◆行く
ローマを起点としたプーリア&マテーラの旅もマテーラ観光を終え最終宿泊地(といっても本当の最終宿泊地はローマだけれど)のバーリに向かう。
マテーラ発14:18の列車は15:48にFAL(私鉄Appulo-Lucane線)バーリ駅到着。ホテルは駅から比較的近いところを予約していたため16時にはチェックイン、ボーイに案内された部屋がダブルだったのでフロントに戻りツインに変えてもらう。
◆見る
相棒は一生懸命ローマにいる知り合いのオフィスに電話しようと試みるがつながらない。そうこうしているうちに17時になったのでバーリ旧市街観光に出かけることにした。
ホテルの面しているニコライ通りを東へ向かいウンベルト1世公園に出る。かなり大きくて開放的な感じだ。いろいろな露店が出ていて大勢の人々が楽しんでいる。左折してこの公園を2分しているスパラーノ通りに入り旧市街の方へと歩く。17時すぎとはいえ、サマータイムでもありまだ結構暑い。
大きな通り(ヴィットリオ・エマヌエレ2世通り)を渡るとそこから先は旧市街だ。旧市街に入りカテドラーレを目指すが「本当にこの先にあるの?」というようなトンネルのような両側から建物おおいかぶさってくるような路地に入ってしまった。ようやくカテドラーレの前に出る。前の広場はそう広いわけでもない。地元の人が大勢繰り出している感じで、また車も通っていたりで何となく雑然とした広場。ファサードの写真を撮るにも一苦労だ。このときのバックの空の色が真っ青でものすごく印象的だった。
ファサードはバラ窓のほかはこれといった装飾もなく、中も石が剥き出しのままで素朴な感じがする。レッチェなどのバロック様式の教会を見たあとだけに余計素朴さを感じる。
内部は左右各10本の柱で分けられた3廊式で大きくてシンプルだが、主祭壇下のクリプタはこれとは対照的に木彫りのアーチの連続で豪華だ。壁には彫刻がほどこされている。
カテドラーレを出て西の方へいくとカステッロがある。
レッチェのカステッロよりかなり前の時代に建てられたようだが、同じような四角い形で大きさも同じくらいのようだ。中に入ろうとしたところ呼び止められ入場料がいるとのこと。見学には時間がかかりそうなのでパスする。
海岸に沿って走る通りに一旦出てぐるっと一回りする。ポルト・ヌオヴォを左に見るがC.コロンボ広場を過ぎると反対側の海が見える。
それをどんどん行くと城壁が途切れ車も通行できる門があったのでそこからまた旧市街に入るとそこはバーリの守護聖人であるサン・ニコラス(あのサンタクロース)の遺骨があるというサン・ニコラ教会だった。カテドラーレとは正反対で教会前の広場は広々として落ち着いた感じだ。
ちょうど教会の中では結婚式が行われていたようでまもなく新郎新婦、家族、親戚、友人とおぼしき人たちが出てきた。若い友人たちが「プープー」と風船ラッパをならすが「よく続けて吹けるなぁ」と思い目をやると吹いているのではなく、エアゾール形のボンベの頭に風船が付いていてボンベのボタンをプッシュしているのには思わず笑ってしまう。イタリアならでは、なのだろうか?
結婚式が終わったばかりの教会の中に入ってみる。大きな花の飾り付けを片付けている最中だった。
ここもやはり3廊式で側壁は石、身廊を分ける柱は左右2カ所が2本づつくっついたような形になっている。天井は金の装飾と絵で飾られている。主祭壇の前には3つのアーチがあって奥行きを感じさせる。
旧市街の観光はこのくらいにしてホテルへ戻る。相棒が奥方から頼まれたものを買うためにリナシェンテを探したいというので、南北に走る大通り、カブール通りを歩く。この通りの両サイドはファッション関係の店が多い。途中、今回の旅で初めてジェラートを食べた。
◆食べる
ホテルで一休み後、夕食に出かける。何を食べようかいろいろ考えたものの海の町なのでシーフードにしようと決め、ホテルのスタッフに教えてもらった店《al Pescatore》はカステッロの近くで気になっていたところだった。
南イタリア特有のオープンエアのトラットリア、夕方明るいときに見たときは外にテーブルがある程度にしか見えなかったが夜は雰囲気がいい。また風が心地良い。流行っている店なのか、お仕着せのワインを勝手に開けてもってきたり、待っている客を入れるためなのかやや急がされたような感じもしなくもない。
結局この日はホテルと旧市街を2往復したことになる。
◆見る(2日目)
半日、カステッラーナ・グロッテへ鍾乳洞を見に行く(詳しくは“(9/16)Castellana Grotte”旅行記で)。ただ、そのとき予定していた列車に乗り遅れ、1時間半の待ち時間を利用してバーリ駅の北側を散策した。ジュゼッペ通りを南へ、南へと行ったが名前は忘れたけれどジュゼッペ通りを交差する通りで朝市が開かれていた。魚屋、果物、野菜、肉、日用品など。
カジキマグロが生きているかのような形でディスプレイされている。
ここで買ったアンチョビ(瓶詰め)はすこぶる美味だった。とにかく洞窟見学を控え荷物にはしたくないので一番小さいのにしたがあんなに美味しいのが分かっていたならまたあとで買いに行けば良かったと思うほどだ。
別のお店では何かポリ袋に入れて売っている果物、『何だろう?』と立ち止まるとお店の人がサボテンの皮を剥いていて、「ほれっ!」とナイフの先に載せて一つづつくれた。すっごく甘い。“セ・ボン?”と訊かれ、うなずくと周りから“セ・ボン!”、“セ・ボン!”の合唱が(ちょっとオーバー?)。
9:52発の列車に乗るため駅へ戻り、カステッラーナ・グロッテへ向かう。
(詳しくは”(9/16)Castellana Grotte“旅行記で)
バーリ着14:49、一旦ホテルへ戻る。10分もかからないので便利だ。
◆買う
旅も終わりに近づきそろそろお土産というか、ワインやその他食料品を調達しなければならない。
ホテルで一休みしてから、前の日に気になっていた洒落たワインの店を探す。カイロニ通りのその名も“Cantina Cairoli”。中に入るとビジネススーツを着込んだセクレタリーのような女性がいる。店内は天井が高く、ウィンドゥ以外の壁は白っぽく明るくて肝心のワインも整然と陳列されていて酒屋というよりはワインのブティックという感じだ。
『美味しい地ワインを』というといろいろ相談に乗ってくれ土産用2本、寝酒用1本買う。相棒はグラッパやマスカット味、レモン味のオリーブオイルを買う。帰国後の話ではレモン味のオリーブオイルはドレッシングとして美味しくて重宝したとのことで買わなかったのは残念!
この店でかいわいの食料品店を尋ねたらすぐ先とのこと。同じブロックの角だ。
外から店内を覗くとまぁまぁいろいろなものがありそうだったので“ボナ・セーラ”と中に入る。お土産用に小瓶(250ml)のオリーブ・オイルを買おうと探すが見当たらずあきらめる。パルミジャーノ・レジャーノを買うことにした。別にバーリ特産品ではないが、最終日のローマで買う時間があるかわからないからだ。大体1キロくらい欲しいがお店の人に塊を指さし量ってもらうと1キロ弱、相棒もほぼ同じくらいのものを買う。このままでは重くて荷物になるので一旦ホテルへ戻る。
◆食べる(2日目)
この日も夕食のリストランテ探しに出かける。カステッロから海岸通りに出る。ほどなくオステリア《Osteria al Gambero》発見!名前の通りここもシーフードの店だ。まだ準備中だったが、中に入ってお店の人に何時からか尋ねると7時からとのこと。一旦出たけれど『夕べのところと食べ比べるのもいいか』と相棒と意見が一致したのですぐ戻って『7時から7時半で』と予約する。
この店で何が印象的だったかというと、前菜が9品もあったこと、日本人だと分かって生もの盛合せを食べるか訊いてきたこと(もちろん注文した)、そして勘定書きの数字がまったく判読できないことだった。生もの盛合せは要するに刺身盛合せだ。カキ(5個)、ウニ(4個)、ムール貝(7個)、そしてイカ。レモンを絞って食べる。しょうゆとわさびが欲しいところだ。
2人で90ユーロとプーリアとマテーラの旅で一番高かったのはこの盛合せのせいかもしれない。ここの海の幸のスパゲッティはゆで加減良く美味しかった。
9時半過ぎに店をあとにしたが金曜の夜の割にはすいていたようで1/3くらいの空席があった。
◆朝の散歩
プーリア最後の1日となった。6時に目覚めたので朝食前に魚市場を見に6時半すぎ出かける。カヴール通りから旧市街に入ったすぐ右手の建物だと思って入ってみたら中では魚屋と八百屋が準備中。ここではないなぁ、ということで海岸通り(Lungomare)に出ると右端に“Mercato Pesce”の看板が見えたのでその方向へ行ってみる。
ずっと先の方で何か作業中。漁師なのか魚屋なのか分からないが、イカ、タコ、ムール貝の下処理中だ。そこのお兄ちゃん2人と話す。『日本にもイカがあるのか?』、あまりにも小さなイカだったので『あるけど、もうちょっと大きいね。しょうゆで食べるけど』、『それはレモンの類か?それともオイルの一種か?』。しょうゆについては全く理解してもらえなかったようだ。
海からホテルに戻らずそのまま駅へ行き、午後のローマ行きの乗車券を買おうとしたが満席。午前中の8時台、9時台の列車は乗換えが多くて時間がかかる。午後の次の列車は15:59発のIC(Inter City)でローマ着22:02だ。
ひとまず考えることにしてホテルへ戻り朝食後フロントで教えてもらった駅裏手のプルマン営業所へ向かう。プルマンだとローマまで5時間半かかるが、時刻表に13時発があったので予約窓口の女性に「13時発に乗りたい」というと“Oggi, e pieno”(今日は満員よ)。こっちも満席。その次は16時、しかもローマの到着ターミナルはティブリアーナ(予約しているホテルはテルミニ駅近く)なのでやむなく列車にする。その足でバーリ駅に行く。自販機でペスカーラ経由もチェック、11:04発は空いていたものの途中ペスカーラで乗換え、17:56ローマ着ということもわかったが、乗換え時間が短いこともあって結局15:59発の乗車券を購入。
これで帰りの足は確保できたし、有意義に時間を使うことができる。
今回の旅ではマテーラで博物館に行ったものの美術館には行っていなかったので海岸通りに近くにある県立絵画館(Pinacoteca Provinciale)に行くことにしてまた歩く。
途中、ホテル備え付けの市内観光ガイドブックに出ていた食料品店を見つけたのでちょっと覗いてみる。若いお兄さんがいろいろ説明してくれ、相談にのってくれる。ここで買うことを決めたが荷物になりそうなので『絵画館の後にまた来るから』と言ってとりあえず出る。
海岸通りに面した絵画館の入口は10時近くだというのにしっかりと閉まっている。一度はあきらめたが海岸通りから建物の北の通りに回ってみると守衛さんがいたので絵画館に入れるか尋ねてみた。左に曲がったところのエレベーターで4階に上がるように教えてくれた。
4階の受付で、『右から入ってぐるっと回り最後に左の《ナポリ銀行収蔵品展》を見るよう』にいわれる(入場料 1人2.58ユーロ)。
教会の祭壇画、彫刻などの他16〜17世紀の宗教画が多い。他にはいつごろのものか不明だが男女の盛装の展示や当時の生活をあらわしているミニチュア(これも制作時期は古そうだ)があった。絵ではヴェネツィア派のティントレットの大きな作品がある。
終わりの方には静物画や、19世紀の印象派時代の作品も展示されている。
約30分で芸術鑑賞終了、さきほどの食料品店へ行く。看板には“SALIMERIA”とある。もとはハム・ソーセージなどの肉加工品が中心だったのかもしれない。ここではオリーブオイルと衝動買いでオリーブの実を量り売りで買ってしまった。相棒はワインなどいろいろと買っていた。
ホテルに戻って荷物をパッキングし、スーツケースなど預けてチェックアウト。
昼食をどこにするか迷う。バーリ市内のミシュラン3本フォークの店にするか、《南イタリア屈指の洗練レストラン》と紹介されているモーラ・ディ・バーリの店にするか。
バーリから列車に20分乗らなければならないがプーリア&マテーラの旅のフィナーレを飾ることにして行動派の我々としてはモーラ・ディ・バーリへいくことを決断する。
(詳しくは“(9/17)Mola di Bari”旅行記で)
◆ローマへ
モーラ・ディ・バーリでの優雅な食事を終え、バーリへ戻りホテルへ荷物を取りに行く。ローマまでの列車は15:59発のIC、少し早めにホテルを出る。
8番線にすでに列車は入線、3号車に乗り込む。指定席にはすでに若いバックパッカーの男2人がトランプに興じていたが、乗車券を見せるとすぐに席を立ってくれた(コンパートメント6名のうちもう1名も途中でやはり指定券がなく席を立つ)。
ローマまで6時間余り、ちょうど半分くらい経ったころに前日買っておいたワインを飲み始める。ブティックのようなワインの店で『ティピカルなプーリアのワインを』と言ったら最初に出てきたのがこれ、(Don Marcello 2003, Torre Qvarto 5.5ユーロ)。
初めはピリッとして渋みを感じたがそのうちまろやかになる。値段の割に美味しいワイン。
『これを輸入して日本のお店で出せば4〜5千円はとれるか』などと談笑する。
ローマまであと1時間半くらいのところで雨と雷、定刻より15分ほど遅れ雨のテルミニ駅到着。プーリア&マテーラの旅を終える。あとはローマで1泊だ。
◆泊まる
ホテル Hotel Victor Bari(★★★), Via Nicolai, 69/71, Twin 116ユーロ
Venere.comで予約、2泊 する。4つ星に近い3つ星か。
イタリアらしくなく大きな目立つ看板のあるアメリカンスタイルのホテル。
玄関を入ってすぐのところに浮いている島のように真ん丸いカウンターのフロントがある。部屋を替えてもらったり、リストランテを教えてもらったり、その他の対応は良い。朝食は今一つ。
◆食べる
●リストランテ
お店の名前 Al Pescatore, Piazza Federico ? di Svevia 6
食べたもの 前菜盛合せ(5皿)タコの煮物、タコのマリネ、イカのマリネ
ムール貝、ポテトとムール貝(13ユーロ×2)。セコンドはスカンピのグリル、魚介類のミックス・グリルと海の幸づくしにする(あわせて26ユーロ)。魚介類のグリルは小さいがエビ、タコ、イカ、魚と盛り沢山。コペルト(2.6×2)、水、デザート1品、ワイン2本。合計 2人で77ユーロ。
ワイン LAROCCA (プーリアの地ワイン、白、お店のオーナー爺さんが席へ着くと抜栓したものをすぐに勝手に持ってきた)
GRAVINA 2004, Botromano (赤を頼もうと一言いっただけで出されたハウスワイン、プーリアの地ワイン) ワイン2本で何と15.7ユーロ
お店の名前 Osteria al Gambero, Corso Antonio de Tullio, 8
食べたもの 本文の他、セコンドはスカンピのグリル2人前(大1、中7)、前日のAl Pescatoreよりも大きいが味は前日の方が良かったか。
食後酒(グラッパ、レモンチェッロ)、このとき厚めのクッキーが5個付く。
2人でチップ込み 90ユーロ(勘定書きは手書きで判読不能、計83.14ユーロに端数を加え切り上げていた)
ワイン BAROCCO Martina 2004, Locorotonpo (白)
◆買う
オリーブオイル 500ml 11.2ユーロ (バーリ産、DECARIO社)
バーリで2軒の食料品店に行ったが小さな(250ml)瓶のものはなかった、やむを得ず2軒目の店ですすめられたのを買う。甘い青りんごのような味わい。
お店 Bozzi dei F.lli De Bartolo, Via G.Bozzi, 53 (www.salumeriabozzi.com)
パルミジャーノ・レジャーノ 900g 14.4ユーロ
お店 Salumeria de Carne Francesco, Via Calefati, 128
ワイン Donna Lisa Rosso, Salice Salentino Riserva 24ユーロ
IL FALCONI, Castel del Monte Riserva 2000 8.6 ユーロ
お店 Cantina Cairoli, Via Cairoli 81