Perugia 滞在日記 8月後半


 ペルージャ外国人大学でイタリア語を学ぶため2010年8月から2ヵ月間、ペルージャで暮らした。これはその8月後半の滞在日記だ。
 

◆ペルージャに行ったきっかけ
2009年秋の一人旅、クレモナのリストランテでたまたま向かい側のテーブルにいた日本人の若い女性ふたり組と知り合った。二人ともペルージャの留学生でそのうちの一人Nさんと帰国後東京で再会したときにペルージャ外国人大学への留学をすすめられた。ちょうど仕事をやめて時間もあること、旅行だけではなくイタリア生活を味わってみたいこと、またもう一人のAさんが引き続きペルージャにいて心強いこともあって2010年の8月、9月の2ヵ月の短期留学をすることにした。

8月16日(月)
《インターネットがつながらないと・・・・・》
前日までのArezzoの旅にパソコンを持っていったもののホテルの部屋の中でのインターネット接続が有料でしかも高かったのでニュースなどはロビーのパソコンで見ていた。メールもできそうだったが自分のプロバイダーとのパスワードを覚えていなかったためペルージャに戻ってから読むことにした。

また、しばらくサーバーがダウンしていたため日記の更新ができなかったがサーバー管理人から『復旧した』というメールが携帯に入っていた。

前日17時すぎペルージャの自室へ戻り、さっそくパソコンの電源を入れメールを立ち上げると意外なメッセージ、つながらない。
ここの無線WiFiが1度つながらなかったことがありそのときもう1種類の無線WiFiのパスワードを教えてもらっていたことがあってそちらを選択したがやっぱりダメ。

『パソコンの設定を変えた覚えもないしおかしいなぁ』と思いいろいろやってみたが『どうも回線が切れたのではないか。それなら自分だけではなくこの建物全員が影響を受けているはず』と思い直す。
実は前科があって数日前何かの工事の際、TVのアンテナ・ケーブルが外れたらしくほぼ1日TVが映らなかったことがあった。
とはいえ、もしパソコンの設定がおかしくなっていたら『陸の孤島ならぬ情報の孤島に島流しか?』と少々あせる。

寝る前にやってもダメ、今朝起きてすぐにやってもダメ(日曜の夜から月曜の朝、しかも日曜は《聖母被昇天の日》で祝日だから飛んでくる工事屋さんはいないだろう)。

5時間の授業が終わってから13時すぎに戻ってパソコンを立ち上げ恐る恐るメールにつなぐと・・・・・何事もなかったかのようにメールが入ってきて、一件落着。ホッとした。

8月17日(火)
《ペルージャ買い物事情》
ペルージャに住み始めて2週間がすぎた。
久しぶりの単身生活で自炊もしようかと思ってきたのだが・・・・・。
ここペルージャのチェントロにはあまり店がない、というかこれがイタリアの町なのか。
下の町にはあるのかもしれないが近くにはスーパーはない。
minisupermercatoが2軒あるだけ。一応のものが揃い、プロシュット、サラミやチーズなどは注文に応じて切り売りしてくれるし、惣菜も量り売りで扱っているが、店内がなんせ狭い。野菜や果物の種類も少ない。

Perugia パン屋さんとCoop

 

なにか目新しいものを探したり、たくさんある中から選ぶというには不向きのようだ。

ペルージャでチェントロに住む人が皆が皆こういう店で買い物をしているわけではなさそうで、野菜・果物は八百屋、パンはパン屋、お菓子はお菓子屋でそれぞれ小売店がある。minisupermercatoほどの品ぞろえではないが、alimentariという食料品店もある。
一度、八百屋(看板はortofrruttaとなっていた)へ行ってみたが物も良さそうだったし、対面で指さしながら買えたし、自分で量る必要はないので楽だった。

今までイタリアを旅行中いろいろな町で広場や通りでメルカートを見かけたが、ここペルージャでは見たことはないのが不思議だ(もっとも朝は8時に登校しているし、週末はいないので自分が知らないだけかもしれないが)。
先日も、Cortonaに行ったときドゥオモ近くの広場に《市》が立っていたので思わず買ってしまいたい誘惑にかられたものだ。

物価という点でいうと、今の為替レートで考えれば概して日本より安いみたいだ。
当たり前だけど、本場の美味いプロシュットやサラミとチーズをつまみにワインを自分の部屋で飲み、瓶詰めのパスタ・ソースをからめたパスタを食べていれば本場の味で気分はリッチだ。

8月18日(水)
《ここでは運動不足》
ペルージャに来てももう18日も経つ。
毎日通学するとはいえ、我が家でいえば最寄り駅よりもかなり近い。往復しても2400歩くらい。
今までは通勤や仕事中に歩いたほかに週3回スポーツクラブに行っていた。
フリーになった4月以降はほぼ毎日のように通っていた。
それがここでは運動不足もいいところ。
何とか1万歩くらいは、と努力しているがチェントロは狭い範囲なのでそんなに行くところはない。今日は、サン・ドメニコ教会まで下りて行き国立考古学博物館の中を少し歩いた(ただ、観覧時の歩き方は運動にはならないようだ)。

Perugia サン・ドメニコ教会

 

 

 

週末にほかの町へ小旅行のときは頑張って歩いているがどれほど役立っているだろうか。
おまけに、小旅行のときはうまいものをたらふく食べているしなぁ。

ここには体重計がないからどういう状況になっているがわからないが、10月に帰国したときが心配だ。

8月19日(木)
《魚屋さん、発見》
メルカートがないと思っていたら、いつも日常の買い物をする(fare la spesa)ミニスーパーのすぐ近く、ミニメトロの駅のそばにメルカートがあるのを教えてもらった。
なかなかわかりにくいところだったが何とかたどりつくと開いている店はわずか3軒、肉屋、サラミ類とチーズの店、それに何と魚屋だ。

授業の帰りに寄ってみたがやはり3軒だけ。
魚屋さんに行き、先客の注文の魚をさばき終えるのを待って生のエビ(gamberi rosso)を『少し欲しいのですが』と注文。
『いいよ、1尾でも2尾でも3尾でも』といいいながら量り始めたので『そのくらいで』とやめてもらう(3.5ユーロ)。あとで数えたら7尾あった。

単純に塩茹でにして味わう。久しぶりの海の幸で美味しかった!!
(後日行ってみたらその日は2フロアに店があり10軒以上開いていた。)

8月21日(土)
《ペルージャを歩く》
ペルージャに来て3週間、着いた日以来初めて土日をここですごすことにする 。
大体の見所は見たつもりだったが、外国人大学登録時にもらったガイドブックを見ると、まだまだ見ていないところが沢山あるみたいだ。
このガイドブックでは5つの地区に分け、地図上に順路とひとつひとつの場所が書き込まれ、しかも地図に続くページには写真と解説が載っているというすぐれもの(英語版もあるらしいが、手元にあるのはイタリア語版)。

今日はほとんど足を踏み入れていないエブルネーア門のコース(旧市街の南西エリア)へ行ってみることにした。
スタート地点はプリオーリ宮。いつものヴァンヌッチ通りを下り、地図にしたがってこの間グラナータを食べたジェラテリアの前を行く。途中で右に曲がるのがよくわからない。
そこから先は未知のエリア。狭い路地に入り込んでいく感じだ。
サンタンジェロ教会という小さな教会のそばを通ってから左に曲がるとコースの名前になっているエブルネーア門。旧市街には建物をつなぐ門みたいなものが沢山あるのでうっかり見落とすところだった。
それから右折、ほどなくまた門がある。ジャコモ門だ。形はさっきの門とほとんど同じ。
来た道を戻り(上りだ)、今度は右に曲がって進むと大きな教会があった。なんか見覚えがあると思ったら割と早い時期に迷い込んできたところ。今日も閉まっている。
コース上の次の場所も来たことがある。
そのうち、またさっきのエブルネーア門を通り抜けるとマリオッティ広場に出た。

そのあともガイドブックの順路にしたがって上っていくが、途中工事中の道路があり細い歩行者専用の通路を通っていくうちに場所がわからなくなる。
小さな公園を抜けるとエスカレーターがあったのでホッとする。
終点を出るといつもの学校の横に出た。
ここに出るはずはないので、どうもさっきのところで間違えたようだ。

このコースは、眺望は望めないもののいくつもの教会、かなり古い病院や大学もあり、ペルージャという町の歴史を感じることができた。

ヴァンヌッチ通りのパッセジャータもいいが、こういう町歩きもいいものだ。
しかも階段を使った上り下りが結構あってかなり汗をかき、いい運動にもなるし一石二鳥だ。

8月22日(日)
《2日続けてペルージャを歩く》
昨日に続いてペルージャ散策、今日はPortaSoleコース。まず、いつも行くミニスーパー近くのジェズ教会から始める。

Perugia ジェズ教会

 

 

 

このコースの一番遠くはサンタ・マリア・ディ・モンテルーチェ教会。途中アジロ通りからはるか向こうに見えたときは一瞬『遠いなぁ』とひるんだが運動のつもりで歩く、歩く。

Perugia モンテルーチェ教会遠景

Perugia モンテルーチェ教会
着いたときはちょうどミサの最中だったのでしばらく待ってから中に入る。祭壇画がすばらしい。

Perugia モンテルーチェ教会 祭壇画
《Perugiaでも10年ぶりの店へ》
今晩の夕食をどうしようか、と思っていたが、以前旅行で訪れたときに行った店に行くことにした。
というのは今の住まいからすぐだということがわかったからだ(徒歩3分くらい)。
予約もせずに20時半ころ訪れる。

Arezzoのリストランテは10年前と何も変わっていなかったが、ここは店の造りは同じものの雰囲気はすっかり変わっていた。
まず、名前。10年前は”Osteria del Bartolo”だったのが、今は”Wine Bartolo Hosteria”。
以前は、料理中心のしゃれた店だったと記憶しているが、今はカメリエーレ、カメリエーラともカジュアルな服装で、また、ワイン・リストにはイタリア各地のワインがいっぱい。

Perugia Wine Bartolo Hosteria 店内のワイン

 

一方、よくあるカラフェのハウス・ワインはない(4~6ユーロのグラス・ワインがプロセッコ、白、赤がそれぞれある)。

ということで、飲み残したボトルは持ち帰ることで地元ウンブリアの”Montefalco Rosso”フル・ボトルを注文。
料理はキィアーナ牛の定食にした。

アンティパストはキィアーナ地方の子牛のカルパッチョ、結構塩がきいていてうまい。Perugia Wine Bartolo Hosteria キアナ牛(仔牛)のカルッパチョ

 

 

プリモは、やはりキィアーナ牛のミート・ソースのタリアテッレ。

 

Perugia Wine Bartolo Hosteria タリアテッレ・キアナ牛のラグー
セコンドもキィアーナの子牛のサン・ジョヴェーゼ(赤ワイン)煮込み。これはこれで美味しいが、この間のArezzoのリストランテの方が数段美味しかった。
この定食(20ユーロ)はまったくのお仕着せで量は少ないが日本人の胃袋にはちょうどいい。

ドルチェは好物のチョコレート・ケーキ、ふわっとして少しあったかくておいしい。最後にカフェでしめる。

Perugia Wine Bertolo Hosteria チョコレート・ケーキ

 

 

ワイン(*)は1/3ほど残ったので持ち帰り。計44ユーロ。

雰囲気が多少変わったとはいえ、まずまずのCenaだった。

*ワイン:MONTEFALCO ROSSO, COLPLETRONE 2007 (17ユーロ)
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お店の名前:Wine Bartolo Hosteria, Via Bartolo 30, Perugia
http://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g187907-d1231020-Reviews-Wine_Bartolo_Hosteria-Perugia_Umbria.html

 

8月23日(月)
《ピッツァの誘惑には勝てず》
月曜は8時から13時までの授業なので疲れる。しかも終わるころにはおなかぺこぺこ状態。
朝食のパンがなくなったこともあって、帰りにパン屋に寄りお昼用にフォカッチャとコルネット(クロワッサン)、朝食用のパンを買い、自室に戻った。
その帰り道、途中にある初日に連れてきてもらったペルージャ一うまいと評判のピッツェリア、いつも並んでいるのに今日は誰も並んでいない。
店内をチラッと覗くと空いているテーブルもある。

自分の部屋に戻るまでの1分のうちに結論を出した。
『お昼用のパンは一つは午後のおやつ、一つは明日の朝』と決め、カバンとパンを部屋の中に置いて、すぐさまピッツェリアに向かった。

注文したのはフンギのピッツァ、フンギのほかモッツァレラ、パジリコなどたっぷり。

これで5ユーロ(一番安いのは3.5ユーロ、高いのでたしか6.5ユーロくらいだったと思う)。
これに、今日抜くつもりだったアルコール、2つ目の誘惑に勝てずちょっとフリッツァンテの(スパーリングぽい)白ワイン250ccも頼んでしまった。
(これでサービス料込み8.1ユーロ)
いずれにしてもイタリアらしい美味しいランチになった。

8月24日(火)
《早くも4週目に入ったが》
8月3日から始まった授業も今日で4週目に入った。
月、火は朝8時から13時までの5時間授業だから結構しんどい。
火曜の13時、解放されるとホッとする。

8時からの3時間がテキスト中心で進む(週4日)のに対し、11時からの2時間は会話演習で文法的には同じようなところを2、3人で一組で相手のことを質問してみたり、最近はロープレもある(週3日)。

しかし3週間たって、はたしてレベルアップしているのか、よくわからない。
400ページちょっとあるテキストはもう140ページくらいまで進んだ。
もう65時間もやっているので文法的には多少は身についたとは思うが、会話能力は来る前とほとんど変わっていないかもしれない。

1週間後には1ヵ月受講のトルコ人学生ら7、8人が帰ってしまうし、いつも隣にいるフィリピン人などは上のクラスに移るというので2ヵ月目はかなりこじんまりしたクラスになり鍛えられそうだ。

8月29日(日)
《今日のペルージャ》
今日は日曜。昨日までの陽射しの強い中のGubbio1泊旅行でちょっと疲れ気味。
一日休養にあてる。といっても、散歩には出かけた。

いつも観光客で賑わっているヴァンヌッチ通りも8月最後の日曜日ということで心なしか人出が少ないようだ。
先週の月曜から暑かったのも一段落したのか、ヴァンヌッチ通りの銀行入口に表示されている気温は24度だ。
しかもペルージャ名物?の風が結構あって体感温度はもっと低いみたいだ。

昨日からイタリア広場では骨董市が開かれている。昨日、Gubbioからの帰りに通りかかり『あとで見に来ようか』と思ったものの、疲れていてとても出かける気がしなかったが、近くまで行ってみると今日もやっていた。
小さめの家具、シャンデリアなどインテリア関係、食器類、ネックレスなどアクセサリー、古本、コインや切手、古そうな絵や彫刻、カメラ、時代物サングラス、道具類、その他もろもろ。おもしろいものでは、中身の入っている1959年のCoCa-Colaがあった。
場所は違っても雰囲気は我が家の近くで開かれる骨董市と良く似ている。

日曜だから目抜き通りのヴァンヌッチ通りの店は8割がた開いているものの中にはいつも赤いジャケットのカメリエーレで目立つpasticceriaなどは23日から9月7日まで休みだ。
ぼつぼつバカンスを終えて開いている店もあるが、散歩をしているとまだまだ”Ferie”(休暇中)の貼紙も多い。ペルージャに着いたとき、すでに休みに入っていた店も多く、9月の上旬に入ってようやくふつうの姿になるのだろう。

8月30日(月)
《校舎が変わる》
8月最後の週が始まった。
教室に行くと予想されたことだが出席者は6名。そのうち1ヵ月受講生は一人だけ。
最初のころはともかく最盛期は16名出席していたので10名はそれぞれの国に帰ったか、帰国前の旅行を楽しんでいるのだろう。

今の校舎は夏休み中の高校の校舎を借りているようだ。あさって、9月1日からはメイン・ストリートのヴァヌンッチ通りをはさんでちょうど反対側にある外国人大学のPalazzina Prosciuttiというところになると、授業中に先生から話があった。
距離的には今までと変わらないようだけど、今まではまずドゥオモに出てフォンターナ・マッジョーレを見てヴァヌンッチ通りを見下ろし、プリオーリ宮の前を通り、右に曲がってプリオーリ通りを下っていくという毎日の通学路が観光コースだった。しかも、プリオーリ通りの両側にはいろいろな店もある。

夕方、今度の教室がどこにあるのか登録時に外国人大学からもらった地図を頼りに探してみたがまったくわからない。
いったん戻ってネットで検索。もう一度探しに行く。
大学の新しいキャンパスの中、自然環境には恵まれているがチェントロを歩く楽しみはない。

Perugia 外国人大学
逆に9月からは授業が終わってからのチェントロ散歩が今以上に楽しみになりそうだ。

8月31日(火)
《ついに1ヵ月終了!》
今日、5時間の授業を終えついに1ヵ月が終わった。中国人のファンドンは1ヵ月受講なので今日が最後。ミラノに戻ってシェフの仕事を探すという。
残るは、インド人2人とフィリピン人1人(いずれも教会関係者)と中国人女性1人に自分の計5名だ。帰りに明日からの校舎を皆で見に行った。

Perugia 外国人大学 Palazzina Prociutti

 

 

明日からの授業は校舎だけではなくちょっと時間帯も変更になることがわかった。
今までは、月、火、2日続けて5時間連続だったのが、月曜は11時にいったん終わり13時から再開。中抜けはイヤだけど5時間続くよりはマシだ。
水曜は午前中はなくて15時から3時間、木曜は今までと同じで11時でいったん終わってから夕方17時から19時まで、金曜も今までどおりで8時からの2時間。

曜日によって時間帯がまったく違うので生活のリズムをとるのがなかなか難しいかもしれない。