶ(詳しくは「マルティーナ・フランカ旅行記(9/13)Martina Franca」にて)。
マルティーナ・フランカ発13時03分の列車に乗り、わずか7分でアルベロベッロ到着。

ちっちゃな駅だ。駅前にはタクシー乗場もバス停もない。予約していたホテルは「歩き方」の地図でみるとかなり遠そうだ。

マルティーナ・フランカでお昼にありつけなかったのでまずリストランテを探してランチを取ってからタクシーかバスに乗ることにしてマッツィーニ通りを市街地の方に歩く。

◆創作イタリアン
1つ目の信号を渡ってほどなく左手に“ロカンダ・何たらかんたら”という看板を見つける。看板にはトラットリア・バールとあったのでさっそく左折してその店に行くとご主人が出てきて話しかけてくる。

我々がスーツケースを持っているのでロカンダ(旅籠)の泊り客だと思ったようだ。トラットリアはあいているかと尋ねると建物の右手にある外階段から下へ回ってくれとのこと。

スーツケースを持ちながら階段を下り地下1階へ行くと中は感じのいいゆったりとしたリストランテ。時間帯が外れていることもあって客は2組しかいない。途中で地元とおぼしき老若男女11名が入ってきた。何かのお祝いの集まりのようでにぎやかだ。

メニューを見て何にしようかと考えるが、ちょっと普通のリストランテではない感じがする。最近創作和食というジャンルの店が増えているが、たとえていえば創作イタリアンか。
前菜には「梨のカルパッチョ」、「パッションフルーツ味ソースの小さな海老」。プリモは「小さなロブスターのタリアテッレ」、「海の幸のニョッキ」、ワインはボトルで赤を頼む。食後にはジェラートとカプチーノで締め3時に店を出る。

タクシーを呼んでもらうことも考え、お店のご主人にホテルの名前を告げ遠いかどうか訊くと歩いて5分くらいだと言われ、またスーツケースを引っ張って歩く。

ポポロ広場まではすぐだったが次に向かう方向がまったくわからない。ポポロ広場にはインフォメーションがあったが閉まっていて教えてもらうこともできない。

大きな通りの向こう側斜面にトゥルッリの屋根が見渡せたのでそっちの方向だと当りをつけ、その大きな通りを渡って小径を上る。上り始めたところでトゥルッリの前に座っていた年輩の女性に尋ねるとこの道でいいとのこと、そのうち左手に公園のような空き地がありそこで少し広い通り(via Cadore)に出たので左折、ほどなくサン・タントニオ教会に出る。予約していた5つ星ホテルはその少し先なのだ。

結局15分ほどかかった。サン・タントニオ教会を下りて行くとアルベロベッロ観光の中心の通り、モンテ・サンミケーレ通りに出ることがあとでわかったが、階段状になっていたのと観光客が多くてとてもスーツケーツを持っては上がってこれないので我々の歩いたコースが正解だったことを知る。

◆5つ星にしてはさえない
5つ星にしてはさえない小さなドアを開けて入るとフロントがある。ロビーなどはパンフレットを置いてある程度のスペース。部屋(12号棟)の鍵を受け取り庭を抜けて案内してもらう。庭を抜け何棟かを通り過ぎてさきほどのサン・タントニオ教会の裏手に12号棟があった。2棟続いたコテージ方式になっている。
ドアを開けるとリビング・ルーム(というよりはダイニング・ルームか、大きなテーブルがあって地図やガイドブックなどをひろげるには良かったが)、その左の突き当たりがバス・ルーム、その左にベッド・ルーム。内装は質素、天井や壁は真っ白、床は茶色のタイル。本物のトゥルッリかもしれないがハード、ソフトとも5つ星を感じさせるものは何もなくがっかりだ。

◆マリアおばさん
一休みして世界遺産のリオーネ・モンティ地区のトゥルッリ群を見に行く。サン・タントニオ教会はトゥルッリを模した建物だが比較的新しく町の雰囲気に合わせて建てられたもののようだ。ここを右折し、通りを下りて行く。さすがに観光客が多い。

突然、背中の後ろから『コンニチワ!』と声がかかる。『こんにちは』と返事をして振り向くと、日本大好き、日本人大好きのマリアおばさん。今年は日本に3回も行ったそう。アルベロベッロと合掌造りの白川村が姉妹都市になりそのために1回、愛知万博の多分出展の関係だと思うが1回、そのあと8月に東京へ行き、8月31日(この2週間ほど前)に帰ってきたとのことだった。
このマリアおばさん、田島麻美さんの「南イタリアに行こう」にも登場している。また、先日放送されたNHKの《探検ロマン世界遺産 〜とんがり屋根の不思議な街〜 アルベロベッロ》では屋根から水を貯める仕組みを説明していた。

マリアおばさんの家は「手縫い刺繍」の店。買う気はなかったが『入って、入って』というのでお邪魔する。雑誌「LEON」を開き、『この○○さんは私の友達』とかいいながら今度は次から次へと別の本を見せようとする。お礼を言って出ようとすると今度は『美味しいお茶があるから飲んで行って』。こちらは観光をする身、あまり時間をつぶせないので『時間があったらまた寄るから』と言って失礼する。

南イタリアに行こう
田島 麻美
457529568X

◆ヨーコさん
少し下ったところのお店の入り口に日本人女性がたたたずんでいる。テレビ(ぽかぽか地球家族)で紹介されたヨーコさんだと相棒が言ったので『ヨーコさんですか?』と声を掛けると『そうです。どうぞ、中に入って屋根の上にあがりませんか?』と誘われてご好意に甘えて屋上に上がる。

一面、という言い方はおかしいかもしれないが、トゥルッリの屋根、やね、ヤネ・・・・・・。幕張出身でもうアルベロベッロに来られて14年、ここのご主人と結婚されているとのこと。

短時間だったが、いろいろなことを教えてもらう。アルベロベッロからマテーラへの行き方、美味しいジェラテリア、リストランテを教えてもらう。我々が昼食を取ったところは地元ではおすすめだとのこと、我々も結構いい嗅覚を持っているんだなぁと内心嬉しくなる。
ヨーコさんのお店には若い日本の女性、Webで輸入雑貨&ビーズアクセサリーのお店を開いているMicheyさんに出会う。ホームステイしながらいろいろと勉強しているようだ。ヨーコさん、Micheyさんのお二人から名刺をもらってヨーコさんの店をあとにした。

◆まるで成田山の参道
この通りは、アルベロベッロ観光のメインだが、相棒いわく成田山の参道みたいだとのこと。

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売っているものこそ漬物や饅頭などはないが、通りに面した世界遺産の建物はほとんどが土産物屋。その間に、トラットリアや部屋数の少ないアルベルゴ(ホテル)が埋もれている。我が同胞の観光客も多いとみえ、日本語で呼び込みをはかっている。俗化していて、メルヘンの世界がぶちこわされる。

ポポロ広場の左側にヨーコさんから教えてもらったイタリア一美味しいというジェラテリアを見つけたが残念ながら休暇中。

ポポロ広場へ戻り、今度はヴィットリオ・エマヌエーレ大通りをどんどん進み正面に見えたサンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノの聖所記念堂へ行く。

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さらにその先にあるトゥルッロ・ソヴラーノに入る。今回のプーリアの旅で初めて入場料を払う(1人1.5ユーロ)。この建物は珍しい2階建てのトゥルッロだ。裕福な人の家だったらしい。ここにはイタリア人の5〜6人のグループがいたが、説明をしていてそれに質問しているのか、何か行き違いがあって口論をしているのか、うるさくてうるさくてたまらず早々に退散した。

ここを出てからは特にこれといった見所もないのでいろいろな道を試してホテルに戻る。

再び出かけ、例の参道を下りるとまた背後から『コンニチワ!』、『お茶に寄ってて』。『時間がないので』と言うと『あとで是非寄って!』という感じ。断るのも一苦労だ。下ると今度はまたヨーコさんに出会う。リストランテをもう1軒、1本南側の通りの店(Casa Nova)を教えてもらった。

どんどん下りマルテッロッタ大通りを越えアイア・ピッコラ地区へ足を踏み入れてみた。リオーネ・モンティ地区とは雰囲気ががらっと一変する。もちろん地形的に斜面でないこともあるがトゥルッリが立ち並んでいるものの観光客がいないこともあって普通の住宅地そのものだ。あまりうろうろするのも申し訳ないので戻ることにした。そのとき雨がパラパラ降ってきたのでホテルへいったん帰る。

ホテルでは翌日の出発時刻の検討をする。そのためにフロントで列車の時刻を教えてもらおうとしたが、何時に乗るのかと訊かれ、それがわかれば尋ねる必要もないのだが、8時というと表を見て口頭で8時台は何分だと答えが返ってくるのでいらいらする。何回か繰り返してこちらからその表のコピーをもらえないか頼んでようやくコピーを手に入れる。全く5つ星とは思えない対応だ。

◆結局ランチを取った店へ
20時をまわったところで夕食に出かける。

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ヨーコさん推薦のCasa Novaに決め出かけたもののやっていないようだ。ヨーコさんからは両方の通りに面して2つ入り口があると聞いていたので反対側にも回ってみたがどうやら休みのようであきらめ、結局ランチを取った店へ行くことにする。少ない日程の旅行ではいいと思ったリストランテはほかに当てがなければ再度行くのが鉄則だ。ポポロ広場に看板が出ていてその方向へ行くとすぐだった。

2度目だと店の雰囲気も分かっている。ヨーコさんは他の旅行者にも教えたから日本人がいるかも知れない、と言っていたが結局は我々だけ。
ここでは是非前菜盛合わせを頼んでみて、といわれていたのでそれを頼んだが、一言でいうと前菜の嵐。何と次から次に10皿も出てくる(1人前7.5ユーロ)。サーモン、パッションフルーツ味ソースの小海老(昼と同じ)、カニかま、ゆでた小さなタコ(味があまりしない)、ビーフの煮込み、ビーフカレー?(カレー味はないがライスにかける)、馬肉?のカルパッチョ、チーズやレバーのフリット(大皿)、サラミとチーズ(モッツァレラかも知れないがもっとやわらかい豆腐みたいなチーズ)、ロブスター(ナスとポテトの3段重ね)。
プリモはチコリのトマトソースのオレキエッテ(4.5ユーロ)1品にする。ソースの味が薄かったが前の晩もトマトソースだった我々にとっては食べやすかった。
セコンドはメニューには魚料理がなかったがカメリエーラに相談し前菜からそれぞれ選ぶ。ムール貝の煮込み。ソースが美味しくこれをさらうようにパンがついていたがお腹がきつくなるといけないので少しだけにする。もう1品はロブスターのグリル。形は小さい、これを半身に切り、ハーブで味付け。かなり塩辛い小さないかが添えられたもの。あわせて13.5ユーロ。

ワインは地域別にワインリストが作られていて沢山あったので選ぶのに困ったが、プーリアの、ということでターラントのもの(Patrula Tenuta Zicari, 18ユーロ)を選ぶ。このワインは20度が最適温度ということで7分待ってくれということで儀式が始まる。さっきまでのカメリエーレがソムリエになりワインクーラーに差し込んだ温度計を一生懸命にらめっこしている。イタリアで何十回もワインを飲んでいるがこんなのは初めてだ。おかげで濃厚な味わいを堪能できた。
食後に相棒はグラッパ、私はカフェにし、約2時間の食事を楽しんだ。

外に出ると相変わらず雨。

ホテルに戻ると玄関のドアに鍵がかかっているのでチャイムを鳴らしてフロントのおじさんに出てきてもらう。

◆朝のトゥルッリ
夕べの雨も上がっていたので朝の散歩で人気のないトゥルッリ群を歩く。気持ちがいい。朝焼けの中、例の参道、モンテ・サンミケーレ通りを下る。呼込みもなくて落ち着いた気分だ。アルベルベッロにはツアーで立ち寄るのが一般的のようだけれど、朝日の中をとんがり帽子の景色をゆったりと楽しめるのは泊まった者だけが体験できるメリットだ。

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適当に切り上げモンテ・サンミケーレ通りを戻ると、どこから見ていたのか、この日もさっそくマリアおばさんから声がかかる。多少予想していたとは言えまだ朝の7時頃なのでちょっとビックリ。
『カフェが美味しいから寄っていきなさいよ』とまた誘われるが『これから朝食なので』
とやんわりとお断りすると『じゃあそのあといらっしゃいよ』と再度のお誘い。『8時28分の列車に乗るので』と答えると、『駅まで車で送って行くから』と食い下がられたが何とか振り切ってホテルに戻る。

朝食後、モンテ・サンミケーレ通りを避けて前の日最初に通った道を下りておよそ15分で駅に着く。
バーリ行の列車(ディーゼル)はわずか1両、車内はバーリへ向かう学生でほぼ満員だ。定刻に発車、アルベロベッロの旅を終え、バーリ経由マテーラへと向かう。

◆食べる
●リストランテ
お店の名前 La Locanda di Don Antonio, Via Giove. 8
食べたもの 昼食 本文の通り チップ込み 2人で44ユーロ
夕食 本文の通り チップ込み 2人で63ユーロ
1日で2度行ったのは海外旅行経験でも初めてだったが、それに値するリストランテ。

◆泊まる
●Hotel Dei Trulli (★★★★★) ,Via Cadore 32, Twin 22,200円、アップルでネット予約
本文の通りとても5つ星とは思えないホテル。

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南イタリアのホテル代はそう高くないのでここの22,200円というのは決して安いわけではない。特に朝食は最悪。宿泊客が少なかったのか我々が早すぎたのか散歩を終え7時15分頃だったが、朝食は7時からということだったのに準備されていない(テーブルセッティングも食べるものも)。あわてて用意されたビッフェスタイルの料理も今ひとつではなく今ふたつ。ここに比べると2001年夏、泊まったタオルミーナのサン・ドメニコホテルは正真正銘の5つ星だと思う。

◆買う
●ヨーコさんのお店 Via Monte San Michele, 43
プーリア州の民芸品、オカリナ、テーブルクロス、パスタ、最高級オリーブオイル、珍しいワイン、トゥルッロのミニチュア等がお勧め(ヨーコさんのお店のカードから)。