◆初めてのプルマン
シエナにはこの時が初めて。この時はフィレンツェのホテルに荷物を預け、ショルダーバッグ1つで1泊の小旅行としゃれ込む。2度目は2年後、モンタルチーノ・プルチアーノからシエナ泊まりのフィレンツェまでの旅だった。
4日前にボローニャで長男と別れ一人旅の5日目。別れてからずっとフィレンツェに泊まっていたがいよいよフィレンツェからいろいろ動き回る旅が始まる(とはいうものの荷物を取りに翌日には戻ることになっていたのだけれど)。
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅近くのターミナルからプルマンに乗り込む。初めは9時40分のプルマンに乗るつもりだったが、サン・ロレンツオ教会、メディチ家礼拝堂など見ていて時間がなくなり1時間遅れの10時40分のプルマンになってしまう。しかしこうやって気軽に時間を変えられるのが個人旅行、とりわけ一人旅の良いところだ。
車窓からはなだらかな田園風景、といっても田んぼはない。ぶどうの木だろうか、それともオリーブの木だろうか?地面からまっすぐ立っている木、白くてひょっろしている木、黒っぽくて短く、ぐにゃとしている木(これがぶどうの木)。
道路はすいていて12時ごろ市街地に入る。定刻の12時10分、サン・ドメニコ教会そばの停留所に到着。そのまま、ジョリー・エクセシオールホテルにチェックイン、フロントの男性がよそよそしい(この感じはチェックアウトの時まで変わらない)。
ホテルまでの通りにはアーモンドの花だろうか梅のような花が咲いている。ルッカやボローニャではモクレンが咲いていた。春は東京よりも早いように思う。
◆イタリア一美しい広場からドゥオモへ
世界で最も美しい広場、といわれるカンポ広場でランチにした。ピッツァとワインを注文する。シチリアという名のピッツァだったが薄くて美味しい。外のテーブルで反対側がプッブリコ宮殿、マンジャの塔と絵になるのでカメリエーラに頼んでシャッターを押してもらう。そのうち少しひんやりしてきた。セーターやマフラーをフィレンツェに置いてきたのをちょっぴり悔やむ。
折角なのでマンジャの塔に登ることにした。ボローニャのアジネッリの塔と同じくらい階段の傾斜がきつい。肩幅より狭いところもある。どうやって建築したのだろう。
かなりしんどい登りだ。
てっぺんからみたカンポ広場は当たり前だが貝殻の形だとはっきりわかる。さすがにイタリア一美しい広場といわれるだけある。さきほど食事をしたリストランテが眼下に見えるが、沢山のパラソルが綺麗だ。それにしてもかなりの高低さを感じる。下りはわずか10分しかかからないが降り終わるころには太ももが痛い。
とりあえずバールでカプチーノを飲んで一休み。それからドゥオモに向かったがどうやら逆方向だったようだ。それでも気づいてからほどなくゴシック様式のドゥオモに着く。あたりに人はまばらだ。
白地にグリーンのラインが巻かれているような壁。正面には三角の金地にキリスト。装飾、彫刻が素晴らしい。
内部の壁も白にグリーンのラインかと思ったが、白地に黒のライン。柱の壁には聖人の顔がズラリ。象嵌などで描かれた床の絵は6ヵ所のみ公開されている。
クーポラの天井は黒地に金色の文様装飾。八角形の説教壇にはキリストの生涯の彫刻が見事だ。
左手にある有料(2,000リラ)のピッコローミニ家の図書館に入って見る。天井、壁の絵が明るく鮮やかで豪華だ。賛美歌の本(相当大きなもの)が四方の壁に展示されている(フィレンツェのサン・マルコ美術館では2冊のみ展示)。
ゆっくりと見たため1時間近くかかった。
ドゥオモを出て左に回り裏手の広い階段を下り、サン・ジョヴァンニ洗礼堂に行く(3,000リラ)。先客が出て行ったら他には誰もいない。静寂だ。
入口に回ると色合いの感じの違う建物で少しピンクっぽいところがある。
壁、天井一面にキリストの生涯が描かれている。洗礼台にはドナテッロのブロンズ彫刻がある。
◆パンナフォルテを買ったついでに
チッタ通りに1軒の食料品店があったので、お土産としてシエナ名物のパンナフォルテを沢山買い込む。結構重い。この店のご主人に「どこかいいリストランテを教えて下さい」と尋ねると2軒教えてくれた。そのうちの1軒はすでにチェック済み、結局そこに行ったことになる。
シエナには国立エノテカがあるというので行ってみた。スタジアムの近くだ。
ここ、トスカーナだけではなくイタリア各地のワインが集められていて、試飲ができる。
何種類か飲んでみて2本買ったが、パンナフォルテに加えて荷物が重くなった。
◆教えてもらったリストランテへ
20時すぎ食料品で教えてもらったリストランテの1つ“Il Ghibellino”に行くと奥のテーブルに案内された。店の中には、地元のおばさんグループ9人、カップル2組、我が同胞カップル1組、おじさん1人。白い壁、天井が山小屋のようにむき出しだ。
ハーフボトルのハウスワイン、前菜、ペンネ、烏賊とエビのフリットを注文する。
一人で店内を見渡しながらメモなどしていると、日本人カップルが気づいて会釈をしてくる。そのうち、女性が化粧室の帰りに話しかけてきてあとで情報交換をすることとなった。
そのため心もち急いで食べ、すぐに勘定してもらい自分のホテルに寄ってもらう。
◆久しぶりの日本語で情報交換
新婚旅行かなと思って訊いてみると結婚10年だという。奥さんの方が仕事で度々イタリアに来ているとのこと。ご主人を誘ってご自分が良かったと思うところを回って見ているようだった。シエナへはオルヴィエートから来たという。オルヴィエートのドゥオモの素晴らしいファサードをご主人に見てもらうためだったらしい。
私のことは雑誌か何かの記者だったと思ったようだ。というのは一人のテーブルで料理が運ばれるまでの間メモを取っていたからだそうだ。
いわば逆コースで旅していたのでいろいろと話し込む。気が付くと24時になっていたのでタクシーを呼び二人は郊外のホテルへ帰って行き、長い一日が終わる。
◆食べる
お店の名前 Il Ghibellino Osteria in Siena, via del Pellegrini, Siena
◎前菜 手長エビ(5尾)のグリル 10,000リラ
◎プリモ ペンネ・アッラッビアータ 7,000リラ
それまでに食べていたのに比べると固さといい、辛さといいベスト。
◎セコンド 烏賊リングとエビのフリット 18,000リラ
またエビを選んでしまったが、種類が違っていてこれも美味しい。
◎ワイン Chianti Coll Senesi,Fattorie Chigi Saracini (1/2) 12,000リラ
◎水、Tax込み 54,000リラ
シエナは土地柄肉料理が中心のようだが、この店は週に1回魚料理が食べられると看板に書かれていてちょうどその日だったようだ。
この2年後、シエナを再訪した際もこのオステリアで夕食を取った。その時は電話で予約したが、混んでいて20時45分を指定されたほど。
◆泊まる
ホテルの名前 Jolly Hotel Excelsior Siena, ★★★★ Single 13,000円
JHCで予約、旅行代理店でクーポン購入。
ロビーも広く、部屋数も多い大きなホテル。ただ、フロントが嫌な感じ、何を頼んでも最初は無視されたような気がしたのは考えすぎか。2度目のシエナの時、絶対にこのホテルには泊まるまいと思った。
◆買う
お店の名前 Manganelli Antica Droghe, via di Citta 71/73
◎パンナフォルテ 大、小あわせて8個(103,000リラ)
◎パスタソース用乾燥ハーブ(6,000リラ)
お店の名前 Pelletter cuoteria Fiorentina S.N.C., via di Citta 118
◎コイン入れ 5個(75,000)9年後の今も愛用
お店の名前 Enoteca Italiana, Fortezza Medicer
◎ワイン Brunello di Montalcino 2本(醸造元、ヴィンテージ不明、48,000リラ、49,000リラ)
お店の名前 Andrew’s Ties, via Banchi di Sopra 37
◎ネクタイ (25,000リラ)