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Novara (ノヴァーラ) 2006/9/9

Novara (ノヴァーラ) 2006/9/9

◆行く
今回の7泊ピエモンテの旅はノヴァーラから始めることにした。といっても泊まるだけだ。
普通ならミラノに1泊してピエモンテに向かうのだろうが、この時期のミラノは見本市でホテルがやたらに高い。また、ピエモンテではアスティアルバを訪れたかったのでその手前にあるノヴァーラに泊まろうと考えた。
成田からJL417便にてミラノ、マルペンサ空港に到着。パスポート・コントロールを終え到着ロビーに進むと1日早くミラノ入りしていた弟に迎えられる。

ノヴァーラまではバスで行ける(これはあらかじめネットで調べておいた)。20時ちょうど発なので1時間ほど時間があったがロビーの椅子に座り今回メンバー3人で情報交換などしながら時間をつぶす。

乗客はわずか7名。我々が乗らなければたったの4名ということだ。それだけマイナーな行先ということかもしれない。
発車するころには明るかった空もだんだん暗くなり始める。それでもマルペンサを出てしばらくは車窓から夕暮れの景色が見える。ポー川なのかその支流なのか、川の流れを右に見たり左に見たり、自然の中を進む。そうこうしているうちに少し広い道路に出て、そのうち町の中に入った。

本の中の写真で見ていたサン・ガウデンツィオ教会が遠くにライトアップされているのが現れるとほどなくノヴァーラ駅前に着いた。

 

我々以外は皆降りる。運転手にどうするか聞かれたが、予約していたホテルは終点のバス・ターミナルの方が近いので「次で降ります」といい、発車してもらう。ほんの少し行ったところの交差点でバスの中からホテルのネオンサイン発見。バス・ターミナルというのが恥ずかしいほどの停留所からはすぐだった。(マルペンサ空港からわずか40分、1人6.5ユーロ)
20時50分にはホテルにチェックインできた。

◆食べる
我々成田からの直行組2名は機内食が2回出たこともあってそれほどの空腹感はないけれど、ミラノ合流者1名は昼食から時間が相当経っているというのでホテル近くで軽く飲み、食べることにして、フロントの女性に近くの店を教えてもらう。

ホテル前の通り(カヴァロッティ通り)をまっすぐ行くと右側にピッツエリアがあるという。
土曜の夜だというのに人通りが少ないがそのお店の前には数人が待っているようだ。彼らが店の中に入ったあと続いて入ると席に案内してくれた。店内のテーブルはほとんど埋まっていて、なかなか流行っている店のようだ。
カメリエーラ、というよりは高校生アルバイト?の女の子が注文を取りにくるが、ワインのところでパタッ!と止まってしまう。ワインが何種類かメニューに載っていたので、『この地方のワインはどれ?』と訊くと『ぜーんぶ』と答えてくる。中にはキャンティもある。『一番上のこれは?』と訊くと『分かる人を連れてくるから待って』。それはナポリ近郊のものだった。結局ノヴァーラの地ワインというのはなく、今回の旅の目的地アスティ近くのワインを選ぶ。

前菜3皿、ポルチーニのリゾット、ピッツアを食べ、ワインを2本飲む。前菜もリゾットもピッツアもものすごい量で『ああ、イタリアにまた来たんだ!』と実感した。

Novara ハム・サラミ盛合せ

Novara フンギポルチーニのリゾット
「軽く」のつもりが2時間かけて「しっかり」飲んだので腹ごなしも兼ねて夜のノヴァーラを散策することにした。

◆見る
ピッツエリアを出てホテルとは反対側、つまりそのまま進むと比較的にぎやかな通り、カヴール通りにぶつかったので右折して進む。これがノヴァーラのメイン・ストリートのようだ。流石に土曜の夜だけあって小さい町ながらもそぞろ歩きの人たちは多い。途中の路地を左に入ったところサン・ガウデンツィオ教会のクーポラが路地に面した建物の屋根の向こうに顔を出している。

元のカヴール通りに戻りさらに行くと広場の銅像が見えたが、おそらくその先は駅だろうということで引き返してホテルに帰る。空気がひんやりとしていて肌寒い。

◆朝のノヴァーラ
ノヴァーラは旅行スケジュールでは単に泊まるだけ。アスティ経由でアルバまで行く。距離的には近いけど鉄道では本数が少なく、また結構時間がかかる。というわけで9時07分のFSに乗ることにしていた。
朝食後、1時間あまりの時間を利用して朝のノヴァーラを散歩する。晴れてはいるが気温が低く19度しかなく半袖では寒いくらいだ。まずはサン・ガウデンツィオ教会を目指すが(昨晩は裏から見ていた)、ホテルのロビーにあった簡単な地図を頼りに、「正面に行けるのでは?」とあたりをつけた通りはどうも違ったようだ。それならばと、何とかの館(地図を捨てたので名称不明)を経てレップブリカ広場に向かう。この広場の真ん中には銅像(ヴィットリオ・エマヌエーレ2世?)が立っている。その向こう側にはヴィスコンティ・スフォルツァ城と呼ばれるカステッロがあった。

Novara レップブリカ広場とカステッロ

 

広場の周囲にはどの町にもあるようにリストランテやバールがあり、『夕べここにくればもっと良かったかなぁ』と一瞬思う。広場のすぐ近くにドゥオモがあるのに気づいたが時間が早いため中に入ることはできない。

Novara ドゥオモ鐘楼
時間があまりなくなってきたのでサン・ガウデンツィオ教会に急いだが、遠くからはよく見えるものの近くに行くとわからなくなる。背後から回りこむようにしてようやくたどりついた。外壁の赤茶けたレンガの壁が古さを感じさせる。正面から写真を撮ろうとしたがクーポラが高すぎてなかなかうまくファインダーに収まらなかった。

Novara サン・ガウデンツィオ教会①

Novara サン・ガウデンツィオ教会③

ノヴァーラはピエモンテ州で2番目の都会のようだがこじんまりとして落ち着いた感じを受けた(といっても、日曜の朝だったからかもしれないが)。

◆食べる
お店の名前 Ristorante Pizzeria Albergo Centro, L.go Cavvalli 2 Ang.Corso, Cavalotti 9/D

Novara ピッツエリア チェントロ
食べたもの 生ハム(7ユーロ)、ハム・サラミの盛合せ(6.5ユーロ、これは前者とかぶってしまったオーダーミス)、夏の焼き野菜とモッツアレラ(サラダとして注文したもの、5.5ユーロ)、ポルチーニのリゾット(8ユーロ、少し塩気があるが美味い)、Centro風ピッツア(9.5ユーロ、ピッツアだけでメニュー2ページ、そのトップにあった自慢の品か?ムール貝、フンギ、イカなどがそれぞれ分かれてトッピングされていて真ん中に卵)。

Novara Centro風ピッツア
ワイン   Barbera D’Asti 2002(13ユーロ)
Dolcetto D’Alba, Le Terre 2004 (13ユーロ)
コペルト、水あわせて3人で70.5ユーロ

◆泊まる
ホテル Hotel Europa ★★★ Twin 100ユーロ、Single 80ユーロ
部屋に入ると2部屋ともエアコンが入らない。フロントに言いに行くと、元のスイッチを入れ忘れていたようだ。室内は少し狭い、Twinの方はバスのお湯が出ない。朝食はテーブル・セッテイング、食事の内容もまあまあ。
インターネット(Expedia)で予約。室内に貼ってあった料金とまったく同じ。他のホテル予約サイトでこの町のホテルがみつからなかったのでやむを得ない。

◆読む
本の名前 『麗しの郷ピエモンテ 北イタリア 未知なる王国へ』山岸みすず、井川直子著
昭文社 1890円
2005年7月発刊の数少ないピエモンテ紹介の本、プランニング初期の段階で図書館で発見、2回ほど借りてからAmazonにて購入。ピエモンテの詳しい地図や美味しいリストランテ、心地よいホテルなどが紹介されている。今回の旅では随分お世話になった。
ノヴァーラはこの本でミラノからアスティ、アルバへの途中にあることを知る。サン・ガウデンツィオ教会のクーポラの写真が印象的だ。

Brescia(ブレーシャ) 2009/9/19/~21

Brescia(ブレーシャ) 2009/9/19/~21

◆行く

2009年イタリア一人旅、最後の宿泊地はブレーシャ

この町はいつも通りすぎるばかりだった。最初はイタリア旅行初めてのとき、ベルガモからヴェローナに行くときに乗り換えた。あとはミラノ~ヴェネツィアなどヴェネト地方移動の際は何回も通りすぎている。

前泊地クレモナから乗った16時23分発の列車は単線なのか途中の駅でかなり停車していたが約1時間でブレーシャに到着。

意外に大きな町のようだ。駅からは、チェントロに入ってから歩道が土曜夕方のため混んでいてホテルまで20分かかってしまった。

◆夕暮れの町歩き

ホテルの部屋で一休み。時計塔に続くすぐ下の通りに面しているがすごく賑わっている。

19時すぎ例によって町歩きに出かける。出がけにレセプションでおすすめのリストランテを訊いてみたが、『今日は土曜だから今からだと予約はとれない。このあたりには沢山あるので自分の目で見て入って。』といわれる。

まず、さっきスーツケースを引っ張って通ったドゥオモ前の広場(パウルス6世広場)へ。

昨日のクレモナ、おとといのレッジョ・エミリアのようにいきなり目に飛び込んでくる方が良かったのだが。

ドゥオモの前は珍しく芝生だ。

目の前のカフェで一杯と思ったものの混んでいて座れそうもないので西の方へ通りを渡って行ってみた。今日も音楽が聞こえてくる。

行ってみるとちょっと面白い形をしたロッジアの前にステージがある。アコーディオン、打楽器、マンドリンの演奏だ。1曲聴いて戻りながら歩くとそこがホテル前の通りだった。
Brescia ロッジア
カフェに席があったのでプロセッコでアペリティーヴォ、小さなサンドイッチがついてくる。

ドゥオモの正面、右に旧ドゥオモのロトンダ、左にはブロレットという構成。見ているだけで美しく絵になる。夕暮れの風が気持ちいい。

 

◆自力で探したリストランテ

リストランテは自分で探すことになったが、旅行前にネットでチェック、HPで見ていた店がホテルの2,3軒先だというのがわかったのでそこに決めた。

20時半近くに行ってみるともうほとんど一杯だったが、外に面した向かって左の席に案内される。

前菜で注文したロンバルディアのサラミ・ミストは真ん中のペペローネが生肉に見えたが全部で4種類、我が家なら皆で食べる量だ。しかもいずれも目茶苦茶うまい!プリモのカプレーゼはブファーラ(モッツァレラ)がものすごい大きさだ。セコンドの牛肉のタリアーテは完食できなかった。
Brescia Locanda dei Guasconi ロンバルディアのサラミ盛合せ
21時すぎから21時45分頃まではどんどんお客が入ってきて中にはあきらめて帰る人もいた。この界隈にはリストランテが沢山あるのにこんな状況なのは相当な人気店なのだろう。

 

◆日曜朝は新旧ドゥオモ

9時半頃、まずドゥオモへ。このドゥオモは17世紀のものだ。

3廊式で、太い四角い柱が力強い印象を与える。柱の上部は内部を取り巻くように彫刻がほどこされている。

外から想像できるようにクーポラが高い。側廊、翼廊の礼拝堂も立派だ。掲げられている絵画も大きい。
Brescia ドゥオモ クーポラ
祭壇奥の後陣の絵は《聖母被昇天》だ。

10時近く、ミサが始まる頃なのか段々と人が増えてきたので外に出る。

 

広場に出てみるとゼッケンをつけた大勢のランナーがこの楕円形の広場を走っている。ブロレットの北から入り広場をぐるっと回ってドゥオモの北に出ていく。きっと市民大会なのだろう
Brescia ドゥオモ前広場のランニング大会②
それを見ながら南側にある円形のロトンダへ行く。このロマネスク様式のロトンダはドゥオモ・ヴェッキオとも呼ばれている。
Brescia ロトンダ
中に入ると当然のことだが丸い。アーチのある壁でまた丸く仕切られていて真ん中を取り巻くように回廊になっている。天井やアーチ状の壁の装飾がきれいだ。内陣にはここブレーシャの画家モレットの《聖母被昇天》がある。地下はcrept(地下納骨所)になっている。ここの白い太い柱は力強い。

ロトンダを出てからロッジア広場を散策。この町は珍しく市がないようだ。日曜だからなのか、それとも他の広場でやっているのか?

 

◆ローマ遺跡とサン・ゼノ・アル・フォノ教会

今度は反対側、東にあるローマ遺跡、カピトリーノ神殿へ向かう。11時ごろだが日差しが強い。

この神殿は1世紀にヴァスパシアヌス帝が建立したものだ。柱は6本残っていて、白と茶色だけど実際には白い石の表面に茶色い石を張り付けていたのがはげ落ちたようだ。
Brescia カピトリーノ神殿
奥には建物があり一部復元されているようだ。また出土品というか建物に付属していたと思われるものが展示されている。

神殿の東側にはローマ劇場がある。まさに、ローマ遺跡だ。
Brescia ローマ劇場
神殿の通りの向かい側にある教会から大勢のアフリカ系の一群が出てきた。おそらくミサを終えたところなのだろう。

中に入ると、小さいながらも外観からは想像もできないほど豪華な絵画が沢山あり驚くと同時に『さすがイタリアだなぁ!』と思う。
Brescia サン・ゼノ・アル・フォロ教会 内部

 

◆市立サンタ・ジュリア博物館

このあと、すぐ近くの市立サンタ・ジュリア博物館へ移動。

入口でもらったパヌフレットによると、博物館といいながら同じ建物の中にはサンタ・マリア・イン・ソラリオ礼拝堂サン・サルヴァトーレ教会がその中にあり相当な広さで見どころも多い。3千年の歴史をカバーしているとのことだ。

サンタ・マリア・イン・ソラリオ礼拝堂では小さな空間の壁一面にフレスコ画が描かれている。
Brescia サンタ・ジュリア博物館 SantaMaria in Solario礼拝堂②
部屋の中央には”Croce di Desiderio”という名の十字架がガラスケースに収められ展示されていた。
Brescia サンタ・ジュリア博物館 Croce di Desiderio
ローマ時代の展示では1世紀のブロンズ像《翼を持った勝利の女神》が素晴らしい。2千年前のものとは思えない写実性と迫力が印象的だ。そのほか8世紀の《孔雀》のレリーフ、9世紀の風見鶏もいい。
Brescia サンタ・ジュリア博物館 翼を持った勝利の女神②
ローマ時代の邸宅の遺跡部分もあって床などのモザイクがきれいだ。
Brescia サンタ・ジュリア博物館 邸宅の遺跡モザイク②

見学順路の最後はサン・サルヴァトーレ教会だ。ここはさっきの礼拝堂よりは大きくまさに教会なのだが、ここも美しく素晴らしい《キリストの生涯》のフレスコ画で埋めつくされている。

『こんな町(失礼!)にもこんな素晴らしいものが』と驚いた。そのうち、パドヴァの《スクロヴェーニ礼拝堂》のように予約制になるかもしれないなぁ?

出るとき係の人に”Grazie! Arrivederci”と言ったら”Bella?”と訊かれた。”Si! Molto!”と答える。

システィーナ礼拝堂に匹敵すると言ったら言いすぎだがとにかく素晴らしい。

3千年を約1時間で垣間見たことになる。

 

◆夕方はカステッロへ

遅いランチのあといったんホテルへ戻り一休み。9月中旬とはいえ夏時間とあって15時はまだまだ暑い。暑い時間帯は歩き回らず身体を休ませた方がいい。

16時すぎに夕方の観光・町歩きに出かける。まず向かったのはピナコテーカ(市立絵画館)
Brescia モレット像
ピノコテーカを向いた絵描き姿のモレットの銅像があるところだというのはわかったが、レンガ色の建物入口は閉まっている。どうやら修復工事で閉館のようだ。

 

次に向かったのは駅の近くのバス・ターミナル。「明日もしガルーダ湖のシルミオーネに行くならば」ということでバスの時刻を調べに行く。

帰りはレップブリカ広場からリベルタ通りを通ってチェントロを通りすぎ、今度はカピトリーノ神殿の北にあるカステッロへ向かった。

カステッロへは階段を使い車の道を横切る形で上がって行く。

カステッロ前の広場にはバールがある。それを横目にそのままカステッロへ。
Brescia カステッロへ
ところがどういうわけか上には行けずじまい。したかって眺望も今一つ。足が疲れた。バールで一休みしたいところだったがホテルに戻る。

 

レッジョ・エミリアからの一昨日、クレモナからの昨日そして今日と、イタリアの夏らしい朝夕涼しく昼は暑いといういい天気が続いて気持ちがいい。

 

◆9泊11日の旅の最後の夕食

19時半すぎ食事に出かける。「どこかで一杯」と思い早めに出たが、結局「食事のときに食前酒を飲めばいいや」と思い直し、さっきバス・ターミナルからの帰りに見つけたサン・フランチェスコ教会裏手のOsteria San Francescoへ行ってみる。

最終日前日とあって現金の持ち合わせが少なくなっていたのでお店入口で『クレジット・カードを使えますか?』と尋ねると『ふだんは使えるけど今日は機械の故障で使えない』との返事。

ちょっと明日の行動を考え残念ながらこのオステリアをあとにする。

 

結局ホテルすぐ近くのドゥオモ広場に面した店にした。これが大当たりだった。久々(といっても3日前のラ・スペツィア以来)の魚料理を堪能できた。

ドゥオモとブロレット前という絶好のロケーション、ドゥオモの前で食事をするのは8年前のタオルミナ以来だ。あのときは2階席からドゥオモをやや見下ろしていたのに対し、今日は外の席から見上げている。しかもドゥオモが大きい。一人の食事だが見ていると飽きることがない。
Brescia 夜のドゥオモ

一人旅の食事の欠点といえば「どう時間をすごすか」に加えて、ワインがどうしてもボトルで頼めない以上ハウスワインのカラフェになってしまうことが多いが、この店はグラスワインの種類がいくつかありしかもボトルを見せてテイスティングまでさせてくれたのも良かった。

9泊11日の旅の最後の夜にふさわしい優雅な食事となった。

 

◆明け方の雷

夜中、1時半頃雷で目がさめる。今回の旅は雷によく出くわす。

その後断続的に鳴り4時くらいまで続いただろうか。近くに落ちたような音もする。6時に目覚めたが寝不足だったためかそのまま眠り7時半起床。

朝食後荷物をまとめ『12時までに戻るから』と行って9時すぎに出かける。雷雨のあとのせいか肌寒い。

こんな天気なのでシルミオーネに行くのはやめた。

ヴェネツィア門近くの食料品店に行ってみる。ホテルにあったパンフレットでは9時開店のはずが9月から定休日が月曜に変わっていたらしくあきらめる。昨日たどりつかなかったカステッロの上まで登ろうかとも考えて北の方に向かったが、早めにミラノに戻る(時間があればピアチェンツァへ行く)ことにし、ホテルに戻りチェックアウト。

 

◆さんざんだったミラノ行き

ミラノに早く行こうと駅に着いてみると切符売り場には大勢並んでいておまけに自販機は目につくところ1台のみ。

ようやく自分の番がきて操作すると次のミラノ行きは12時39分発の ES(エウロ・スター)だ。2時間近く待つことになるがやむなし。ところが操作ミスをしたのかクレジット・カードを入れても発券されない。

しかたがないので切符売り場に並びなおし購入。遅れていたESに乗れたかもしれない。

 

12時39分発のESはミラノ着13時25分の予定なのでミラノからピアチェンツァ往復は無理だ。

2時間待ったあげくこの列車も15分遅れで到着。

しかも待っていた場所が真ん中の車両くらいと思っていたら何と1号車だ。乗るべき車両は10号車、ホームを後ろに走るが何せスーツケースは重いし、他人にぶつかっては大変。なんとか7号車に乗り込み通路移動するが、スーツケースを引っ張れないのでしんどい。途中2カ所で持ち上げるなどしてようやく指定席に座りミラノへ向かう。

 

◆泊る

ホテル Albergo Orologio(★★★), Via Beccaria,17, Brescia
Brescia Albergo Orologio
http://www.albergoorologio.it/

Single 78.5ユーロ、Hotel-Freak.comで予約。

ドゥオモ広場のすぐそば、ロッジア広場にも近い。

21号室だったが大きな窓で明るい、すぐ下は時計塔への通り。

 

◆食べる

  • リストランテ

お店の名前 Locanda dei Guasconi, Via Beccaria, 11/G, Brescia

http://www.locandadeiguasconi.it/

食べたもの 前菜はロンバルディアのサラミ・ミスト(9.5ユーロ)。

プリモはカプレーゼ (冷たい大麦のミネストローネを頼みたかったがなかったので。8.5ユーロ)、ブファーラがものすごい大きさ。
Brescia Locanda dei Guasconi カプレーゼ
セコンドは牛肉のタリアーテのスモークチーズ添え(14ユーロ)。

ワイン   Teve di Franciacorta 2005 Cudula、Colline della Stella, Andre Arici (ハーフ、8ユーロ)

コペルト、水、グラッパ(3.5ユーロ)で合計40ユーロ

 

お店の名前 Pizzeria DonRodriguez, Via F.Cavalloti, 6, Brescia

食べたもの(ランチ) 前菜は生ハム・サラミの盛合せ(7.5ユーロ)、ピッツァはロマーナ(5.5ユーロ)、トマト、アンチョビ、オレガノ、ケッパーなど。大きくて食べるのに一苦労。
Brescia Don Rodriguez ピッツア・ロマーナ
コペルト、水、ワインで合計20.5ユーロ

 

お店の名前 Ristorante I Macc de le Ure, Piazza paolo vi, 6, Brescia

http://www.imaccdeleure.it/

食べたもの 魚料理のコース(ワイン込み48ユーロ)があったのでそれを注文しようとしたら『海の幸リゾットを含むので2人前から』ということで断念。アラカルトで魚料理を選ぶ。

プリモにマグロのカルパッチョ(14ユーロ)があったのでそれを頼み前菜を飛ばす。マグロを1cm角にしたものにオレガノなどハーブを混ぜたものを丸い型に入れお皿に盛りつけたもの。オリーブオイルがたっぷりかかっている。つけ合わせにトマト。
Brescia Volto マグロのカルパッチョ
セコンドは川カマスのグリーン・ソース(16ユーロ)。川カマスを煮たものにオリーブ、プティトマトなどがかかっていて黒いリゾットが添えられている。

ドルチェはティラミス(6ユーロ)

ワイン   Prosecco Volto 10、

Cannonau di Sardgna Riserva 2005 Sella Mosca (いずれもグラス、各4ユーロ)

グラスにもかかわらずテイスティングできるし銘柄まで教えてくれた。

コペルト、水、カフェで合計50ユーロ

 

Cremona (クレモナ) 2009/9/18~19

Cremona (クレモナ)  2009/9/18~19

◆行く

2009年イタリア一人旅、最初の計画ではクレモナに泊る予定はなかった。

最後の宿泊地はブレーシアに決めていて、前泊のレッジョ・エミリアから移動してピアチェンツァに泊る予定だった。

ところが、適当なホテルがみつからずピアチェンツァ宿泊をあきらめヴァイオリンの町クレモナに泊ることにした。時間があればクレモナから日帰りでピアチェンツァ観光をしてもいいと思った。

これが大げさにいえば《運命の出会い》につながることになった。

◆フィデンツァでの乗換え

レッジョ・エミリアを10分遅れで発車した列車は、遅れを取り戻せずに乗換えのフィデンツァに到着。クレモナに向かう列車は入れ替わるように出て行ってしまう。

次の列車は17時38分発、小一時間待つ。バールにでも行きたいところだがスーツケースが重いので動きたくない。結局ホームで時間をつぶす。

17時10分頃入線してきた列車が折り返すようだ。外で待っていても暑いので車内へ。

『早く動き出して!』。定刻通り発車、18時13分到着。

 

ローマ広場(とは知らなかったが)までは合っていたがその先でわからなくなり、少し戻ってホテルへの小径(vicolo)発見、結局20分かかってホテルに着いた。

 

◆夕暮れのカテドラーレ

19時すぎホテルすぐ近くのカテドラーレに行く。

コムーネ広場につながる小径に入ると正面に見えるトラッツォ(鐘楼)が素晴らしい。

 

Cremona 夕暮れのトラッツァ①

 

そう思ってさらに前に進むと、その右にあるカテドラーレが視界に入ってきてその美しさに思わず息を飲む。

Cremona カテドラーレとトラッツォ

イタリアは何てすごいんだろう。

 

正面のカフェでビールを飲みながらカテドラーレの姿を見つめる。

夕方に着いて薄暮から暗くなりライトアップされているところがいい。

 

ファサードはいわば7階建ての感じだ。全体的にピンク、クリーム色っぽい大理石。1階はポルティコのようにも見える。3、4階部分は左右各9本の列柱で正面扉の上(壁龕)には3本の列柱、真ん中には聖母子像、左右は聖人像か。その上には大きなバラ窓、さらにその上の7階部分にも5本の列柱の間に聖人像が4体。

Cremona カテドラーレのファサード

 

すごい! ロマネスク・ロンバルディア様式の傑作だそうだ。

左にはトラッツォ(鐘楼)、右には洗礼堂だ。

 

ビール小は4ユーロ、つまみはついてこなかったが席料だと思えば安いものだ。

コムーネ広場に面したこのカフェの建物もものすごく古くてフレスコ画もある。この建物が歴史あるコムーネ宮だということを翌日知った。

Cremona コムーネ広場のカフェのフレスコ画

 

 

◆《運命の出会い》のトラットリア

さて、夕食。ホテルのご主人に教えてもらった店はちょっと遠かったが行ってみた。

地元の人が通う店のようで混んでいて断られる。

『しようがない、あとは勘で探すしかないなぁ。』と来た道を戻り、途中ローマ広場近くの角に《トラットリア》の看板が出ていたので左折し暗い道を歩いてその店に行った。

Cremona Trattoria Il Bissone 看板

 

 

落ち着いた感じの店だ。入ってすぐ左にはカウンターがありうしろにはずらっと飲み物の瓶がならんでいる。部屋の中央にはドルチェなどの置かれたテーブルがあり、その周りを取り囲むように客席がありほとんど空いていたが、奥の部屋に案内された。

 

こちらもゆったりとしたテーブルの配置だ。一番奥には暖炉がある。Trattoriaと名乗っているがRistoranteの雰囲気だ。

 

メニューを見てすぐわかったが、この店はグラスで頼めるワインの種類が多い。ハウスワインもその中で1.5ユーロのものと同じだということがわかる。一人で飲みながら食事をするには、あるいはいろいろなワインの味を楽しむには絶好の店だ。

Cremona Trattoria Il Bissone メニュー

 

この部屋もすいている。3組の客しかいない。

たまたま、通路をはさんだ向かい側のテーブルにいて目があったのが日本人の若い女性二人組。

最初にちょっと挨拶。『久しぶりに日本の方にお会いしました』。一人旅だったのでミラノに着いてから7日目にして初めて日本語をしゃべった。

『OLの先輩、後輩の旅かなぁ?』と想像していたが、二人はペルージャで勉強中の留学生だった。真向かいの女性はヴァイオリニスト、もう一人はペルージャ外国人大学で語学留学中とのこと。

ペルージャには9年前に2泊したことがあり外国人大学の場所も知っていたので話がはずむ。

イタリア語も話題になり、『私のような年代の人も留学していますか?』と訊いたところ『日本の方はわからないけど欧米の方は見かけますよ』といわれた。

明日はヴァイオリン職人さんに会いにPiadinaに寄ってからMantovaへ行くという。

彼女たちの帰り際、日本での再会を約束し別れた。

 

食後のカフェを飲み終え、遅れてトラットリアをあとにする。

ホテルに近づくと大きな音楽が聞こえてきた。行ってみるとコムーネ広場、カテドラーレ前のステージだ。2曲ほど聴いてホテルに戻った。

Cremona コムーネ広場での演奏

 

 

◆翌朝ホテルで

朝食後コムーネ広場へ。夕暮れ時の静寂な広場は、花卉類が中心の市(メルカート)の準備中だった。

ホテルに戻りレセプション前の椅子に座って新聞の天気予報を見ていたら、昨夜の二人とばったり。

『ホテルも同じだったんですね』とお互いびっくりした。半日ほど早くクレモナ入りしている二人はもう出かけるところ。少し話をして送り出した。

 

《運命の出会い》というのは、ここで二人と知り合ったことで2010年夏にペルージャへ留学することになったからだ。

帰国後再会し、ペルージャ語学留学を勧められ、準備段階でもいろいろ教えてもらう。また、ペルージャ滞在の2ヵ月間も現地で何かとお世話になった。

 

◆カテドラーレと洗礼堂

9時半、クレモナ観光スタート。まず、カテドラーレへ。

どっしりとした太い濃いグレーの柱が印象的だ。縦に金色の線がある。

身廊柱の上はキリストやマリアの一連のフレスコ画、後陣も同様だ。主祭壇は上から、《受胎告知》、《天上のキリスト》、《聖母被昇天》。入口の上は《十字架のキリスト》、右下は《降架》。側廊にもいろいろな絵や彫刻がある。

ファサードも美しいが中も素晴らしい。

 

カテドラーレ右の聖ヨハネ洗礼堂、まわりも裏も市の店だらけだ。こちらは食べ物中心で、中には魚などのフリットの店もある。フリットは100g1.9ユーロ、買って昼食にでも食べたいくらいだ。

 

さて、中に入ると外の喧騒さがうそのように静かだ。天井がものすごく高い。真ん中にはヴァルポリチェッラ産だという赤い大理石の洗礼盤、正面祭壇にはは《キリスト磔刑》の木彫、左には《嘆きのマリア》、右には毛梳き道具を手にした《サン・ビアッジョ》がまつられている。

Cremona 洗礼堂 毛梳き道具を手にしたサン・ビアッジョ

 

《サン・ビアッジョ》は梳毛職人達にとっての守護聖人でこの祭壇は16世紀に梳毛職人の信者会によって寄進されたものだそうだ。

 

◆トラッツォに上る

カテドラーレの左側に優美な姿を見せるトラッツォは、高さ111mの鐘楼で町のシンボルだそうだ。

今まで訪れた町で高いところがあれば必ず上っているがこのトラッツォにも挑戦(入場料5ユーロ)。

 

最初は直線の階段、そのうち左回りのらせん階段を上る。

Cremona トラッツォ 階段

 

そこを上り切ったところで終わりかと思い屋上に出て一周しながら写真を撮る。そのあとで中に戻ると、まっすぐ上がるだけの宙に浮いた感じの階段があることに気がついた。結構こわい。高所恐怖症の人は絶対にダメだろう。

Cremona トラッツォ らせん階段

Cremona トラッツォの鐘

一番上に出るとさっきとは眼下の景色が違う。上から見るとクレモナには教会の多いことがよくわかった。あとで、地図を見ると市内には少なくとも22の教会がある。

Cremona トラッツォの上から見たカテドラーレ  Cremona トラッツォの上から②

 

◆昨夜のトラットリアへ再び

ちょっと迷ったがランチは昨夜のトラットリアでとることにした。短い日程の旅行では『いい』と思った店には経験上再訪するのもありだ。

行ってみると閉まっている。少し時間が早いかもしれないので近くをブラブラしてまた行ってみる。3度目にちょうどカメリエーレのお兄さんが自転車で出勤したところに出くわすと、『どうぞ、どうぞ』と入れてくれた。

本日の前菜、ポルチーニのニョッキ、桃のタルト(まるまる1個)、ワイン、カフェで計25.8ユーロ。

 

Cremona Torattoria Il Bissone 桃のタルト

2日連続のためか、その日のせいか理由はよくわからないが、マダムがおみやげとしてトローネをテーブルまで持ってきてくれた。

 

◆市立博物館とストラディヴァリアーノ博物館

ランチのあとおよそ15時半までの観光。市立博物館ストラディヴァリアーノ博物館に向かう。入口に「土曜は14時まで」の表示があった。ちょうど14時なので訊ねると博物館の入口はもっと中だとのこと。

切符売り場でどんな種類の入場券があるか確かめてみるとコムーネ宮を含む共通券を説明してくれたが、残り時間では厳しそうなのでとりあえずここだけにした(入場料7ユーロ)。

 

入ってすぐのところにヴァイオリンが6本展示されている。10年ほど前に教育TVのイタリア語講座のストーリーで出てきたところによく似ている。

Cremona 市立博物館 展示①

『このヴァイオリンはきっと素晴らしくまた高価なものなのだろうなぁ』と思う。

 

その奥には1400年代の絵画やキリスト教関係のもの、ずっと後の方には1800年代、1900年代のもの、九谷、伊万里など日本の陶磁器が展示されている。

市立博物館とあって町の歴史が写真代わりの当時の絵も含め展示されている。

 

一番奥がストラディヴァリアーノ博物館だ。右側にヴァイオリンを作る工程の展示があり、入ってすぐのところでは実際の作業をビデオの映像で見ることができる。

Cremona ストラディヴァリアーノ博物館 制作工程左の部屋にはヴァイオリンはじめ弦楽器が展示されている。

 

出口まではもと来た順路を戻って外に出た。中庭にはストラディヴァリの胸像があった。

Cremona ストラディヴァリ胸像

 

 

◆ブレーシャへ

これを最後にコムーネ広場に戻り市の終わった昼間のカテドラーレを見に行ってから、ホテルでスーツケースを受け取り駅に向かう。

 

16時23分発の列車は20分ほど前に入線、蒸し風呂のような車内に乗り込む。1時間後の列車でも良かったが早めにブレーシャに着き一休みするためにこの列車にした。

定刻に発車、最終目的地のブレーシャに向かう。

 

 

◆泊る

ホテル Astoria Hotel(★★★), Via Bordigallo,19 angolo Via Solferino, Cremona

www.astoriahotel-cremona.it

Single 60ユーロ、Booking.comで予約。

昨日までの4つ星とは比べるべくもない。エレベーターは手動でドア開閉、ちょっと怖い。348号室だったが窓枠がはずれそう、ただバスルームだけはバス付で広い。

コムーネ広場に近く、ロケーションで選んだ価値はあった。

 

 

◆食べる

  • リストランテ

お店の名前 Trattoria il Bissone, Via Pecorari, 3, Cremona

www.bissone.it

食べたもの 前菜はパルマ産のクラッチャ(culaccia di Parma 11ユーロ)、

Cremona Trattoria Il Bissone パルマ産クラッチャ

プリモは生のフンギ・ポルチーニの生タリアテッレ(Tagliatelle Fresco ai funghi porcini 9ユーロ)、

Cremona Trattoria Il Bassone フンギ・ポルチーニのタリアテッレ

 

セコンドは子牛の薄切り肉ツナソースかけ(vitello tonnato 9.5ユーロ)。

Cremona Trattoria Il Bissone 子牛の薄切り肉ツナーソース

ワイン

Prosecco Valdobbiadente Jeio Colmai Extra Dry(3.5ユーロ)

Barbera d.o.c. Lorenzo Zanetta, Piemonte (250ml, 2.5ユーロ)

Nobbiolo Colline Novaresi d.o.c.Pratogrande,Pratogrande 05, Lorenzo Zanetta, Piemonte (2.5ユーロ)

コペルト、水、カフェで合計42ユーロ

 

食べたもの(ランチ) 前菜は本日の前菜、ズッキーニ、バジリコ、チーズのタルトでふわふわした食感(4ユーロ)。プリモはポルチーニのニョッキ(10ユーロ、ニョッキはかぼちゃで作られ長さ5cm x幅1.5cm)。ドルチェは桃の上にチョコレートやクッキーの乗ったタルト(5ユーロ、桃まるまる1個)、桃の自然の甘さで無茶苦茶甘く大きさも半端でないが完食する。

ワイン   Ortugo colti piacentini d.o.c., Vitivincola Luenti, Emiglia(250ml, 2.5ユーロ)、エミリア・ロマーニャ州の発泡性(Frizzante)白ワイン。

 

 

◆買う

お店の名前 Negozio Sperlari, Via Solferino,25 Cremona

買ったもの ボローニャのチョコレート Majani、家族や職場のお土産用として結構沢山買う。

Reggio Emilia (レッジョ・エミリア) 2009/9/17~18

Reggio Emilia (レッジョ・エミリア) 2009/9/17~18

◆行く

2009年イタリア一人旅、目的の一つだったチンクエテッレ訪問の次はロンバルディア州で今まで行ったことのない町をいくつか行くことにして、イタリア国旗発祥の町で、またパルミジャーノ・レッジャーノの町であるレッジョ・エミリアが次の目的地だ。

チンクエテッレ観光の拠点にしたラ・スペツィアを午前中に発つ計画だったが、雨にたたられチンクエテッレを結局2回行くことになったので予定より半日遅れて16時20分発のパルマ行きの列車に乗る。

5分遅れで発車したが1時間ちょっと走ったところで急停車。その分だけまた遅れる。パルマでの乗換えをあきらめた。18時20分頃パルマ着。レッジョ行きのホームがわからない。とりあえず地下道へ下り、そこで時刻表で確認すると4番ホーム18時29分発、ぎりぎりセーフだ。

さっきまでは山の中を走っていたが今度は田園だ。18時45分到着、50分に駅を出てトリコロール広場を目指して歩くものの大きなロータリーがそれとは知らず全く方角がわからなくなってしまった。

◆ホテルまで苦労したが・・・

ちょうど自転車に乗った高校生に訊ねる。渡り切ったロータリーのやや斜め後方に見えるクーポラを指し『あれはドゥオモですか?』、『いや、あれはサン・ピエトロ』。

ドゥオモのすぐ近くのホテルを予約していたので『ドゥオモの方へ行きたいんですが』、『この広場を渡って左の方向ですよ』と教えてくれた。

広場の信号を渡る必要はなかったのだ。スーツケースが重い。

大きなエミリア・サン・ピエトロ通りをどんどん歩く。結構遠い。

ReggioEmilia エミリア街道

 

ぶつかったところで左折するとそこがドゥオモ前の広場(プランポリーニ広場)。ホテルはそこからすぐだった。19時15分チェックイン。

このホテルは昔の公証人役場を改装したものでレッジョ・エミリアに本社を置くあのMax&Maraが経営しているだけあってなかなかスタイリッシュでいい。101号室の室内もいい感じだ。バス、トイレも機能的だ。

ReggioEmilia AlbergoNotarie

 

◆トワイライトのプランポリーニ広場

シャワーを浴び着替えて散策に出かける。

ドゥオモ前のプランポリーニ広場はひっそりと静まりかえっている。トワイライトの広場は幻想的。チンクエテッレの天候に左右され予定よりも半日遅れで行動した結果、こういう雰囲気を味わえることになった。いつもは昼ごろ次の町に着いているが、夕方着くのもいいものだと思った。

 

ReggioEmilia 夜のプランポリーニ広場 ボケ

近くの通り(ファルニ通り)のカフェでプロセッコを飲みたかったが、オーナーが出てきてもう閉めるとのこと。随分夜の早い町だなと思う。

◆トラブルで記憶に残るホテル・リストランテでの夕食

ホテル内のリストランテはミシュラン3本フォークなので最初からここで夕食をとることに決め、散策前に予約しておいた。

20時半に行くと、予約のときに話をしたアンナが席に案内してくれる。ほとんど客がいなかったがそのうち大グループ(年代バラバラで14名)が隣に縦長の席につき、さらに入口近くに熟年カップルが座る。

さて、注文だが部屋においてあったメニューの中に地元料理(コースで35ユーロ)があったのでそれを頼んだつもりで渡されたメニューの中から前菜、プリモ、セコンドを選んだ。飲み物はカフェで飲み損ねたプロセッコをグラスで、そしてワインは赤のハーフボトル数種類の中から地元の微発泡のものを選ぶ。

レッジョ・エミリアはモデナと並ぶバルサミコ酢の町。

ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ 苺にバルサミコ

 

料理にもかなり使われているがアンナがお皿を運んでくれるが、そのうちバルサミコ酢の話になった。ここの料理に使われているのは15年ものだといって箱に入って現物を見せてくれた。さらに、25年もの、40年物もテーブルに置かれる。

ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ バルサミコ勢ぞろい

 

値段は順に50ユーロ、75ユーロ、100ユーロだという。ヤバい!!売りつけられるのか?

マネージャー(カメリエーレ?)が席にやってきた説明にくる。

『お客さん!これはメーカーとの契約で市内ではウチでしか売っていない。町の店には置いていないんだから。』

これを大きな身振りで、両手を振りあげて説明しているうちに彼の手が気づいた時には目の前の残り1杯のワイングラスを飛ばし、こっちの白いポロシャツとベージュのコットンパンツがワインレッドに染まった。

『申し訳ない。いつまでホテルにいるんですか?クリーニングしてお返しします』ということで部屋に戻り次第汚れものを渡し、明日の昼までにクリ-ニングしてくれることになった。

さて、バルサミコ酢。

もともと、本場のこの町ではパルミジャーノ・レッジャーノとバルサミコ酢を買うつもりだったので『それじゃあ、15年もの4本』と注文するといったん彼は引き下がり、戻って来て『在庫をみたら15年ものは1本しかない。40年物を90ユーロにするがどうか?』と。

しばらく考え、15年物1本、25年物2本、40年物1本を注文、代金はチェックアウト時に部屋代とまとめて精算することになった。バルサミコ酢の歴史、作り方、使い方(料理)など書かれた小冊子がつき立派な箱に入っている。ボトルが割れなくていいがものすごく荷物になりそうだ。

食事の締めはドルチェとカフェ。自分としては定食だと思っていて苺とカフェを頼む。2等分された旬の苺はお皿一面に並べられ、その上に15年物のバルサミコ酢がたっぷりかかっている。あとでこの2つはお詫びの印かサービスだと知った。

23時、部屋に戻り内線140に電話し汚れものを彼に取りにきてもらう。

ハプニングといえばハプニングだが大変な思い出に残るトラブルの夕食だった。そのときはさらにトラブルが待ち構えているとは夢にも思わない。

◆朝のプランポリーニ広場は真逆

一夜明け、朝食前にホテルから外に出るとプランポリーニ広場に市が立っている。昨夜の黄昏時に感じた静寂でガラーンとしていた広場は店、店、店でいっぱい。まるで正反対な感じ。先に夕べの広場を見ておいてよかった。

ReggioEmilia プランポリーニ広場から見るモンテ宮

ReggioEmilia プランポリーニ広場の市①

◆三色旗博物館

広場を取り巻く建物群、南側には市庁舎がある。その建物の中に三色旗博物館があるというので、ここから観光スタートだ。

 

ReggioEmilia 市庁舎(三色旗博物館)

ReggioEmilia 市庁舎(三色旗博物館)

市庁舎に入り、まず「三色の間」(Sala del Tricolore)の中に入る。18世紀末にレッジョ・エミリアなど4都市の代表者がこの部屋でチスパダーナ共和国建国を宣言したという。今でもそのまま使えるような会議場だ。そのときに制定された国旗が三色旗でこれが今のイタリア国旗の原型になっているそうだ。会議場の奥には三色のバナーが2本掲げられている。

ReggioEmilia 三色の間②

ReggioEmilia 最初の三色旗①

このあと目についたドアを押すとそこは市役所。女性数人から『博物館はあっち』と声をかけられ、その方向へ行ってみると老婦人が係りの人で『入場料はいらないが名前を書いて欲しい。人数カウントのためチケットを受け取って下さい。』と。

展示内容はイタリア建国の歴史を知らないとなかなかわかりにくいがナポレオンとの戦いに敗れたがその時に三色旗が使われたことやガリバルディ、エマニュエルⅡ世のリソルジメントの展示もある。

ボローニャのカフェ・ペドロッキといい、イタリアは国の歴史を大事にしているなぁと感じた。

◆ショッピングしながら国際交流

今回のレッジョ・エミリアの旅には随分古いがFigaro1998年7月5日号のコピーを持参、ここに出ているサルメリアで本場のパルミジャーノ・レッジャーノを買うつもりで番地を頼りにプランポリーニ広場の南側、市庁舎の並びを中心にあたりを探し回る。

なかなか見つからずあきらめたときに見つけた。えてしてこういうものだ。

ReggioEmilia 洋品店 Mazzilli

 

買うと重いので場所を覚えておき、昨夜みつけておいたリネンの店に留守を預かる女性陣向けのおみやげを買いに行く。ウィンドウに出ていたエプロンや鍋つかみがメイド・イン・イタリーであることを確かめて買う。

ご主人ほか家族、店員の皆さんと選びながら談笑、イタリア語をほめられる。お世辞でもうれしいものだ。

ポケットに入れていた雑誌コピーを見せるとご主人から『ぜひコピーさせて欲しい』といわれる。地元の人にとって(日本語の文章はわからなくても)自分の町が外国の雑誌で紹介されているのはものすごくうれしいみたいだ。

◆ドゥオモ

プランポリーニ広場に戻りドゥオモを見学。エプロンなどは大した荷物ではないのでチーズを買う前に行ってみた。

ReggioEmilia ドゥオモ 聖母子像

ReggioEmilia ドゥオモ鐘楼に翻る三色旗

ちょうどミサの最中だった。それとは別に各礼拝堂で祈っている人もいる。

主祭壇奥の後陣には《聖母被昇天》が描かれている。

ReggioEmilia ドゥオモ内部

 

◆例のバルサミコ発見、しかも安い!

次はさっき見つけた店でパルミジャーノ・レッジャーノだ。

我が家用とおみやげ用にあわせて2つの塊りを買う。1kg11.9ユーロと日本で買うことを考えると破格の値段だ。

ReggioEmilia チーズとサラミの店

 

サルメリアだけあってほかにも美味しそうで買いたい生ハムやらサラミやらいろいろあるがここは我慢我慢。

同じ通りの食料品店をのぞき店を出るときに、昨夜ホテルのリストランテで買ったバルサミコ酢と同じものが置いてあるのに気づく。確か『市内の店では買えない』と言っていたはず、しかも値段をみるとこっちの方が安い!

すぐホテルにとって返しリストランテへ直行。件のマネージャーがいたのでそのことを告げるが最初は取り合ってくれない。英語でやりあい、ハード・ネゴだったが結局4本分の差額(30ユーロ)をその場で現金で返してもらった。昨夜の食事代は部屋払いでサインしていてそれを変更できないかららしい。

びっくりしたのはこれで終わらず、こっちが渡した食料品店の名前と各々の値段を書いた紙に示談書の文言《差額を現金で受け取り、以後異議を申し立てません》みたいなことを英語で書き込み、サインをしろと言われた。一応内容を確認し、サインをし、握手をして別れる。コピーをもらっておけば良かったか?

◆最後の観光は空振り

お昼を食べるところを探しながらぶらぶらし、結局昨晩一杯飲もうとして『閉めるから』と断られたカフェでランチにする。

ガリバルディ通りに面したギアラ教会エミリア街道サン・ピエトロ通りを歩いてサン・ピエトロ教会に行ってみるがいずれも昼の時間帯とあって開いていない。通りも閑散としていてまさに平日の昼下がりといった感じだ。

ReggioEmilia ギアラ教会

ReggioEmilia サン・ピエトロ教会

途中、市立劇場裏手の公園に寄ってみると、ベンチには結構座っている人がいる。

ReggioEmilia 市立劇場

ReggioEmilia 市立劇場

15時をまわったのでギアラ教会にもう一度行ってみるがやはり閉まっているのであきらめ、ホテルへ戻ってクリーニングされた衣類とスーツケースを受け取り駅に向かう。

箱入りのバルサミコが4本増えたので荷物が重い。

途中のサン・ピエトロ教会が開いているのはわかったが荷物があったのでパスした。

◆クレモナへ向かう

16時10分発のFidenza行きの列車は10分遅れ、しかも混んでいて車両を動く。次の目的地クレモナへ向かった。

◆泊る

ホテル Albergo delle Notarie(★★★★), via Palazzolo,8  Reggio Emilia

Twin single use 1泊 82ユーロ。Venere.comで予約。

ReggioEmilia AlbergoNotarie レセプション

 

◆食べる
リストランテ お店の名前 Ristorante delle Notarie, (上記ホテル内)

ミシュランのこの町で一番の評価(3本フォーク。

食べたもの アンティパストはクラテッロ、プロシュートとパルミジャーノ(10ユーロ)。プリモは野菜のトルテッリ(9ユーロ)、セコンドにルッコラの上に牛肉のタリアテッレ、バルサミコ酢たっぷり(18ユーロ)、200~300gくらいあるが完食。

ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ クラテッロ、生ハム、パルミジャーノ

ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ 牛肉にバルサミコプロセッコ2杯。赤ワインのハーフボトル(8ユーロ)。水、サービス料で計52.25ユーロ。

ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ スプマンテ ReggioEmilia AlbergoNotarieリストランテ ワイン

ドルチェ、カフェはワインをこぼされたお詫びとしてリストランテからのサービス。

お店の名前 Caffe Farini, via Ferini,1/E Reggio Emilia

食べたもの プロシュートとメロン、スパゲッティ(トマト、バジリコ、モッツアレラ)、赤ワイン500cc、カフェ、コペルトで計18.5ユーロ

Cinque Terre & La Spezia (チンクエテッレとラ・スペツィア) 2009/9/15~17

Cinque Terre & La Spezia  (チンクエテッレとラ・スペツィア)
2009/9/15~17

◆行く

わずか9kmの範囲の海岸線にへばりつくように5つの町がありその景観で《ポルトヴェーネレ、チンクエテッレと小島群》として世界文化遺産に登録されている。今までなかなか機会がなかったが’09年の旅ではここを訪れることを目的の大きな一つとした。

いつもイタリアの旅情報を交換している会社の後輩にメールでいろいろ教えてもらい『モンテロッソあたりで1泊した方がいいですよ』とすすめられたものの適当な宿が見つからなかったことと『あまりにも小さな町なので景観以外の見どころが少ないかなぁ』と思いラ・スペツィアに2泊し、そこをベースにチンクエテッレを楽しむことにした。

◆ラ・スペツィアへ向かう

パヴィア修道院観光後、パヴィアに戻り12時35分発の直通列車に乗る。ジェノヴァからリグーリア海を南下することになるがジェノヴァまでは’02年、’04年と2回通ったことがあるので懐かしい。

13時40分ジェノヴァ・プリンチペ駅通過。曇っているが天気はこっちの方がよさそうだ。

14時08分頃、海が見える。サンタ・マルゲリータをすぎたあたりから薄日がさしてきた。定刻より5分遅れ15時23分ラ・スペツィア到着。

駅と港の中間あたりの予約していたホテルを目指し歩き始めたが、なかなか思った通りに出ないままホテルの裏に出たようだ。標識を見つけ表玄関までスーツケースを持ち上げホテル建物南側の階段を上がる。レセプションは6階だ。

◆さっそくラ・スペツィア街歩き

部屋は3階210号室、窓のカーテンをあけるとさっきの階段が目の前だ。荷物を片づけたりして16時半頃街歩きに出かける。

中世の雰囲気ただようパヴィアから来たため全く違う印象だ。どちらかといえばやはり港町のバーリ、アンコーナ、トリエステに近いか。

例によってネットで検索したリストランテ、本に出ていたトラットリアをプリントアウトした地図をもとに出かける。すぐに大きな教会の前に出た。サンタ・マリア・アッスンタ教会だ。白っぽい横じまのファサード。中に入るのはあとで、ということでさらに海岸の方に行く。リストランテ探しばかりではしょうがないのでフェリー乗り場を確認しに行った。大きなフェリーが停まっているところだ。

すぐ近くでは屋台の本屋が新本バーゲンの店を出していた。

戻ってすぐのところにある公園の中にインフォメーションがあったので地図をもらう。ホテルでもらった地図よりもずっとわかりやすい。

LaSpezia ガリバルディ公園

 

なかなかわからなかったリストランテだったが帰りに2軒見つけたものの目当ての”All’ Inferno”は見つからない。魚市場近くと書いてあったのでまわり一帯を歩きまわるがわからず。でもこれで結構街に詳しくなった。

さっきスーツケースをうるさく引っ張ってきたプリオーネ通りを身軽に歩く。イタリア特有の夕方のパッセジャータですごい人出だ。

帰りにカフェに寄る。他の町のような広場のカフェがわからないので通りに出ているところだ。生ビール中1杯を注文。お釣りとともにポテトチップとオリーブが運ばれる。これで3.5ユーロとは安い。カメリエーレのおじさんに”All’ Inferno”の場所を訊くと持っていた地図の上に印をつけてくれた。さっそくそのあたりに行ってみるがやっぱり見つからない。

◆ついに見つけた” Osteria All’ Inferno”

ホテルに戻り一休みして20時ちょっと前に出かけてまた探し、なかったのでネットでチェックし見つけていたトラットリアに行ってみた。外から覗くとまだ誰も客がいないのでいったんホテルに引き揚げた。30分ほどしてから再度出かけさっきの店に行く途中おじさんがつけてくれた地図の印の場所とはちょっと違っているところに”Osteria・・・・”の看板発見。行ってみると探し求めていた”All’ Inferno”だったので地下への階段をためらいなく下りる。

階段を下りると左に受付兼レジがあり、大勢の客がいる奥の大きな部屋に入ってすぐ右のテーブルに案内される。店内がよく見渡せる。本に出ていたように地元の人たちで活気があふれているのが良くわかった。

最初に訊かれたのは飲み物、あとで水を頼む。メニューはなさそうで、プリモを口頭で告げられる。海の幸のスパゲッティ、スカンピのペンネ、ペンネアラビアータなど。最初のものにした。

トマトソースでスカンピ、ムール貝、エビはいずれも小さいながらたっぷり。出汁が出ていて美味い。前菜をとばしていきなりプリモにしたのでこれで終わってもいいかと思うくらいだ。

LaSpezia All' Inferno 海の幸スパゲッティ

 

まわりを見るとムール貝が多くのテーブルに運ばれていて美味しそうなので欲しかったがいかんせんお腹の調子が今一なので我慢。そのうち最初のお兄さんが現れ、セコンドの説明をしてくれる。いろいろあったが(多分ムール貝Zuppa di musselも)魚のカルパッチョにした。

ちょっと塩がきいているが段々感じなくなる。去年トリエステで食べたのと同様軽くスモークしてある。

ここで次のワインについて訊かれたのでグラスで頼む。白を頼んだつもりだったが赤が出てきた。もともと赤の方が好きなので『まぁいいか』。食後はカフェで締める。

地元の人たちが集まる居酒屋みたいな店で大いに満足。22時近くホテルに帰る。

◆2日目は雨

今回の旅の5日目の朝、例年ならば折り返しの日だが今年は10泊11日のためまだまだたっぷりある。

6階の食堂に行く途中雨なのを知る。『うーん。また、今日も雨かぁ・・・』。

ちょうどこの日、日本では鳩山内閣が誕生したようでTVをつけるとCNN、BBCとも好意的に伝えている。

8時40分にチンクエテッレ巡りのフェリー乗り場に向かう。波が高いため今日は欠航だとのこと。

LaSpezia フェリー乗り場

 

LaSpezia 欠航したフェリー

せっかく海からの眺望を楽しみに来たのにショックだ。『しようがない、列車で行くしかないか』、意外に蒸し暑いので着替えのためいったんホテルに戻る。

行きがけにホテルそばのサン・ジョルジョ城の入口まで行ってみる。そこからの港方面の景色がいい。

LaSpezia サン・ジョルジョ城 バナー

 

 

LaSpezia サン・ジョルジョ城からの眺望

駅までの途中、魚市場にも寄ってみた。

 

 

LaSpezia メルカートの魚屋②

LaSpezia メルカート

市場は魚だけではなく野菜、果物、チーズ、ハムなどの店がいっぱい。屋根付きでかなりの規模だ。

駅の中のインフォメーションみたいところでチンクエテッレ1日券を買う(レヴァント/ラ・スペツィア間の乗降自由、8.5ユーロ)。

LaSpezia 駅のチンクエテッレ・インフォメーション

 

 

市場でぶらぶらしすぎたせいか次の列車は11時10分といわれびっくり、前の列車はちょっと前に出たばかりだ。駅のホームで時間をつぶす。

◆チンクエテッレ列車の旅

わずか8分でリオ・マッジョーレ下車。

CinqueTerre Riomaggiore 駅

 

多くの人がここで降りチンクエテッレ観光スタート。まずはかの有名な《愛の小道》だ。

駅を出ると目の前のレンガ積みの壁に巨大な絵がある。労働の場面のようで割と新しいもののようだ。

CinqueTerre Riomaggiore 駅前の大きな絵

すぐ近くにいわば物産館のようなものがあったのでちょっと入ってみる。チンクエテッレ特産のシャケトラ(甘口の赤ワイン)、グラッパやレモンチェッロがあったが荷物になるのでここでは見るだけ。

◆《愛の小道》

階段の昇り口みたいところがマナローナに向かう《愛の小道》の入口だ。1日券を見せて入る。

CinqueTerre 愛の小道スタート

 

《愛の小道》は海に向かい切り立つようないわば断崖にへばりつくような道だ。

CinqueTerre 愛の小道①

 

一面曇り空のため海も濃いグレーだ。断崖を支えている岩は柱状節理で海に突き出したところにはそれが斜めになってラザーニャみたく見えるのもある。

CinqueTerre 愛の小道 ラザーニャのような柱状節理

 

ドイツ、アメリカ人とおぼしき観光客の一団がいて、狭い道なので途中何度か渋滞する。

トンネルの中にアコーディオン弾きがいてその音が反響してうるさい。足早にトンネルを出るともうそこはマナローナ側の終点。

南京錠が沢山掛けられたモニュメントをうっかり通りすぎたことに気づき一度戻った。トンネル出口近くにあった。

CinqueTerre 愛の小道 意外に小さいモニュメント

 

 

CinqueTerre 愛の小道 南京錠

ガイドブックではゆっくり歩いて30~40分とあったが、わずか15分で終わってしまった。雨がぱらついたりする天気もあってちょっとがっかり。

◆モンテロッソ

眼下にみたマナローラの駅に着き、12時12分発の列車でモンテロッソへ向かう。

CinqueTerre Manarola駅

 

CinqueTerre Monterosso駅①少し遅れて12時30分到着。駅を出ると目の前がすぐビーチ。天気が悪いせいかパラソルは店じまいだ。海の方に目をやると漁船だと思うが何隻か固まっている。そのずっーと沖には少し大きな船影が見える。

CinqueTerre Monterosso ビーチ②

Cinqueterre Monterosso 海に漁船

本に出ていたシーフードの店を探しに駅を出て左の方に行きトンネルを抜ける。右はフェリー乗り場。さらに先に行くと旧市街だ。店はすぐわかったが休業なのか定休日なのか閉まっている。

そのあたりをぶらぶらして路地に入る。リゾート地だけあってどこもいい値段のようだ。定食18ユーロと出ていたリストランテに入る。入口が2カ所あり意外に大きくてまたなかなかきれいな店だ。定食のほかにワイン、食後にドルチェを頼む。

CinqueTerre Monterosso Al Carugio 店内

CinqueTerre Monterosso Al Carugio スパゲッティ・ペスト

食事中に外から入ってきた人が小さなチラシを各テーブルに置いていった。それは近くの土産物屋のもので読むといろいろありそうなので食後に行ってみることにした。

間口は狭く小さな店。外にはグラッパなど中心に置かれ《呼び込みディスプレイ》のような役目を果たしている。

中に入るとお店の人はベトナム人か、アジアの人でちょっと驚いた。グラッパ、レモンチーノ、甘いリキュールなど味見しそれぞれ買う。

モンテロッソの旧市街はそう広くないが中心部のT字路みたいなところにサン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会(ドゥオモ)がある。白と黒(濃い緑か)の縞模様のファサード、ジェノヴァ様式だ。ジェノヴァのサン・マッテオ教会とそっくりだ。

CinqueTerre Monterosso サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会②

 

中に入ると意外に明るい。側廊は狭いものの3廊式で柱やアーケードも白黒の縞模様だ。隣の建物は小さな教会か礼拝堂のようでこちらはファサードは白くてシンプル、中も白いが彫刻の装飾が豪華に感じられる。

CinqueTerre Monterosso サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会 身廊

 

ラ・スペツィア方向へ戻る列車にはまだ早いので駅を通りすぎビーチ沿いの道を歩いていると、昨日の列車で同じ席になり先にレヴァントで降りたアメリカ人夫婦にすれ違ったようだ。彼らの姿、格好が列車の中と違いリゾートぽくなっていたのでこっちは気づかず、だ。先に向こうが『アレッ!』という感じの表情を見せたのを、スレ違いざまに気づいて思い出す。

◆ヴェルナッツァ

15時24分の列車でヴェルナッツァへ。着くとホームはトンネルの中、先頭車両のみ外だ。

CinqueTerre Vernazza 駅

 

駅からすぐ近くに入り江があり、そこはよく写真で見る景色だ。入り江に向かってカラフルな建物が立ち並んでいる。岩場では釣りをしている人もいる。

CinqueTerre Vernazza カラフルな建物

 

カラフルな建物群に隣接する優雅な時計塔のある建物は教会だった。サンタ・マルゲリータ・アンティオキア教会だ。狭い場所に立つロケーションの関係か、入口は内陣横にある。外観もゴツゴツした石積みだが中も同じような感じだ。

CinqueTerre Vernazza サンタ・マルゲリータ・アンティオキア教会

 

甘口ワインのシャケトラが沢山置いてあるすぐそばのエノテカに行ってみたが荷物になるので(モンテロッソで買い込んで十分、荷物がある)リオマッジョーレで買うことに次の16時12分の列車に乗る。

チンクエテッレの5つの町には唯一山の上にあるコルニーリアは駅から遠そうなのでパス。そのままリオマッジョーレへ向かう。

 

◆再びリオマッジョーレ

駅を出て線路横のトンネルを抜け坂道のメインストリートへ。雨がひどい。これならモンテロッソかヴェルナッツァにいれば良かった。

CinqueTerre Riomaggiore 街並み

 

ワインと土産物を扱っているエノテカ発見。シャケトラが何種類もあるので迷ってお店のご主人にその違いなどいろいろ教えてもらう。シャケトラのほかレモンのオリーブオイル、アンチョビ、ペストを買う。レジを打っているときに『まけて!』と言ったら手をとめ、ペスト分を引いてくれた。“Grazie!!”。その後イタリア語で少し話をする。

次のラ・スペツィアへの電車には間に合いそうもない。雨も依然降っているので雨宿りをかね、屋根のあるカフェでビールを飲んで時間調整。

17時半、駅へ向かう。駅で待っている間、雷鳴がとどろく。17時50分発の列車は5分遅れのまま18時05分、ラ・スペツィア到着。雨の中まっすぐホテルに帰る。

◆雷で停電

念願のチンクエテッレへ行ってきたものの満足感はない。チンクエテッレは《海からの景色》を見ないと。しかも天気が悪いので陸地だけでも物足りない。結局は土産物を買う観光地なのか?

ホテルの部屋でTVを見ていると雷のせいか一時停電。復旧するもCNN,BBCなどは見えなくなる。

お腹も珍しくすいてきたので20時すぎ食事に出かけた。目指すは昨夜いったんは行こうと思ったDa Duccio。行ってみると誰も客がいないのでちゅうちょしたが入店。

イタリア人っぽくない女性が迎えてくれた。

LaSpezia Osteria Duccio 店内

 

メニューを見ながら相談してアンティパスト、プリモ、セコンドを注文。アンティパストが出てきたのと同時くらいに8人の男性グループが来てにぎやか。年恰好が同じくらいで久しぶりの人たちもいるようなので学生時代の仲間が何年かぶりに集まっている感じだ。にぎやかになったとはいえ帰るまでこのグループだけだった。

 

お腹いっぱいなのでドルチェをパスし、食後酒としてアベルノを飲む。甘い薬用酒みたいだ。ほかにシェフからといってズィビッボ(Zibibbo、シチリアのデザートワインだと教えてくれた)とレモンチーノがサービスされる。

LaSpezia Osteria Duccio 食後酒

 

 

◆ラ・スペツィア3日目の朝

6時ころ雷と雨の音がひどくて目がさめる。7時半すぎ朝食に出るときロビーから外を見ると雨はあがり晴れ間も出てきた。

フロントで船のことを訊ねたが『ここでは運航状況はわからない』という。急いで荷物をまとめ、とりあえずフェリー乗り場に行ってみる。途中、大きな虹が出ていることに気づく。

LaSpezia 朝の港

LaSpezia 雷が終わって虹

乗り場に行っても運航するか不明のようだ。ホテルに戻り、急いでチェックアウト。「運航」に賭けることにして再びフェリー乗り場へ。

 

9時すぎ乗り場に着くと大勢の人が待っている。どうやらO.K.のようだ。

 

◆フェリー出航

ポルトヴェーネレでは下船して見るつもりなのでその旨切符売り場で言うと『他では下りないこと』を確認された上で13ユーロ払う(これは料金表にはのっていない)。船に乗りこみ2階席(デッキ)に座る。座ったまま陸が見えるように進行方向左側だ。

定刻より5分遅れで9時20分出航。まずラ・スペツィアの湾内をゆっくりと進む。フェリーといってもいわば遊覧船、いろいろと英語で説明がある。ヨットハーバーもある。ジョルジョ・アルマーニの大きなヨットも停泊している。ムール貝の養殖場(多分)も見える。

LaSpezia ヨット・ハーバー

 

だんだん天気が良くなり海の旅日和、風が気持ちいい。再チャレンジして良かった。昨日運航していたとしても天気はいまいちだったのでなおさらそう思った。

 

◆ポルトヴェーネレ

約30分でポルトヴェーネレ到着。船から見える岬の突端にあるサン・ピエトロ教会の姿は印象的だ。

Portovenere フェリーから見えるサン・ピエトロ教会②

Portovenere フェリーから見上げたサン・ピエトロ教会

ほとんどの人がここで下船、次の11時の船まで約1時間の観光だ。

大半の人がサン・ピエトロ教会の方に向かっていったが混雑するのも嫌なのでカステッロ横の石段を登る。結構しんどい。左側がカステッロだと思うがその壁はまさに城塞、高くそびえている。

Portovenere 城塞への階段

Portovenere 城壁

 

 

先端に出てみるとサン・ピエトロ教会が眼下に見える。チンクエテッレの海が青くきれいだ。周りには誰もいず絶景を独り占めだ。

Portovenere 城から見るサン・ピエトロ教会

Portovenere サン・ピエトロ教会のある岬 

登ってきた石段をころばぬように下り、今度はサン・ピエトロ教会へ行く。船で一緒だった人々はもう戻ってくるところ。

Portovenere サン・ピエトロ教会への道

Portovenere サン・ピエトロ教会 鐘楼

教会はここも縞模様のジェノヴァ様式、小さな教会だ。後陣の窓から日が差し込み、思っていた以上に中は明るい。

Portovenere サン・ピエトロ教会 内陣

 

Portovenere サン・ピエトロ教会回廊からの海

一通り見るべきものを見てあとは次の船に乗るだけだが港に面した土産物屋兼バールでジェラートを買い一休み。

 

◆海からのチンクエテッレ

11時の船がなかなか来ない。10分弱遅れて到着、乗り込むが出航したのは11時半頃。舳先近くに座ったので結構揺れ、波しぶきを受ける。それでも海も空も真っ青で気持ちがいい。

CinqueTerre 海から見るRiomaggiore

CinqueTerre 海から見るRiomaggiore②

リオマッジョーレには30分弱で到着、下りるつもりはないので乗客の乗り降りを座って待つのみ。12時すぎ出航。

昨日歩いた《愛の小道》がよく見える。この船はマナローナには寄らない。山の上の町、コルニリアも船上からはっきり見ることができた。教会の塔も見える。

CinqueTerre 海から見る愛の小道

CinqueTerre 海から見る愛の小道

CinqueTerre Corniglia④ ベスト

入り江に面した建物がカラフルなヴェルナッツァの町が見え、だんだんと近づく。こういう景色は「海から」ならではだ。

CinqueTerre 海から見るVernazza

 

 

12時20分到着、ここでほとんどの人が下りる。12時27分出航。

モンテロッソにも船着き場のある旧市街の方に船が向かって行く。12時35分到着だ。

CinqueTerre 海から見るMonterosso

CinqueTerre Monterossoへ近づく

◆モンテロッソで2日続けてランチ

モンテロッソの町は昨日見ていたし、ラ・スペツィアへ戻りレッジョ・エミリアへ移動する予定なので駅へ急ぐ。切符売り場に並んでいる人がいて12時43分発の列車に乗るのをあきらめる。

 

次の列車まで、と駅前のビーチ沿いをぶらぶらするが、折角の景色なのでこのビーチに面したリストランテ・カフェでランチにする。メニューを見ると場所柄少し高いようだ。

海の幸サラダと魚介類のフリット、これと水代わりに白ワイン。フリットがカラッと揚がっていて美味い。

CinqueTerre Il Gabbiano 海の幸サラダ①

CinqueTerre Il Gabbiano 魚介類のフリット①

海を見ながらゆったりと食事をとる。海の色は空を映して青いし波がキラキラ。目の前のビーチにも平日(水曜)なのに人出がある。

CinqueTerre Il Gabbianoからのビーチ

 

船旅もできたし本当に再度来て良かった。昨日だけではチンクエテッレの印象が悪くなるところだった。

 

◆ラ・スペツィアへ戻る

14時04分の列車は10分遅れ。これでラ・スペツィアへ戻る。到着寸前、車窓から真夏のような積乱雲が見えたので雷雨を心配したが大丈夫だった。

 

ホテルに戻らず、何回か通りすぎながらまだ見ていないサンタ・マリア・アッスンタ教会へ直行する。

LaSpezia サンタ・マリア・アッスンタ教会(全景)

 

中は3廊式で装飾もあまりなく白っぽい。ロッビアの《聖母被昇天》の作品が左にある。一つ一つは割と小さいが《キリストの磔刑》の14場面の絵が左右の壁を飾っている。主祭壇奥には《聖母被昇天》の絵だ。

LaSpezia サンタ・マリア・アッスンタ教会 内陣

LaSpezia サンタ・マリア・アッスンタ教会 ロッビア作「聖母戴冠」

ホテルに戻るついでに朝行ったサン・ジョルジョ城へ再び行き、眼下の港を見ると景色が天気で全然違う。

LaSpezia サン・ジョルジョ城からの良い眺め

 

帰りにホテル前の教会に立ち寄る。イエスの聖心教区教会とでもいうらしい。

LaSpezia イエスの聖心教区教会

 

 

◆レッジョ・エミリアへ

スーツケースをピックアップし駅へ向かう。16時、駅に着く。

パルマ乗換えでレッジョ・エミリアに行く列車は16時20分発だ。15分をすぎても1番線なのにそこにはピサ行きが停まっている。ディスプレイを見るとホームは”1T”となっている。駅の人に訊くと『1番の前、右の』だという。”1Tronco”は日本でいう0番線ということを初めて知った。

5分ほど遅れて発車、内陸エミリア・ロマーニャ州のレッジョ・エミリアへ向かう。

 

◆泊る

ホテル MY ONE HOTEL(★★★★), via XX Settembre, 81 Twin single use 1泊 89ユーロ

LaSpezia MyOne Hotel

 

Venere.comで予約、2泊する。駅とフェリー乗り場の中間であることが決め手で選ぶ。

建物は割と新しく高低差のある場所に建っていて、正面入り口は6階にあたる。部屋は210号室、内装、設備はいいがピローネ通りからのいわば裏階段を目の前にしており眺望は全くだめ。

 

◆食べる

  • リストランテ

お店の名前 Osteria All’ Inferno, via Lorenzo Costa, 3 La Spezia

LaSpezia Osteria All' Inferno 入口

LaSpezia All' Inferno 店内

地元の人でいっぱい、安くてうまい居酒屋的雰囲気で場所さえわかればおすすめ。

食べたもの プリモは海の幸のスパゲッティ(6ユーロ)、セコンドに魚のカルパッチョ(8ユーロ)。

LaSpezia All' Inferno 魚のカルパッチョ

 

味は本文の通り。コペルト、ワイン(グラスで2杯)、水、食後のカフェで計19ユーロ。

お店の名前 Osteria Duccio al mercato, via F.lli Rosselli,17 La Spezia

TripadviserでのLa Spezia飲食店評価第一位

食べたもの 前菜はタコとポテトのサラダ(7.5ユーロ)、プリモはロンボのパスタ(Paccheri al ragu di rombo、7ユーロ)、カメリエーラに勧められた一品。イカみたいな歯ごたえのパスタに魚とトマトが押しつぶされたソースで美味い。あとで辞書で調べるとロンボとはヒラメのことらしい。

LaSpezia Osteria Duccio タコとポテトのサラダ LaSpezia Osteria Duccio ロンボ

セコンドはこれまたおすすめのカタロニャ風ヨーロッパロブスター(Astice alla catalano、14ユーロ)。パプリカ、人参、セロリの上にロブスター半分。ロブスターと言われたがAsticeは「ウミザリガニ、オマールエビ、ヨーロッパロブスター」を指すらしい。値段から見て伊勢エビではないだろう。

LaSpezia Osteria Duccio カタルーニヤ風ロブスター

コペルト、ワイン(500ml、3.5ユーロ)、水、カフェで計35ユーロ。食後酒3種はシェフからのサービス。

お店の名前 Ristorante Al Garugio, via S.Pietro, 9 Monterosso Al Mare

食べたもの プリモはジェノヴェーゼ・ソースのスパゲッティ、セコンドはムール貝のワイン蒸し(何と40個もあった)、

CinqueTerre Monterosso Al Carugio ムール貝の蒸し物

CinqueTerre Monterosso Al Carugio クレーム・カラメル

これにパンと水がついて18ユーロの定食、プリモ、セコンドは何種類から選べるプリフィックス。ワイン(500ml、2.5ユーロ)、ドルチェ(クレームカラメル、4.5ユーロ)で計25ユーロのランチ。

お店の名前 Ristorante Il Gabbiano, via Fegina,84  Monterosso Al Mare

食べたもの 前菜に海の幸サラダ(8ユーロ)、セコンドに魚介類のフリット(14ユーロ)、これが食べたかった。イカ(カラマリ)とエビ(ガンベロ)がからっと揚がっていて美味しい。ビーチを望みながらたべるのは格別。コペルト、水代わりの白ワイン(500ml、4ユーロ)で計28.5ユーロのランチ。

 

◆買う

お店の名前 Enoteca La Monterossina, via Roma,7  Monterosso Al Mare

買ったもの グラッパ、レモンチーノ、野イチゴのリキュールなど200mlのもの4本(各7ユーロ)、500mlのグラッパ(14ユーロ)、いずれもシャケトラ醸造元Sangalla社製品

お店の名前 Enoteca D’Uuscintu, via Colombo,84  Riomaggiore

買ったもの シャケトラSciacchetra Riserva 2002, Terra di Bargon(375ml、54ユーロ)

レモンオイルコンデショナー(250ml、7.5ユーロ)

ジェノヴァ産アンチョビフィレ瓶詰め(10.5ユーロ)

ペスト(ジェノヴェーゼ・ソース、3.5ユーロ)

 

◆乗る・歩く

◎チンクエテッレ1日乗車券(レヴァント/ラ・スペツィア間の乗降自由、愛の小道入場も含む、その他チンクエテッレ・カードと同じ利用範囲、8.5ユーロ)

◎チンクエテッレ遊覧船(ラ・スペツィア~ポルトヴェーネレ~モンテロッソ、13ユーロ)

 

◆読む

本の名前 『ミラノから行く北イタリアの街』田島麻美著 双葉社 1700円

ラ・スペツィア1日目に探し回ったオステリア、モンテロッソで閉まっていた店はこの本による。

今までの旅でもタビタビお世話になっている。

Pavia (パヴィア) (2009/9/13~15)

Pavia (パヴィア)  2009/9/13~15

◆行く

パヴィアに行くのは2度目。1度目は2004年、ミラノに降りてニースに行く1泊目にただ寝るために寄っただけなので実質初めてだ。

パヴィア2泊滞在の目的は郊外のパヴィア修道院(Certosa di Pavia)に行くことだった。

 

13日、日曜は久々のミラノ観光後16時25分発のFSでパヴィアに向かう。ミラノからは日帰りができるほど近い。17時10分にはパヴィア駅近くのホテルにチェックインできたほどだ。

 

◆まずは巨大な女性像に迎えられる

18時過ぎにはチェントロへ繰り出す。ホテルを出て最初の大きな通り(リベルタ大通り)に出てびっくり。盾と槍を持った巨大な女性像が道路の真ん中に立っている。ガイドブックにもホテルでもらった市内地図でも触れられていないのでどういう像なのかわからない(不戦を表した平和を希求するミネルヴァ像だということをあとで知った。盾や槍の持ち方に表現されているらしい。)。3日間のうちに何回かこの大通りを渡ったがそのたびにこの像の大きさに圧倒されてしまった。

Pavia 巨大なミネルヴァ像②

 

 

 

◆日曜夕方のチェントロ

この大通りを渡るとカヴール通りに入る。いかにも旧市街という感じだ。

ミラノで歩きすぎたためか足が重い。のどがかわいていてホテルを出た時から「どこか広場のカフェでビール!」と思っていたが中心部のヴィットリア広場ではイベントをやっていて音楽のヴォリュームが大きくうるさいので裏手のドゥオモ広場へ移る。

広場といってもここはそれほど広くなく、人出もうそのように少ない。テーブル6つのカフェでビールを飲んで一休み。

目の前のドゥオモはレンガ積み、ロンバルディア・ルネサンス様式のファサードが西日できれいだ。奥に見えるクーポラは修復中で完全に覆われている。

 

ドゥオモ横からカヴール通りに並行しているカルダーノ通りを進みストラーダ・ヌオヴァ通りにぶつかる。あとでわかったがカヴール通りとこのストラーダ・ヌオヴァ通りが旧市街を十字のように貫いている背骨みたいな通りだ。

 

◆ティチーノ川とコペルト橋

ストラーダ・ヌオヴァ通りには大変な人出。イタリアらしい夕暮れのそぞろ歩きか?

この通りの先にはティチーノ川があり大きな屋根つきのコペルト橋がある。

Pavia コペルト橋(東から)

 

橋の方まですごい人出、と思ったら川に沿って市が行われている。また、橋の上ではアンティーク市だ。橋は幅が広くかなり長い。橋を往復してみたが、仮に日本まで持って帰れるとしても欲しいと思うものはない。

Pavia コペルト橋はアンティーク市

 

橋からティチーノ川を見下ろすと遊覧船が泊っている(あとで近づいてみると実はBar船だった)。

 

川沿いの市は、例によって衣類、靴のほかドライトマト、オリーブ、チーズ、サラミ、ハチミツの店も多少ある。

面白いことにSUZUKIとSUBARUのイベントが行われていた。

 

かなり歩き疲れて19時すぎにいったんホテルに戻る。シャワーを浴び、資料を見ながらベッドに横になっているうちウトウトしてしまう。

 

少しお腹もすいてきたので20時半すぎ食事に出かける。朝からのあまりの疲れのせいかワインも食事もおいしく感じない。

 

◆月曜は雨、雨、雨(2日目)

目的のパヴィア修道院は月曜クローズだと知る。やむをえない、明日に回そう。

となると今日はこの小さな町に一日いることになる。

 

朝食後、玄関を出てみると雨で道行く人はしっかりと着込んでいる。

 

昨日と同じようにカヴール通りを行きチェントロに向かったが、途中カルミネ教会の標識があったので予定変更。

Pavia カルミネ教会①

 

 

ファサード前にトラックが停まり職人が出入りしている。中に入ると工事中でいたる所足場が組まれビニールで覆われている。工事中の教会内部は荘厳さもなく現場そのものだ。

 

◆カステッロも休み

次いで当初スタート地点に予定していたカステッロへ向かう。月曜休みだととわかっていたので「外から見るだけでいい」と思って行ってみると門があいていた。

Pavia ヴィスコンティ城②

 

どんどん進むと市立博物館入口。「博物館はいいや」と思い絵画館入口を探すがみつからずあきらめる。

 

博物館を見ながら館内を見るのも悪くないと思って中に入り、係りの女性に『見るのにどのくらいかかりますか?』と訊くと、『今日は休み』との返事。それにしてはどうして係りの人がいるのだろう?

『中庭の写真を撮らせて欲しい』というと『ここまでなら』とO.K.が出たので回廊などを写す。

Pavia ヴィスコンティ城の中庭回廊①

 

建物を外から見る限り壮大だ。14世紀、ヴィスコンティ家によって建てられたものらしいが当時の君主の力を感じる。

 

◆サン・ピエトロ・チェル・ドーロ教会

サン・ピエトロ・チェル・ドーロ教会がすぐ近くだ。2月11日通りを渡り、斜めの路地を行く。

別の教会かと思うほど隣の建物と完全にくっついている。

Pavia サン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会①

 

 

主祭壇の上には聖アゴスティーノのアルカ(石棺)がある。大きな白い大理石で彫刻像が施されたものだ。

Pavia サン・ピエトロ・イン・チェル・ドーロ教会 聖アゴスティーノのアルカ


 

◆マッテオッティ大通りを渡ってストラーダ・ヌオヴァ通りへ。

フラスキーニ劇場の前を通る。この劇場がホテルでもらった観光マップに③と表示されているが、建物自体が歴史的建造物というよりはオペラなどの劇場ということだろう。この日の夜も何か上演されるようだ。

 

そのまま進むとパヴィア大学の前までさしかかったので左に曲がりダヴィンチ広場の3本の塔を目指す。途中で頭が見えたので大学の中を横切り近くへ行ってみた。

3本の塔はすっくと立っている。

Pavia ダ・ヴィンチ広場に面した3本の塔②

 

 

1本は時計塔、反対の1本は壁一面何かで補強されているようだ。足場のようでもある。3本いずれも建物ではなく塔だ。時計塔はわかるとしてあとの2本は何だったんだろう?

 

◆市庁舎からサン・ミケーレ教会

次に向かったのは(といってもすぐ近く)市庁舎。途中に小さな教会があった。市庁舎の前はきれいな広場。この広場には手を上げたカエサル(またはアウグストゥス?)の像が立っている。市庁舎は二つあるようだ。

古い方は何由緒正しそうなたたずまいだ。あわいピンク色の3階建ての建物で3階にはそれぞれの部屋にバルコニーが見える。新しい方には市民が結構入って行く。

Pavia 市庁舎

 

 

市庁舎広場の前のポルタ通りを川の方に進み交差するガリバルディ通りを右折するとほどなくサン・ミケーレ教会の横に出た。回り込んで正面へ行く。さっき行ったサン・ピエトロ・チェル・ドーロ教会がこの教会ファサードを模したというだけあって全体的な形はそっくりだ。もちろん本家のこっちの方がドーンと大きくファサードの彫刻も素晴らしい。

この彫刻は聖人ではなく動物、しかも中には想像上の生き物もあるようだ。

Pavia サン・ミケーレ教会①

 

Pavia サン・ミケーレ教会ファサードの彫刻

 

中は静まりかえっている。力強い柱の3廊式だ。主祭壇上のドームには《聖母戴冠》のフレスコ画があるはずだが暗くてよく見えない。

 

身廊のヴォールト型の天井は何の装飾もない石のままだが柱廊の方はきれいに描かれている。

Pavia サン・ミケーレ教会 素晴らしい天井②

 

 

右にはサン・ミケーレの絵。その手前には《降架したキリストと聖母》の彩色された木彫がある。

 

床はオレンジ色ぽい茶色のモザイク。いわば通路のようにNの字が続いた感じの黒に白の紋様だ。

Pavia サン・ミケーレ教会 柱と床のモザイク

 

 

◆何となく見つけたコレッジョ・ボッロメオ

サン・ミケーレ教会を見た後はガリバルディ通りを東に歩く。早くも下校の生徒たちとすれ違う。ガリバルディ通り角のリストランテで10ユーロの定食ランチをとる。

 

食後リストランテ入口が面していたパスクワレ・マッサクラ通りを歩いているうちに立派な建物の前に出た。探していたわけではなく迷い込んだという感じだ。建物前の広場は閉ざされた空間みたいでひっそりとしている(もっとも駐車場とも化していたが)。

この建物はコレッジョ・ボッロメオ。ガイドブックによると、離れてはいるがパヴィア大学の一部とのこと。正面入り口とその上に掲げられている大きな紋章が端正さを与えているようだ。

Pavia コレッジオ・ボッロメオ

 

 

ティチーノ川沿いに歩き、コペルト橋をすぎてから右折して市街地に入りいったんホテルに戻り一休み。

 

◆夕方の町歩き

15時すぎ再スタート。すっかり天気が良くなっている。

 

まず、明日行く予定のパヴィア修道院へのバス乗り場を探しに行く。駅前に停まっていたSILAバスの人に訊くと『左に曲がってから右に曲がったところだ』と。

そこはバス・ターミナル。しかし、時刻表とか乗り場とかがよくわからない。ようやく切符売り場を見つけ、だいたいわかる。

 

ホテルの前を通りすぎまたチェントロへ行く。

午前中見た大学へ行ってみる。途中右折して3本の塔へ。それから大学の中に入る。中庭だった。いったん出て正面を通りすぎたところで中に入って進むと、アララ、目の前にまた3本の塔。

Pavia パヴィア大学からの3本の塔

 

 

ヴィットリア広場を通り昨日ビールを飲みながら外観だけ見たドゥオモへ。

Pavia ドゥオモ

 

入ってびっくり、寸づまりだ。内陣のみで修復工事中のため壁がつくられていて変な感じだ。

 

次は迷いながらもテオドロ教会へ。ちょうど鐘が鳴った。

左から入ってみると老婦人10名ほどが歌っている(フシをつけ読んでいる?)。

小さなレンガを積み上げた素朴な感じがする。外も同じように小さなレンガ積みだ。

Pavia サン・テオドロ教会

 

 

昼過ぎに通った川沿いのプロムナードからコペルト橋へ出てヌオーヴァ通りでウィンドウ・ショッピングしながらリストランテ探しをする。「この町はホテルもリストランテも人口の割に少ない」と《歩き方》に書かれていたがまったくその通りだ。

路地に入るとシャッター通りかというようなところもある。メイン・ストリートは月曜なので休みなのだろう。

 

夕方恒例ののどをうるおすためヴィットリア広場のカフェに移動する。最初に座った席にはなかなか注文をとりにこないのでトイレに立つと他人が座っていたのでやむなく店の前の席に座る。

Pavia 日曜夕方の ヴィットリア広場①

 

晴れて青空が見えるというものの風が冷たい。

この広場がどうも市内で一番大きいようだがその意味では田舎の町か?リストランテの数と町の洗練度はともかく規模はAlbaに近いと感じた。

 

◆メニューのない店でのチェーナ

いったんホテルへ戻り足を休めるとともに一人でリストランテの検討会議をする。

20時すぎネットでチェックしていた店を第1候補として出かけるが『予約で満席』とのこと。第2候補のOsteria della Madonna に入ることができた。

店内は1階の隅の4人席に案内された。地下にも席があるようで意外に大きい。

Pavia Osteria della MADONNA ワイン陳列①

 

 

さて、注文しようとしたらメニューはない。お店の人が言うのを聞いて頼む形だ。頼んだと思ったのは前菜にアンティパスト・ミスト、プリモはフンギのリゾット、セコンドは肉料理だけだったのでパスし、チーズ盛合せの3皿。

 

ところが注文したはずのアンティパスト・ミストがなく、いきなりリゾットだ。次には塊り7つのチーズだ。「きっとうまく通じなかったのだろう」とあえてアンティパスト・ミストを再度注文。生ハム、サラミ、ラードの多いハム、ペペロナータ、丸い容器3つにカポナータなど3種と大変な盛合せだった。

Pavia Osteria della MADONNA 前菜盛合せ

 

 

隣の6人(男性1人、女性5人)はドルチェの際《ハッピー・バースデー》で盛り上がる。

こっちも気分的にはドルチェを頼みたかったがお腹いっぱい、久々にグラッパにした。

 

◆いざパヴィア修道院(Certosa di Pavia)へ(3日目)

8時過ぎチェックアウトし、バスターミナルへ。

1階の切符売り場で行き先を告げ、乗り場、時刻(No.2、8:30)を教えてもらう。係りの人のいう運賃がなかなかこっちに通じない。手に持っていたコインを出さされ揃えて見せられる。それで1.35ユーロを払ったが、安すぎるので『往復か?』確認したら『違う』というのでもう1回1.35ユーロを払う。帰りにバス停近くで切符が買えるか行ってみなければわからないので往復で買ったわけだ。

No.2乗り場にミラノ行きのバスが停まっていたのでドライバーらしき人に訊くと直行便とのこと。次のバスだと教えてくれた。

次のバスが来て乗るときドライバーに行き先を告げると“la prima fermata” とのこと。約10分で到着。

ここからは《歩き方》に出ていたように、角を右へ曲がり、「多分この道をまっすぐだろう」と歩く。

 

歩きながら親切だったドライバー、切符売り場の人、乗るべきバスを教えてくれたホテル・オーナーに心の中で感謝する。『皆さんのおかげでここまでこれました。ありがとう!』、そしてここまで送り出してくれた家族にも感謝した。

とにかくまっすぐ歩くが、左側はとうもろこし畑、右側に住宅や店だ。途中誰かに確かめようと思っても、表にいた人が店の中に入ったり・・・・・で不安のまま進む。

 

ようやく「らしきもの」が見えてきたが《歩き方》の写真では尖塔がないのに前方には尖塔が見える。ちょっと不安になったが、ちょうど赤いセーターの男性が自転車でやって来て追い抜いていってゲート前で停まったので急いで追いかけ『ここが修道院でしょうか?』と訊ねる。『ここだよ』との返事。

彼は昨日来たら休みだったのでまた来たとのことだった。開門の9時まではまだ数分あるのでちょっと待ったがそのうち開いたのでこの日の第1号として入る。

Pavia パヴィア修道院①

 

 

◆すばらしいファサード

目の前には素晴らしい聖堂。ファサードの彫刻が素晴らしい。聖人だけでもなんと34人、一つ一つの彫刻が見事だ。旧約聖書、新約聖書の場面をあらわしている。

Pavia パヴィア修道院ファサードの彫刻①

 

 

小さな彫刻は長年の風雨のせいか浮彫りのためもあるのか頭がとれているのがいくつかある。

土台に近い部分の丸いものはローマ時代の金貨を模したものそうだ。

Pavia パヴィア修道院ファサード下部(ローマ時代の硬貨模放)

 

 

中に入ると薄暗くて目が慣れるのに時間がかかる。

Pavia パヴィア修道院 林のような柱

 

 

右側第2礼拝堂には《永遠の父》、左側第4礼拝堂には《キリスト十字架刑》、第5礼拝堂には《聖シーロと4聖人》が描かれている。

 

床は大理石の模様だ。

鉄扉を進むと主祭壇がある。周りは《キリストの洗礼》をはじめ新約聖書の場面のフレスコ画で覆いつくされていてすごい。

Pavia パヴィア修道院 多翼祭壇画

 

 

右翼廊手前に男女の大理石彫像が横たわっている。イル・モーロ夫妻の墓碑だという。その下には墓があるようだ。奥は大きな絵が掲げられた礼拝堂だ。左翼廊も同様だ。左翼廊を進む(曲がる)と小回廊に出た。

 

◆小回廊と大回廊

小回廊が取り巻くように中庭がある。ちょうど秋の花が噴水を中心に咲き乱れとてもきれいだ。ここから見る聖堂の外観もなかなかいい。

Pavia パヴィア修道院 小回廊付き中庭①

 

Pavia パヴィア修道院 小回廊付き中庭からの聖堂

小回廊の壁のところどころにフレスコ画が残っている。

 

奥には食堂。ここには《最後の晩餐》が描かれている。有名なダ・ヴィンチの《最後の晩餐》も、フィレンツェのサン・マルコ美術館(修道院)にあるギルランダイオのもそうだが、《最後の晩餐》は修道院の食堂に描かれるものだとあらためて知った。

Pavia パヴィア修道院 食堂

Pavia パヴィア修道院 食堂の最後の晩餐

 

大回廊は見るだけ。その回廊に沿う形で修道僧の部屋(建物)がいくつも見える。

Pavia パヴィア修道院 大回廊付き中庭②

 

 

◆パヴィアへ戻る

約1時間滞在、10時10分修道院をあとにする。雨が降り始め、元来た道を歩いているときにはかなりの雨。

バス停近くの大きな通りで信号待ちのときパヴィア行きのバスが来るのが見えた。ラッキー!10時27分乗車。

ちょうど10分で朝のバスターミナルに着く。

 

◆ラ・スペツィアへ

これにてパヴィア観光はおしまい。今年の旅の目的、チンクェ・テッレへ移動だ。

バスを降りてからそのまま駅に向かう。11時35分発の切符を買うためだ。ところが自販機調整中だったので窓口に行く。

話は通じたが『最初の列車か?』と念を押されたので“Si!”と答え、発券された乗車券を見ると何と12時35分発。

確かにこれは直通では最初の列車だが乗換えの方が着くのが早かったはずなのに・・・残念!

結局2時間も待つことになった。修道院からのバスは往復ともタイミング良かったのだが。

駅にずっといてもしようがないのでホテルの前を通りすぎ例の巨大な女性像の大通りを渡ってから左に行く。バティッシ通りは初めての道だ。

ランチには早いのでぶらぶらと歩くことにした。

左手に大きなスーパー発見、その先にも小さいがもう1軒。探していないときはそんなもんだ。

昨日、市が立っていたペトラルカ広場は今日も市、昨日より店は多そうだ。カルミネ教会の裏を通りカヴール通りへ。何回通ったことだろう。

 

散策にもちょっとあきたのでホテルに寄ってスーツケースを受け取り駅へ向かう。駅で30分ほど待ち例の直通電車に乗りラ・スペツィアへ向かう。

 

◆泊る

ホテル Hotel Aurora(★★) viale Vittorio Emanuele Ⅱ,25 Single 55ユーロ、朝食別 6ユーロ

HPを通じて予約。駅からすぐ。中地下の12号室。朝食は簡素。オーナー、従業員(家族?)は

フレンドリーで親切。

 

◆食べる

お店の名前 Pizzeria-Ristorante, CAPRI Corso Cavour,32

1日目の夕食で利用、日曜夜とあって混んでいた。暑い中歩き回り疲れたせいか味をドルチェ以外あまり感じなかった。

食べたもの 前菜は海の幸サラダ(7ユーロ)、ゴルゴンゾーラのニョッキ(5ユーロ)、ドルチェ(アーモンドのケーキ、3.5ユーロ)、ワイン(GRAVE del Friuliのカベルネ・ソーヴィニオン、ハーフボトル、6ユーロ)、コペルト、水、カフェで計25.7ユーロ。

Pavia Pizzeria CAPRI 海の幸サラダ

Pavia Pizzeria CAPRI アーモンドのケーキ

 

お店の名前 Ristorante Pizzeria Due Sapori, Via P.Massacra,2

食べたもの 10ユーロの定食

パン、水、グラスワイン、プリモ(12層のラザーニャ)、セコンド(やや硬めのステーキ)、カフェ。

Pavia I Due Sapori ラザーニャ

 

テーブルにおかれていたオリーブ・オイルがあまりにも美味しかったので売っている店を訊ねたが残念なことに取り寄せているとのことだった。

Pavia I Due Sapori 美味しかったオリーブ・オイル

 

食後住所を頼りにミシュラン(’05版)に出ていたとあるリストランテを探してみるが見つからない。あとでわかったがランチをとったこの店がその住所だった。名前を変えたのか、店そのものが変わったのか?

 

お店の名前 Osteria della Madonna da Peo, Via Cardano,63

食べたもの 本文の通り。水1リットル、ワイン(Barbera、500cc)込みで35ユーロ(内訳なし)

Pavia Osteria della MADONNA フンギのリゾット

Pavia Osteria della MADONNA チーズ盛合せ

 

Mola di Bari(モーラ・ディ・バーリ)2005/9/17

◆行く
プーリアマテーラの旅、最終日の昼食をバーリ市内のミシュラン3本フォークの店にするか、それともモーラ・ディ・バーリの《南イタリア屈指の洗練レストラン》にするか迷ったままバーリのホテルをチェックアウトし、荷物を預けてホテルを出る。

バーリから列車に20分乗らなければならないがプーリア&マテーラの旅のフィナーレを飾ることにして行動派の我々としてはモーラ・ディ・バーリへ行くことにした。

11:57の電車があるが、ドイツ人の若い女性バックパッカーグループが駅の自販機を陣取っていたのでイライラしながら待つ。発車5分前にようやく番がきて「行き」の乗車券のみ買ってホームへ急ぐ(これがあとで問題をひきおこす)。

12:17着。モーラ・ディ・バーリの駅は小さい。窓口は閉まっている。外に出ても土曜の昼時のせいかひっそりとしている。
店の名前と住所はメモしてきたがそれがどっちの方向なのか誰にも訊くわけにもいかない。とりあえず駅からまっすぐのびた道を海の方向へ行くが市内地図の大きな看板があったので、それをじっと見ると大体の場所がわかった。店までの通りの名前と曲がる方向を持っていたバーリ市内地図の余白に書き込んだ。これで一安心、あとは店が開いているか、開いていてテーブルがあるか、だ。

◆親切に感謝
途中、通りの名前を確かめるためバーリ市内地図をひろげていると通りがかった熟年のご夫婦が声をかけてくれる。

『どこに行きたいのですか?』、『このリストランテです』とメモを見せると、奥さんがご主人に『あなた、案内してあげれば』(と多分言ったんでしょう)。ご主人は持っていたスーパーの買い物袋を奥さんに渡しウンベルト通りまで一緒に連れて行ってくれた。親切に感謝、感謝だ。

彼は国連職員としてニュー・ヨーク勤務だったので日本人初め数々の国際的な友人がいるという。ウンベルト通りに入ったところでその先の左折する目印を教えてくれ、こちらからは丁重にお礼を言い(といっても“Grazie, molto gentile”)別れる。

◆プーリア最後の食事
さて、お目当てのお店に着いたが、やっているのかどうか、何となく静かな雰囲気。不安になったその時、一人の女性が出てきたので訊いてみると『どうぞ』とのこと。
テーブル・セッティングやインテリアからみると優雅なリストランテではあるが、中はひっそりとしていて客は誰もいない。

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若いカメリエーレが注文を取りにくる。例によってプーリアのワインという希望を出しあとの具体的な選択は任せる。
コペルトとして出されたオリーブはさすがプーリアがイタリア一の産地だけあってか、きれいな緑色で粒も大きい。フォカッチャのようなものは表面のパルミジャーノがこんがりと焼けていて香ばしい。

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前菜は恒例の海の幸サラダと車エビのカルパッチョにした。初めてカルパッチョで車エビというのを食べたがこれは美味い。車エビの身をたたきにしたようなもので素材が新鮮で美味しいからできるのだろう。とろけるような味だ(ぜひとももう一度食べたい)。

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プリモは海の幸のリゾット、セコンドはスカンピ(手長エビ)のグリル。いずれも今回の旅では何回か食べていて、プーリアの最後を飾るにはふさわしい。

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最後にカフェでしめるが大満足。

この間、他のお客は1人のみ。

料理を注文する時に帰りの列車の時刻を伝えていたこともあって駅までカメリエーレのトゥーリオが車で送ってくれることになった。モーラ・ディ・バーリの人たちって何と親切なんだろう。

◆とんだトラブル
いい町、いい人、いいリストランテだという印象を得て駅に入ったのだが・・・・・。
駅は週末だからなのか依然として無人。乗車券の自販機は他の駅にあるようなカードも使えるタイプのものはない。初めて見るような行先を選びコインを入れる機械式のものだ。何回かやってもコインがそのまま戻ってきてしまう。
それを見ていた少年2人が『おれがやってやるよ』というのでやってもらったところ、同じようにコインが戻り、すぐに『おれのもんだ』と取ってコインを返さない。最初から取るつもりだったとしか思えない。「冗談じゃない!」と思って握った手の中から何とか取り上げる。

その後、きた人のやり方を真似て切符を買って地下道をくぐりホームで列車を待つ。

そうこうしているうちにさっきの悪ガキがホームへやってきてころがっていた棒切れを手にして襲い掛かってきた。日本語で怒鳴るが今度は屋根瓦のようなものを見つけ、棒を捨てその瓦を投げつけようとする。無事に終わるはずだったプーリアの旅がここで大怪我をしローマに戻れなくなり、ひいては日本に帰れなくなるのかなぁという思いが一瞬頭の中をよぎった。

そのうちホームにいた一人の男性が彼らに声をかけいろいろと説得をしてやめさせてくれて事なきを得た。最後が少年に謝るように言い、彼に言われたようにオウム返しの英語で謝ってきた。

彼は我々に『自分の側にいるように』と言ってくれ、少年たちも同じ列車に乗り込んだので列車の中でも一緒に座ってくれた。彼の名はクリスさん。オランダ系アメリカ人でフロリダからバイオの研究に来ているとのことだった。『日本に来る機会があれば連絡して下さい』と相棒が連絡先を渡す。
14:45、バーリ着。クリスさんと別れる。

いろいろと中身の濃い3時間だった。

◆食べる
●リストランテ
Niccolo Van Westerhaut, via de Amicis 3/5
FIGARO(2002年4月5日号)のとじこみ付録で「南イタリア屈指の洗練レストラン」と紹介されていた。
<食べたもの>
オリーブ、フォカッチャ、海の幸サラダ(7.5ユーロ)、車エビのカルパッチョ(carpaccio di gamberoni、6.5ユーロ)、海の幸のリゾット(10.5ユーロ)、スカンピのグリル(7尾、20ユーロ)、カフェ(2ユーロ×2)
2人で70ユーロ(チップ込み)
<ワイン>
SALICE SALENTINO 2001 Riserva, CA’NTELE (10ユーロ)

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時間とともに段々美味しくなる。

Castellana Grotte(カステッラーナ・グロッテ) 2005/9/16

◆行く
バーリでの2泊の中1日、世界遺産のカステル・デル・モンテか、鍾乳洞のカステッラーナ・グロッテのどちらかに行こうと思っていたが、交通の便を考え結局カステッラーナ・グロッテに行くことにする。

ここは、実はアルベロベッロバーリの間にあり、アルベロベッロからバーリに向かう途中に立ち寄ることもできたが、旅の荷物を持っては難しいということもあって予定通りバーリからの日帰りにする。

8時にホテルを出て歩いてバーリ駅へ向かう。

駅の中でFSE(私鉄Sud-est線)の切符売場を探すが見つからない。あまり余裕を持たずに出かけてきたため発車時刻まであと5分足らず。FSの切符売場で訊いたら『11番線』、早口で『右へ曲がってずっと行く』みたいなジェスチャ。

時間がないので訊き直すこともせず、とりあえず切符売場すぐ近くの入り口から出て11番線へ通じる通路を探すがわからずどんどん駅から離れてしまう。カヴール通りまで行ってしまいの陸橋を渡り右折して、ようやく駅の裏側にあるFSEの入り口を見つけた。そこから階段をあせって下ったその時、乗るはずの列車は出て行ってしまった。

あとでよく考えると駅員のジェスチャを勘違いしてしまったようだ。というのはアルベロベッロからバーリに着いた時には、バーリ駅の一番奥のホームに降り立ち、地下道を通って駅の正面側に出ていたからだ。

FSEの切符売場はこのホーム横の待合室を兼ねた小さな建物の中にあった。切符を買う時、『次は9時52分、1番線(これは実は11番線)から』と念を押される((1人往復5.2ユーロ)。1時間半以上もあるので、駅北側の下町を散策して時間をつぶす。

列車は少し遅れて9時58分発車、日本人旅行者も何人かいた。

10時45分ころグロッテ・デ・カステッラーナに着く。下車する時に、朝、駅で会った日本人の女の子が『ここですか?』というから『そうだよ』と答えると一緒に降りてきて、『駅の名前が違いませんか?』。『アルベロベッロに行くの?』『そうです』『じゃここではないよ』。

お互いの誤解で彼女のスケジュールを狂わせてしまうところだった。同じ列車に乗っていた女性2人組、若い夫婦はそのままアルベロベッロへ(だと思う)。

 

この駅はまるで原っぱのようなところにあるホームだけの無人駅。グロッテ入り口まではすぐだ。大きな通りに面して土産物屋や食堂があり観光地ぽいといえばいえるが平日のせいかそれほどの人出はない。

この通り右手の食堂の先にゲートがあった。横断幕のようなこげ茶色の横看板に《グロッテ・デ・カステッラーナ入り口》と書かれているのですぐわかる。その奥には7〜8階建てほどの高さのあるタワーのような建物が見えた。

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◆見る
ゲートをくぐってタワー棟の方に行くと左手に切符売場があり付近には入場待ちの数十人の観光客が集まっている。
売場で少し並んだが11時から始まるガイドツアーにぎりぎり間に合った(1人13ユーロ)。

先ほどの建物の中に入るとすぐ『English?』と訊かれたので『Guide?』と訊き返すとうなずくのでEnglishの方に入る。その場所で英語組とイタリア語組にふるいわけられ、先にイタリア語組が進んで行く。英語組には日本人は我々だけだった。

ガイドは若い女性でドイツ人とのハーフだと自己紹介し、ドイツ人が多そうなので英語とドイツ語で説明するという。それから右手をくるっと回し“アンディアーモ”(レッツ・ゴー)と言ってガイドツアースタート!

まず階段を降りるとパンテオンのように天井に穴があいているとんでもなく大きなドームに入る。馬鹿でかい空間に圧倒される。天井の穴からは日が差し込んでいる。

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ドーム中央にはモニュメントを思わせるような石筍のかたまりが、そしてドームの壁一面はつららのような石筍で覆われていて凄い。

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しかしこれはここから始まる洞窟探検のほんの序章だった。ガイドを先頭に総勢30人ほどが列をなして進む。通路がきちんと整備され足元の照明もある。天井も高く圧迫感はまったくない。ところどころで立ち止まってガイドを取り囲むようにして説明を受ける。まず英語、それからドイツ語の説明がある。

自然が造った石筍のかたちに特徴があるものはイタリアらしく《ローマ建国のロムルス・レムスに乳を飲ませるの狼》、《ピサの斜塔》などと名づけられていて、なるほどと思う。とりわけ狼はまるで彫刻されたかのようにそっくりだ。
そのほか、駱駝、インディアン、コブラ、天使の廊下など。

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一番奥のグロッタ・ビアンカ(白い洞窟)まで行って来た道をまた戻ったが、どこかが上り、下りの一方通行になっているらしく前の組や後の組とすれ違うことはない。

その下り見学路で石筍の聖母子像を見た。これはそれまでの名づけられたものと違ってものすごく小さい。この小さいものに聖母子像と名づけること自体イタリアを感じさせる。
石筍の長い廊下があったり、ドーム手前の最後のところにはとうもろこし、カリフラワーの形そっくりの石筍もあり驚きの連続だった。

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実際に行くまでは個人で歩くものと思いガイドブックに2時間コースとあったので1時間半くらいで見終えるつもりだったが、2ヵ国語でしかもイタリア語組のあとだったので2時間10分かかってしまう。

1938年に発見されたが、それまでは例の天井の穴、それは地面の穴なのだがそこへ農民がゴミを捨てていたという。それを今のようなすごい観光対象までにしたイタリアの観光に賭ける情熱、コストは大変なものだ。電気もあり、要所要所がライトアップされ、通路(というより道路といってもいいかもしれない)や手すりがしっかりと整備されている。

こんなスケールの大きい鍾乳洞が、南イタリアのしかもやや交通不便なところにあるので日本ではあまり知られていないのは残念だ。

◆帰る
バーリに戻る次の列車は13時53分、30分足らずしか時間がないがお昼を食べていこうと駅に一番近いリストランテに入りテーブルに座ったもののお店のスタッフは誰も来ない。客もそれほどいないので「こりゃだめだ」と席を立つ。

やむを得ず他の店へ行こうと戻ったところバールを見つけたのでパニーノとビールを買い、駅近くのベンチでピクニック気分の昼食をとる。陽射しが強くて暑いがあまり日陰となるような木もなく逃れられないが冷たいビールがうまい。

食べ終わってまもなく列車がホームに入ってきた。何と3両編成の展望車だ。ここは無人駅のため帰りの乗車券もバーリで買ってきていたが、発車してすぐに車掌が乗車券販売のためやってきた。
バーリには定刻の14時49分着。鍾乳洞探検、半日の旅を終える。

Bari(バーリ) 2005/9/15〜17

◆行く
ローマを起点としたプーリア&マテーラの旅もマテーラ観光を終え最終宿泊地(といっても本当の最終宿泊地はローマだけれど)のバーリに向かう。
マテーラ発14:18の列車は15:48にFAL(私鉄Appulo-Lucane線)バーリ駅到着。ホテルは駅から比較的近いところを予約していたため16時にはチェックイン、ボーイに案内された部屋がダブルだったのでフロントに戻りツインに変えてもらう。

◆見る
相棒は一生懸命ローマにいる知り合いのオフィスに電話しようと試みるがつながらない。そうこうしているうちに17時になったのでバーリ旧市街観光に出かけることにした。

ホテルの面しているニコライ通りを東へ向かいウンベルト1世公園に出る。かなり大きくて開放的な感じだ。いろいろな露店が出ていて大勢の人々が楽しんでいる。左折してこの公園を2分しているスパラーノ通りに入り旧市街の方へと歩く。17時すぎとはいえ、サマータイムでもありまだ結構暑い。

大きな通り(ヴィットリオ・エマヌエレ2世通り)を渡るとそこから先は旧市街だ。旧市街に入りカテドラーレを目指すが「本当にこの先にあるの?」というようなトンネルのような両側から建物おおいかぶさってくるような路地に入ってしまった。ようやくカテドラーレの前に出る。前の広場はそう広いわけでもない。地元の人が大勢繰り出している感じで、また車も通っていたりで何となく雑然とした広場。ファサードの写真を撮るにも一苦労だ。このときのバックの空の色が真っ青でものすごく印象的だった。

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ファサードはバラ窓のほかはこれといった装飾もなく、中も石が剥き出しのままで素朴な感じがする。レッチェなどのバロック様式の教会を見たあとだけに余計素朴さを感じる。

内部は左右各10本の柱で分けられた3廊式で大きくてシンプルだが、主祭壇下のクリプタはこれとは対照的に木彫りのアーチの連続で豪華だ。壁には彫刻がほどこされている。

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カテドラーレを出て西の方へいくとカステッロがある。

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レッチェのカステッロよりかなり前の時代に建てられたようだが、同じような四角い形で大きさも同じくらいのようだ。中に入ろうとしたところ呼び止められ入場料がいるとのこと。見学には時間がかかりそうなのでパスする。

海岸に沿って走る通りに一旦出てぐるっと一回りする。ポルト・ヌオヴォを左に見るがC.コロンボ広場を過ぎると反対側の海が見える。

それをどんどん行くと城壁が途切れ車も通行できる門があったのでそこからまた旧市街に入るとそこはバーリの守護聖人であるサン・ニコラス(あのサンタクロース)の遺骨があるというサン・ニコラ教会だった。カテドラーレとは正反対で教会前の広場は広々として落ち着いた感じだ。

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ちょうど教会の中では結婚式が行われていたようでまもなく新郎新婦、家族、親戚、友人とおぼしき人たちが出てきた。若い友人たちが「プープー」と風船ラッパをならすが「よく続けて吹けるなぁ」と思い目をやると吹いているのではなく、エアゾール形のボンベの頭に風船が付いていてボンベのボタンをプッシュしているのには思わず笑ってしまう。イタリアならでは、なのだろうか?

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結婚式が終わったばかりの教会の中に入ってみる。大きな花の飾り付けを片付けている最中だった。
ここもやはり3廊式で側壁は石、身廊を分ける柱は左右2カ所が2本づつくっついたような形になっている。天井は金の装飾と絵で飾られている。主祭壇の前には3つのアーチがあって奥行きを感じさせる。

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旧市街の観光はこのくらいにしてホテルへ戻る。相棒が奥方から頼まれたものを買うためにリナシェンテを探したいというので、南北に走る大通り、カブール通りを歩く。この通りの両サイドはファッション関係の店が多い。途中、今回の旅で初めてジェラートを食べた。

◆食べる
ホテルで一休み後、夕食に出かける。何を食べようかいろいろ考えたものの海の町なのでシーフードにしようと決め、ホテルのスタッフに教えてもらった店《al Pescatore》はカステッロの近くで気になっていたところだった。
南イタリア特有のオープンエアのトラットリア、夕方明るいときに見たときは外にテーブルがある程度にしか見えなかったが夜は雰囲気がいい。また風が心地良い。流行っている店なのか、お仕着せのワインを勝手に開けてもってきたり、待っている客を入れるためなのかやや急がされたような感じもしなくもない。

結局この日はホテルと旧市街を2往復したことになる。

◆見る(2日目)
半日、カステッラーナ・グロッテへ鍾乳洞を見に行く(詳しくは“(9/16)Castellana Grotte”旅行記で)。ただ、そのとき予定していた列車に乗り遅れ、1時間半の待ち時間を利用してバーリ駅の北側を散策した。ジュゼッペ通りを南へ、南へと行ったが名前は忘れたけれどジュゼッペ通りを交差する通りで朝市が開かれていた。魚屋、果物、野菜、肉、日用品など。

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ムール貝がネット入りで売られている、シャコもある。

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カジキマグロが生きているかのような形でディスプレイされている。

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ここで買ったアンチョビ(瓶詰め)はすこぶる美味だった。とにかく洞窟見学を控え荷物にはしたくないので一番小さいのにしたがあんなに美味しいのが分かっていたならまたあとで買いに行けば良かったと思うほどだ。
別のお店では何かポリ袋に入れて売っている果物、『何だろう?』と立ち止まるとお店の人がサボテンの皮を剥いていて、「ほれっ!」とナイフの先に載せて一つづつくれた。すっごく甘い。“セ・ボン?”と訊かれ、うなずくと周りから“セ・ボン!”、“セ・ボン!”の合唱が(ちょっとオーバー?)。

9:52発の列車に乗るため駅へ戻り、カステッラーナ・グロッテへ向かう。
(詳しくは”(9/16)Castellana Grotte“旅行記で)

バーリ着14:49、一旦ホテルへ戻る。10分もかからないので便利だ。

◆買う
旅も終わりに近づきそろそろお土産というか、ワインやその他食料品を調達しなければならない。
ホテルで一休みしてから、前の日に気になっていた洒落たワインの店を探す。カイロニ通りのその名も“Cantina Cairoli”。中に入るとビジネススーツを着込んだセクレタリーのような女性がいる。店内は天井が高く、ウィンドゥ以外の壁は白っぽく明るくて肝心のワインも整然と陳列されていて酒屋というよりはワインのブティックという感じだ。
『美味しい地ワインを』というといろいろ相談に乗ってくれ土産用2本、寝酒用1本買う。相棒はグラッパやマスカット味、レモン味のオリーブオイルを買う。帰国後の話ではレモン味のオリーブオイルはドレッシングとして美味しくて重宝したとのことで買わなかったのは残念!
この店でかいわいの食料品店を尋ねたらすぐ先とのこと。同じブロックの角だ。

外から店内を覗くとまぁまぁいろいろなものがありそうだったので“ボナ・セーラ”と中に入る。お土産用に小瓶(250ml)のオリーブ・オイルを買おうと探すが見当たらずあきらめる。パルミジャーノ・レジャーノを買うことにした。別にバーリ特産品ではないが、最終日のローマで買う時間があるかわからないからだ。大体1キロくらい欲しいがお店の人に塊を指さし量ってもらうと1キロ弱、相棒もほぼ同じくらいのものを買う。このままでは重くて荷物になるので一旦ホテルへ戻る。

◆食べる(2日目)
この日も夕食のリストランテ探しに出かける。カステッロから海岸通りに出る。ほどなくオステリア《Osteria al Gambero》発見!名前の通りここもシーフードの店だ。まだ準備中だったが、中に入ってお店の人に何時からか尋ねると7時からとのこと。一旦出たけれど『夕べのところと食べ比べるのもいいか』と相棒と意見が一致したのですぐ戻って『7時から7時半で』と予約する。

この店で何が印象的だったかというと、前菜が9品もあったこと、日本人だと分かって生もの盛合せを食べるか訊いてきたこと(もちろん注文した)、そして勘定書きの数字がまったく判読できないことだった。生もの盛合せは要するに刺身盛合せだ。カキ(5個)、ウニ(4個)、ムール貝(7個)、そしてイカ。レモンを絞って食べる。しょうゆとわさびが欲しいところだ。

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2人で90ユーロとプーリアとマテーラの旅で一番高かったのはこの盛合せのせいかもしれない。ここの海の幸のスパゲッティはゆで加減良く美味しかった。
9時半過ぎに店をあとにしたが金曜の夜の割にはすいていたようで1/3くらいの空席があった。

◆朝の散歩
プーリア最後の1日となった。6時に目覚めたので朝食前に魚市場を見に6時半すぎ出かける。カヴール通りから旧市街に入ったすぐ右手の建物だと思って入ってみたら中では魚屋と八百屋が準備中。ここではないなぁ、ということで海岸通りLungomare)に出ると右端に“Mercato Pesce”の看板が見えたのでその方向へ行ってみる。

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ずっと先の方で何か作業中。漁師なのか魚屋なのか分からないが、イカ、タコ、ムール貝の下処理中だ。そこのお兄ちゃん2人と話す。『日本にもイカがあるのか?』、あまりにも小さなイカだったので『あるけど、もうちょっと大きいね。しょうゆで食べるけど』、『それはレモンの類か?それともオイルの一種か?』。しょうゆについては全く理解してもらえなかったようだ。

海からホテルに戻らずそのまま駅へ行き、午後のローマ行きの乗車券を買おうとしたが満席。午前中の8時台、9時台の列車は乗換えが多くて時間がかかる。午後の次の列車は15:59発のIC(Inter City)でローマ着22:02だ。
ひとまず考えることにしてホテルへ戻り朝食後フロントで教えてもらった駅裏手のプルマン営業所へ向かう。プルマンだとローマまで5時間半かかるが、時刻表に13時発があったので予約窓口の女性に「13時発に乗りたい」というと“Oggi, e pieno”(今日は満員よ)。こっちも満席。その次は16時、しかもローマの到着ターミナルはティブリアーナ(予約しているホテルはテルミニ駅近く)なのでやむなく列車にする。その足でバーリ駅に行く。自販機でペスカーラ経由もチェック、11:04発は空いていたものの途中ペスカーラで乗換え、17:56ローマ着ということもわかったが、乗換え時間が短いこともあって結局15:59発の乗車券を購入。

これで帰りの足は確保できたし、有意義に時間を使うことができる。

今回の旅ではマテーラで博物館に行ったものの美術館には行っていなかったので海岸通りに近くにある県立絵画館Pinacoteca Provinciale)に行くことにしてまた歩く。

途中、ホテル備え付けの市内観光ガイドブックに出ていた食料品店を見つけたのでちょっと覗いてみる。若いお兄さんがいろいろ説明してくれ、相談にのってくれる。ここで買うことを決めたが荷物になりそうなので『絵画館の後にまた来るから』と言ってとりあえず出る。

海岸通りに面した絵画館の入口は10時近くだというのにしっかりと閉まっている。一度はあきらめたが海岸通りから建物の北の通りに回ってみると守衛さんがいたので絵画館に入れるか尋ねてみた。左に曲がったところのエレベーターで4階に上がるように教えてくれた。
4階の受付で、『右から入ってぐるっと回り最後に左の《ナポリ銀行収蔵品展》を見るよう』にいわれる(入場料 1人2.58ユーロ)。
教会の祭壇画、彫刻などの他16〜17世紀の宗教画が多い。他にはいつごろのものか不明だが男女の盛装の展示や当時の生活をあらわしているミニチュア(これも制作時期は古そうだ)があった。絵ではヴェネツィア派のティントレットの大きな作品がある。

終わりの方には静物画や、19世紀の印象派時代の作品も展示されている。

約30分で芸術鑑賞終了、さきほどの食料品店へ行く。看板には“SALIMERIA”とある。もとはハム・ソーセージなどの肉加工品が中心だったのかもしれない。ここではオリーブオイルと衝動買いでオリーブの実を量り売りで買ってしまった。相棒はワインなどいろいろと買っていた。

ホテルに戻って荷物をパッキングし、スーツケースなど預けてチェックアウト。

昼食をどこにするか迷う。バーリ市内のミシュラン3本フォークの店にするか、《南イタリア屈指の洗練レストラン》と紹介されているモーラ・ディ・バーリの店にするか。
バーリから列車に20分乗らなければならないがプーリア&マテーラの旅のフィナーレを飾ることにして行動派の我々としてはモーラ・ディ・バーリへいくことを決断する。
(詳しくは“(9/17)Mola di Bari”旅行記で)

◆ローマへ
モーラ・ディ・バーリでの優雅な食事を終え、バーリへ戻りホテルへ荷物を取りに行く。ローマまでの列車は15:59発のIC、少し早めにホテルを出る。
8番線にすでに列車は入線、3号車に乗り込む。指定席にはすでに若いバックパッカーの男2人がトランプに興じていたが、乗車券を見せるとすぐに席を立ってくれた(コンパートメント6名のうちもう1名も途中でやはり指定券がなく席を立つ)。
ローマまで6時間余り、ちょうど半分くらい経ったころに前日買っておいたワインを飲み始める。ブティックのようなワインの店で『ティピカルなプーリアのワインを』と言ったら最初に出てきたのがこれ、(Don Marcello 2003, Torre Qvarto 5.5ユーロ)。
初めはピリッとして渋みを感じたがそのうちまろやかになる。値段の割に美味しいワイン。

『これを輸入して日本のお店で出せば4〜5千円はとれるか』などと談笑する。

ローマまであと1時間半くらいのところで雨と雷、定刻より15分ほど遅れ雨のテルミニ駅到着。プーリア&マテーラの旅を終える。あとはローマで1泊だ。

◆泊まる
ホテル Hotel Victor Bari(★★★), Via Nicolai, 69/71, Twin 116ユーロ

Venere.comで予約、2泊 する。4つ星に近い3つ星か。
イタリアらしくなく大きな目立つ看板のあるアメリカンスタイルのホテル。
玄関を入ってすぐのところに浮いている島のように真ん丸いカウンターのフロントがある。部屋を替えてもらったり、リストランテを教えてもらったり、その他の対応は良い。朝食は今一つ。

◆食べる
●リストランテ
お店の名前 Al Pescatore, Piazza Federico ? di Svevia 6
食べたもの 前菜盛合せ(5皿)タコの煮物、タコのマリネ、イカのマリネ
ムール貝、ポテトとムール貝(13ユーロ×2)。セコンドはスカンピのグリル、魚介類のミックス・グリルと海の幸づくしにする(あわせて26ユーロ)。魚介類のグリルは小さいがエビ、タコ、イカ、魚と盛り沢山。コペルト(2.6×2)、水、デザート1品、ワイン2本。合計 2人で77ユーロ。
ワイン   LAROCCA (プーリアの地ワイン、白、お店のオーナー爺さんが席へ着くと抜栓したものをすぐに勝手に持ってきた)
GRAVINA 2004, Botromano (赤を頼もうと一言いっただけで出されたハウスワイン、プーリアの地ワイン) ワイン2本で何と15.7ユーロ

お店の名前 Osteria al Gambero, Corso Antonio de Tullio, 8
食べたもの 本文の他、セコンドはスカンピのグリル2人前(大1、中7)、前日のAl Pescatoreよりも大きいが味は前日の方が良かったか。

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食後酒(グラッパ、レモンチェッロ)、このとき厚めのクッキーが5個付く。
2人でチップ込み 90ユーロ(勘定書きは手書きで判読不能、計83.14ユーロに端数を加え切り上げていた)
ワイン   BAROCCO Martina 2004, Locorotonpo (白)

◆買う
オリーブオイル 500ml 11.2ユーロ (バーリ産、DECARIO社)
バーリで2軒の食料品店に行ったが小さな(250ml)瓶のものはなかった、やむを得ず2軒目の店ですすめられたのを買う。甘い青りんごのような味わい。
お店 Bozzi dei F.lli De Bartolo, Via G.Bozzi, 53 (www.salumeriabozzi.com)

パルミジャーノ・レジャーノ 900g 14.4ユーロ
お店 Salumeria de Carne Francesco, Via Calefati, 128

ワイン Donna Lisa Rosso, Salice Salentino Riserva 24ユーロ
IL FALCONI, Castel del Monte Riserva 2000 8.6 ユーロ
お店 Cantina Cairoli, Via Cairoli 81

Matera(マテーラ) 2005/9/14

 

 

◆マテーラは洞窟住居の世界遺産の町。

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この町の名前を知ったのは陣内秀信さんの『南イタリアへ!』だ。

この本を買ったのはシチリア行きを漠然と計画しているころ。当時の印象としては住民が立ち退かされた何やら廃墟のようなところ、といったものだったが、自分の頭の中では今回の南イタリアの旅では絶対にはずせないところに変わっていた。

大きな岩山のてっぺんにある十字架、これを見下ろすようにはるかに上にあって対峙しているドゥオモ。イタリアとは思えないモノクロの世界。そして3次元のだまし絵と思わせる町。これがこの町を訪れた後の率直な印象だ。

◆行く
前泊地のアルベロベッロからマテーラまでは直線距離では意外に近い。アルベロベッロのヨーコさんの話では車で1時間くらいとのことなのでツアーでは大体この2ヵ所をセットで観光するようだ。しかし、路線バスはないのでいつものように列車の旅だ。
アルベロベッロをFSE(私鉄Sud-Est線)8時28分の急行(diretto)に乗りバーリ経由FAL(私鉄Appulo-Lucane線)で向かうことにした。

定刻通りだとバーリに9時36分に着くので9時46分発のマテーラ行きにギリギリ乗れるかなと思っていたが、1つ手前の駅で停車してなかなか動かず結局間に合わず、気持ちよく?あきらめることができた。
次の列車は10時53分、1時間も待たなければいけないのでバスで行くことも考え駅前のバスターミナルで訊くとマテーラ行きのバスは駅の向こうで色はブルーだ教えてくれた。そこまで行っても待たずに乗れるかわからずないし面倒なので予定通りFALに決め切符を買う(1人4ユーロ、アルベロベッロからバーリまでも1人4ユーロ)。

FALの駅はバーリ中央駅から出て左手の建物で駅舎というより事務所ビルのような感じだ。これまた切符売場が最初わからず右往左往する。ホームは駅の2階の屋上にあり、折り返し方式でコの字型になっている。このホーム上の先頭車両が着くすぐ近くのベンチでしばし待つ。

列車は意外に早く入線した。前の方の車両に向かう人が多いので途中で切り離されるのかと不安に思い、一旦車両に上がってしまったものの慌てて降りて駅員に訊くと“Pol・・・・”、“???”、『あの女の子の後に続け!』とのこと。

その時、最初に乗った車両に行先表示板がかけられたところ、危ないところだった。前の車両に乗り込むが、あれだけ早くから待っていたのにモタモタしていたので日が当たる方の2人掛けの席しか空いていない。陽射しが強くて暑い。車窓風景は荒涼たるトスカーナという感じだ。

ほぼ定刻(12時18分)にトンネルのようなマテーラ中央駅地下ホームに着く。駅前は広々しているが時間のせいなのか人出は少ないし車もさほどでもなくどちらかといえば閑散していた。
とりあえずホテルへチェックインし荷物を置きたいところだが、予約していたホテルはサッシ・カヴェオーゾの中。手にしていたインターネットで取り出した簡単な地図ではわかるとは思えず、インフォメーションに行くことにした。看板は2方向出ていてどっちにしようか迷ったが結局は同じところ。

このインフォメーションで地図と一緒に貰ったガイドブックは今までのどの町でも貰ったことのない立派なもの、それも2種類だ。貰った地図を見ながら向かうがヴィットリオ・ヴェネト広場で間違えてローマ通りに入ってしまうなど暑い中思った以上に時間がかかる。
いよいよサッシ・カヴェオーゾの中の通りへ。右手前方の岩山の上には例の十字架(「サンタ・マリア・デ・イドリス教会」)が見える。

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ゴロゴロと転がすスーツケースがところどころ滑らずサッシの中の通りでは持ち上げなければならない。持ち上げてはは転がし、転がしては持ち上げる。

音を立てて転がしている時、突然人が現れてきて止められた。ちょうど通りに面した洞窟住居の中で映画なのか撮影をしていて、音が問題らしい。撮影が終わるまで待つわけにもいかないのでやむを得ず持ち上げて通してもらう。
そんなこんなでインフォメーションではホテルまで5分といわれたが結局30分近くかかってしまった。ホテルそのものがサッシの中にあるので着くまでに「サッシとはこういうものか」と目のあたりにする。周りを見渡すと今まで見たこともない、あり得ない光景だ。
◆見る
道中汗をかいたのでホテルで着替え、昼食をとるため田島さん(「南イタリアに行こう」の著者)ご推奨のL’osteriaを探しがてらはるか前方に見えるドゥオモ鐘楼を目指して歩き始める。
まっすぐ進むと右側にサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会がある。その前に駐車場のような展望台ベル・シトがある。ここから眼下に見えるカヴェオーソ渓谷とその川原は荒涼たる風景だ。

渓谷を見下ろし、ドゥオモを見上げる比較的大きな道路を北の方へ歩く。我々が泊まったホテルのように洞窟住居がホテルになっていたり、食堂になっていたりするが大半は無人のサッソで中に入れないよう入口には大きな錠前で鍵がかかっている。
地図の上ではドゥオモへ抜ける小道はありそうだが、高低さもあって実際に行けるかどうかわからないがとにかく進む。L’osteriaはドゥオモの近くのようで住所も本に出ていたのだが、いくらインフォメーションで貰った地図でもサッシの中の通りの名前は出ていないのでとりあえずドゥオモを目指す。

はるか前方、上の方に見えたドゥオモがかなり近づいたところで左の小道を登り始める。結果オーライでドゥオモ横の広場に出た。広場にはクレーン車が停まっていて何か工事中のようだ。
ドゥオモ内部を見るのは後回しにして近くの小道を行ったり来たりするが目指すL’osteriaは見つからない。お腹も相当すいてきたのであきらめドゥオモへの参道のような通りを下ると視界が開けるような広場に出た(あとでわかったがここはサン・フランチェスコ・ダッシジ教会前の広場)。
広場の入口近くにバールがあり、外には珍しく人だかりがしているがどうやら観光客のようだ。そこでこのバールをパスし広場を出て右に曲がってみる。もうこのあたりはサッシ地区ではないようだ。通りに面した建物も全く普通の建物だ。少し歩いたところで目についたリストランテに入る。

もうお昼時は外れているものの小さな店内はほぼ満席だ。壁をみると映画のスチール写真らしきものが何枚か飾られている。相棒がいうにはメル・ギブソンの《パッション》だそうだ。《パッション》はキリストの最後の12時間と復活が描かれ、この地マテーラで撮影されている。この店の人も何か協力をしたのかもしれない。

前菜、パスタ、地ワインの昼食をとって一息ついた。

ここから一旦ホテルへ戻ることにし、サッシ方向という標識にしたがったところ、ドゥオモを山頂とするとふもとを逆周りで歩いてしまう。

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探し回っていたL’osteriaがサッシの路地にあった。しかし休みだったのであれ以上探し回らなくて良かった。

そのうち雨が降ってくる。

ホテルで一休み。少しまどろんでから雨の中をサッシ観光へ出かける。まず洞窟住居、カーサ・グロッタに入る(1人1.5ユーロ)。伝統的な家具の置かれた昔の住居だ。昔の、といっても1956年まで農民が住んでいたところ。

内部にいたスタッフから“ジャパニーズ?”と訊かれ「そうだ」と答えると日本語の説明テープが始まった。

今や誰も住んでいないので壁の白さや意外な広さも感じるが実際に家族何人かと馬がいたことを考えると劣悪な環境だったことがわかる。何しろ一部屋がすべてなのだから。

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この後、岩の上の教会に行こうとして少し上り始めたところで雨が激しくなりあきらめてまたホテルへ戻る。

ホテルはゆったりとしたスペース。することもなくベッドに横になっているうちに眠る。寒くなって毛布を取り出し本格的に眠ってしまう。
その間、雷鳴と雨音が激しい。
目が覚め、ダイニング・ルームの窓から外を覗くと例の岩山の十字架のあたりにも稲妻が光り、何かおどろおどろしい光景だ。
しかし、まさにマテーラでしか見られない景色だと思うと泊まった甲斐もあったというものだ。

20時をすぎ、しばらく様子を見ていると小降りになったので夕食に出かける。

雷雨のせいで急に冷え込んできたので半袖シャツの上にカステッラーナ・グロッテ観光のために持ってきたウィンドブレーカーを着込む。

「駱駝」の創刊号で紹介されていたリストランテにする。駅からホテルへ向かう途中偶然見つけていたので場所はわかっていた。店はすぐそこだ。予約はしていなかったが、幸いなことに入口近く右手の席に案内される。
中二階のような席もあるようだったがほとんど満席で我々のテーブルと隣の死角のようなところにあるテーブルがあいているだけ。そこもそのうち30前後の若い男性2人で埋まる。仕事の話だろうか一生懸命話し込んでいる。見渡したところ雰囲気的にも観光客はいないようだ。

ビジネスマンのようにピシッとスーツを着込んだオーナーが注文を取りにくる。前菜盛り合せ、プリモは小海老とフンギのトゥロフィ(と書かれていたような気がする、ショートパスタ)、セコンドにはスズキのアクア・パッツア、ミックス・サラダ、を選ぶがワインだけはオーナーに相談し、この地方のワインを選んでもらった。
前菜盛り合せはここでも次から次へと出てくる。「駱駝」で写真入りで紹介されていたカプンティのエジプト豆ペースト和えも5皿のうちの1皿。
オーナーの仕草がちょっと気取っている。雰囲気といい味といい、また機会があったら訪れたい良いリストランテだった。

◆朝のマテーラ
目が覚めて窓を開けると空が明るく白みはじめている。窓から洞窟教会の姿が徐々に見えてくるが幻想的というよりは映画の場面に出てくるようなおどろおどろしさ。

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朝の散歩に出かける。夕べの激しい雨のせいか、すがすがしい。

サン・ピエトロ・カヴェオーソ教会前のベル・シトからカヴェオーソ渓谷を望み、引き返して昨晩のリストランテを通りすぎるとそこは、サン・フランチェスコ・ダッシジ教会。何とその裏は昨日ドゥオモから下りて来た広場。ドゥオモまでも近い。

景色を見る限りは随分遠くに感じるが目の錯覚か。3次元のだまし絵のような町だ。

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近くのプルガトリオ教会を皮切りにサン・ジョヴァンニ・バティスタ教会、サン・ロッコ教会のファサードだけ駆け足で見る。

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ついでに朝市を覗いてみた。店の数は多くはないが一応のものは揃っているようだ。

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ホテルに戻るのにサン・フランチェスコ・ダッシジ教会裏の広場の右側降り口から行ってみたら驚くほどホテルは近かった。

ホテルでの朝食後、午前中の時間を何回も外から見ていた洞窟教会やドゥオモの見学にあてることにした。
まず、洞窟教会、サンタ・マリア・デ・イドリス教会へ行く。時間が早くてまだ開いていなかったが、そのうち一人の男性が鍵を持って現れる。入場料がいるらしい。サッシの幾つかの場所を見る数で金額が決まっているようだ。3ヵ所用1人5ユーロのものを買う。これでドゥオモも見られるかというとドゥオモは無料だという。指定された3ヵ所は教会というよりは博物館だとのことで納得。
ここは大きな岩の中をくり抜いて教会にしている。壁には少し色あせたフレスコ画がある。
この教会を出て、次はサンタ・ルチア・アッレ・マルヴェ教会へ。ここでは別の係員が英語で説明してくれる。3廊式というのか3つの部屋になっている。ビザンチン様式のフレスコ画。
最後の1ヵ所はコンヴィチニオ・ディ・サンタニオ。何ヵ所も入口がある。ここは洞窟をさらに奥まで何本も掘っていてすごく広い。奥の方はロープが張られていて進めないようになっている。
壁にはフレスコ画も数々描かれていた。ここには修行僧が大勢いたのだろう。

◆ドゥオモを見る
初めてドゥオモに行った前日とは違ってホテルからの道のりは短くて本当に近い。
ドゥオモの中は3廊式だが残念なことに側廊は修復中だ。白い壁に金の縁取りが豪華な印象を与える。ファサード裏側祭壇には《キリストを膝にかかえた聖母マリア》の大きな画。左右の祭壇の下に部分にはキリスト生誕の場面が描かれている。後陣天井画はだまし絵のフレスコ画。

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ファサードのバラ窓は中から見るととてもきれいだ。

ドゥオモ通りを下りサン・フランチェスコ・ダッシジ教会へ。教会の左側にバジリカータ特産店が開いていたので立ち寄る。スペースの小さな店でお店の人は男性1人だけ。いろいろ特産品を説明してくれ、インターネット画面でホームページを見せてくれる。日本語ページもあるとのことだったがそのパソコンでは日本語変換ができず見ることはできなかった。ここでお土産として食後酒とオリーブオイルを買う。
サン・フランチェスコ・ダッシジ教会のファサードはバロック様式。中に入ってみると内部はスタッコ装飾だ。

次に国立ドメニコ・リドーラ博物館に向かったが間違えて、美術館(入場料1人2ユーロ)に入ってしまう。どちらもイタリア語での名前が“Museo Nazionale ”から始まるからだ。美術館では17世紀のキリスト教絵画、彫刻、法服が展示されている。1階に降りて学芸員に案内されたのは近代画だったので遠慮しつつパスして、本来のMuseoへ行く。
この博物館はマテーラ出身のドメニコ・リドーラ医師が個人としてマテーラ中で収集した石器時代から4世紀くらいまでのいろいろなものが展示されている。中でも黒地に茶色やクリーム色などくっきりとしかもきれいな絵が描かれた壷が沢山あったのが印象的だ。この時期にはさすがに訪れている人は少なく一層館内は広く感じられる。

これでマテーラでの観光はお終い、ホテルに戻ってスーツケースを受け取り見つけておいたリストランテで昼食。
14:18発の列車で旅の最終目的地バーリへ向かう。

◆泊まる
ホテル La Casa Di Lucio (★★★★) ,Via S.Pietro Caveoso 66, Twin 120ユーロ
(www.lacasadilucio.com)
「駱駝」で紹介されていて、世界遺産サッシのホテルというのが良さそうだったのでホームページからメールで予約。
14号室となってはいるが、1DKの独立した家。コテージというわけではなくサッシ長屋の1軒といった趣。ベッドルームは天井に大きな羽根のシーリング・ファン、アジアンテイストのモダンなインテリアで外観からはとても想像もつかない。
フロントは別の棟。朝食を取ったところは同じ並びの2軒ほど離れた部屋。よくありがちなブッフェスタイルではなく決まりきったものがサーヴされる。ややボリュームが少ない。
キッチンの窓から見えた別の建物に職人が入り工事中だったがオーナーがいろいろ細かい点を指示していていずれ1室(軒)増えることになりそうだ。
ロケーションといいゆったりとした広さといいなかなか良いホテルでまたマテーラに行くことがあれば是非泊まりたいお勧めのホテル。

 

◆食べる
●リストランテ
お店の名前 Ristorante Il Cantuccio, Via Delle Beccherie, 33
食べたもの 前菜盛合せ(4皿)カポナータ、生ハムとモッツァレラ、ズッキーニのマリネ、オリーブ2種類(8ユーロ)
カヴァッテリ(のような形のショートパスタ)軽くバジルとトマト・ソース、
餃子かわんたんの親分みたいなニョッキ、ゴルゴンゾーラのソースでポルチーニ味
(プリモ2品で14.5ユーロ)
ワイン Achelandro 2003(Fantana Rossa)バジリカータの地ワインでサンジョヴェーゼとモンテプルチアーノのブレンド、何と8ユーロ、値段の割に美味い
コペルト、水、コーヒー 2人で計37ユーロ

お店の名前 Ristorante Rivelli, Via Casalnuovo 27
(www.ristoranterivelli.com)
食べたもの 前菜盛合せ(5皿)ペペロンチーノをカラッと揚げたもの、ポテトをペペロンチーノで調理したもの、カプンティ(舟形のショートパスタ)のエジプト豆ペースト和え、豆腐のようなチーズ(モッツァレラではない)、あと1品(5皿で何と9ユーロ)
プリモ トゥロフィの小海老・フンギのソース(8.4ユーロ) これは美味しい。この日までの今回の旅でのプリモでは一番か。
セコンド スズキのアクアパッツァ(10ユーロ)
ミックス・サラダ
デザート(チョコレートケーキ、レモンケーキ) いずれもしつこくない味。
エスプレッソ(0.8ユーロ)とグラッパ(3ユーロ)
ワイン Carato Venusio Aglianico con vulture 2001 (Venosa)  20ユーロ

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(翌日、特産品店で14.8ユーロで売っていた)
2人で計58ユーロ

お店の名前 Il Terrazzino sui Sassi, Vico San Giuseppe, 7
食べたもの 前菜盛合せ(生ハム2種類とサラミ、5ユーロ)、プリモはトマトソース味のオレキエッテのグラタン(6ユーロ)、セコンドはスカンピのグリル(冷凍もの、4尾、8ユーロ)、ミックス・サラダ(3ユーロ)、ハウスワイン(5ユーロ)、コーヒー、水、コペルト込み、2人で計34.5ユーロ

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「歩き方」に「バリサーノ地区の見晴らしがいい」と出ていたので昼食で訪れる。
外のテーブルにしたので確かに景色はいいが風が強かったのが難点。料理はまぁまぁ。オレキエッテのグラタンが美味しかった。
時間がない人にはパノラマを楽しむことができるかもしれない。

◆買う
Sambuco (Parco Nazionale del Pollino) 食後酒 50ml 7.5ユーロ
オリーブオイル 250ml 4,5ユーロ
このあとバーリでお土産用にこの大きさのオリーブオイルを探したが、イタリアの家庭用に小さすぎるのか見つけることができなかったので1本だけでも買えたのは正解。
お店 Paloi food&beverage, Uffici in vico ? Cappuccini,1/A
(www.paolifood.it)

ワイン Covo dei Briganli, AGLIANICO DEL VULTURE 2000 24.6ユーロ

 

◆読む
・南イタリアへ!―地中海都市と文化の旅
陣内 秀信
4061494465

著者はイタリア建築・都市史の専門家。副題に《地中海都市と文化の旅》とあり、ナポリ、レッチェ、マテーラ、パレルモなど14の町の歴史や町並み、建造物、市民生活が紹介されている。観光ガイドブックとは違った町の魅力を伝えていて、南イタリアへ行く気を起こさせた1冊。

・『駱駝』創刊号 (小学館 880円)
2005年6月10日発行、《南イタリア縦断大特集 食遺産・名画遺産の旅》にひかれて購入。今回のレッチェ〜アルベロベッロ〜マテーラ〜バーリの旅の準備中タイミング良く出たので随分参考にした。ホテル、リストランテ選びに活用。